タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 日本語・総理大臣と新聞と ≫

P1000671 九月二十二日、自民党総裁に選ばれた麻生氏(写真は、9月23日付『讀賣新聞』第1面から転写)は、満面に笑みを浮かべ、喜びを隠さなかった。なんとしても総裁になりたかったのだ。額にそう書いてある。
 二十四日、麻生内閣が発足し、世界金融危機の荒海に乗り出したが、国会運営は難行苦行の連続で、疲労の極致にあるのだろう。日本語の乱れは疲れのせいではないか。それとも、国語力の低下は、児童・生徒・学生ばかりでなく、国政を預かる総理大臣にまで及んでいるのか。
P1000662 麻生首相は誤りの連発を、「単なる読み間違い、もしくは勘違い」(11月13日付『北海道新聞』第4面〈総合〉)と平然と受け流したが、国会で<とうしゅう>を<ふしゅう>と何度も読み違えているため、十二日の衆院内閣委員会で、質問に立った民主党議員が「『とうしゅう』と読むんだと伝えてほしい」(同日付『讀賣新聞』第4面〈政治〉)と苦言を呈したという。
P1000664 間違いではないが、おかしな日本語は新聞(前掲『北海道新聞』第12面〈経済〉)にも使われている。<学年別漢字配当表>なるものが適用される小学生の教科書ではあるまいし、なぜ<破綻><莫大>と表記しないのか。見出しの<拍車>は、漢字こそ易しいが、実物を知らない読者が多いのではないか。字面だけの難易に拘泥し、<破たん><ばく大>などと表記するのは国語の破壊である。
 丸谷才一『桜もさよならも日本語』(新潮社)に、小学校三学年の国語の教科書から「ノートに書き出したことをもとにして、二まいの写しんについてせつめいする文章を書いてみましょう」を引用し、このようなまぜ書きや仮名書きを批判している。

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