タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ ソニーの大規模リストラと内部留保 ≫

Photo 自動車業界が先行してきた人員削減が、いよいよ日本の製造業全体に及びはじめ、派遣社員や期間従業員だけでなく、正社員もリストラの対象から免れない情勢が広がってきた。
 ソニー(本社の写真は、HP<日本の建築>から一部を転載)が十二月九日、「不振が続くテレビやデジタルカメラなどのエレクトロニクス事業部門について、2010年3月末までに全世界で1万6000人以上を削減することを柱とするリストラ策を発表した」(12月10日 付『讀賣新聞』第1面)ことは、これまで日本経済を支えてきた輸出産業の置かれた苦境を示しているが、これでもって業績の回復が成るかどうか、先行きは不透明である。
P1000956 今回のリストラによる費用削減に関して、市場関係者は、世界的な景気減速や円高の進行に厳しい見方を示し、さらに追加リストラを行っても、業績(連結業績推移のグラフは、同新聞・第11面〈経済〉から転写)は再下方修正を避けられない可能性が大きいと判断している。
P1000957 しかし、日本経済にとって今後大きな問題となるのは、ソニーだけでなく電機大手各社でリストラが加速し、雇用情勢の悪化を招いているにもかかわらず、大手製造業各社が多額の内部留保(大手企業の財務と人員削減表は、12月24日付『北海道新聞』第1面から転写)を抱え、株主対策や財務基盤強化を目指していることである。
 労働組合が、安易にリストラに頼る経営姿勢を批判するのは当然である。ソニーの株主への配当が増配とはどういうことか。大手企業は今後、人員削減四万人(さらに加速する見通し)と内部留保三十三兆円の狭間で、慎重な経営判断を求められるだろう。

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