これまで二回、12月4日と12月24日に、サブプライム・ローン問題について投稿した。今回の主役は、国内主要金融機関の中で、最も大きい損失額(07年9月期で700億円、08年3月期は1700億円の見込み)を抱える<みずほ銀行>(写真は新宿支店)。
サブプライム・ローンは、金融機関による通常のローン審査に通らない、低所得者を対象にした住宅ローンで、初めから、杜撰な所得審査・危険性の高い変動金利という設定で、米国内の景気が後退すればたちまち焦げ付く、いかさまな性質のものだった。
そのような危ないローンが普及した理由の第一は、米国の政治事情にある。クリントン政権もブッシュ政権も、低所得者層に支持を拡大しようという政治的思惑を共有し、無責任な人気取り政策を推進したのである。
理由の第二は、審査能力のない銀行員が、過剰流動性資金の投資先を自ら開拓することなく、安易に、目先の利益を求めて、細切れに証券化されたサブプライム・ローンに資金を投入したことにある。
国際的な資金の過剰流動性をコントロールするのは、主要先進国の中央銀行あるいはそれに相当する金融機関の役目である。日本銀行がその役目を果たしているかどうかは疑わしい。超低金利政策に固執する福井総裁は、円の過剰流動性が日本経済に与える長期的影響を読み損ねているのではないか。
日本の大手金融機関の中で、みずほ銀行が、ダントツに高額の損失を計上しているのは、それだけ、投資先を自分で探し出す努力を怠っている証拠である。コンピュータ頼りで、楽をして投資先を決定する行員が増えているのだろう。
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