タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ WINDOWS 98 ≫

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 マッキントッシュを頑なに愛用する異端少数派の私が、ウインドウズに手を出したのは、それなりに理由があってのことである。
 平成十年七月の<教育職員免許法施行規則改正>に伴い、<情報機器の操作に関する科目>2単位が教員免許状取得に義務づけられたため、わが職場では、担当委員会が中心となって教育課程の改訂を行った。
 しかし、情報教育の専任教員がいないため、十人余りのインストラクタが必要となり、この時ほど、同僚の人柄が露わに表出したことはない。一方で、いかにも熟練者のごとく、自慢げにノートパソコンを小脇に抱えていた連中が、実際には、<ワード>や<一太郎>のベタ打ちしかできないことがばれたのである。他方で、熟練者たちも、専門外の負担増を嫌い、委員会の要請を拒否する者が少なくなかった。このような状況で、私に声がかかったのである。
 「マックもウインドウズも同じって?」「嘘つけ、マックのこと、なんも知らんくせに」<ワード>の文書作成・<エクセル>の表計算・インターネットくらい、そりゃできるさ。しかし、それは職場のPC環境に迫られて自ら学んだ結果であって、「マックが使えるからウインドウズもできる」などというものではない。また、自分ができるからといって、他人に教えられるわけでもない。「義を見てせざるは勇無きなり」と引き受けたからには、無責任なことはできないので、インストラクタとしての準備をするために、平成十一年十二月に自前で購入したのが、写真の<ウインドウズ98>である。ほとんど名前の知られていない、プロトンという会社の特売製品だったが、SCSIポートのほかに、当時としては珍しくUSBポートが2個ついていて、おかげで今でも、新しい外付けストレージを使用できるのは有り難いことである。
 この<ウインドウズ98>を使い、一月から三月までの三か月間、前期半年でいかにして効果的に情報リテラシー教育ができるか、試行錯誤を繰り返したことは、私自身にとって貴重な経験となった。いよいよ四月になって、情報処理教室の三十台の端末機に向かう学生との悪戦苦闘が始まったが、やはり前もって準備をしておいて良かったと思う場面が多かった。

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