タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

珍しや「ツムジが曲がってしまった」

   <『諸君』2008 年6月号の表紙と「紳士と淑女」欄>

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 私は創刊号から1号も欠かさず、長年に渡ってこの雑誌を愛読し続け、退職後の今は、クロネコメール便速達サービスによる「年間定期購読者」として、会社の儲けになにがしかの貢献をしている者で、とりわけ「紳士と淑女」欄の愛読者である。
 前書きがちと長くなった。 今日の本題は、第 40 巻第6号の「紳士と淑女」欄で思いがけなく、珍しや「ツムジが曲がってしまった」という文言と遭遇したことである。主役は川内康範、脇役は松本清張と森進一。

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 「紳士と淑女」欄の筆者は、月光仮面と同様に「どこの誰だか」分からないが、貧乏文士・川内康範の『月光仮面』と新進作家・松本清張の『点と線』の件(くだり)を読み進むと、「森進一に『おふくろさん』の歌唱を禁じたのは、おそらく何かの拍子にツムジが曲がってしまったのだろう」に行き着き、「ツムジはまだ健在だったか」と、しばし感無量の思いに浸った。2007 年10 月10 日に投稿した <日本語が危ない ①> で、 山本夏彦を引いて、 昭和10 年代にヘソがツムジに取って代わったと書いたからである。
 性が合わないので、私は松本清張と大江健三郎は読まない。二人の文章は、真っ当な日本語ではない。清張の生誕百年、大江のノーベル賞など、何の興味も沸かない。しかし、川内は日本人の心そのものである。私の好きな青江美奈の芸能界での育て親・名付け親とは嬉しいではないか。「恍惚のブルース」を何度聴いたことか。
 森進一との「おふくろさん騒動」から分かるように、川内は、ツムジは曲げてもヘソは曲げない、日本の伝統文化の信奉者だった。平成 20 年4月6日、青森県八戸の病院で没、享年 88 歳。<合掌>

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