※1 北朝鮮の金王朝家系図は、2月 22 日付『讀賣新聞』第2面、及び3
月9日付『北海道新聞』第2面の記事を基に筆者が作製。
月9日付『北海道新聞』第2面の記事を基に筆者が作製。
※2 ネット上から拾い上げた人物の画像は、いずれもたびたび転載が繰り
返され、典拠不明。
北朝鮮の独裁者「金三胖」が異母兄・金正男をマレーシアのクアラルンプールで暗殺した事件は、自らの地位を脅かす潜在的ライバルの抹殺が目的だった。権力継承の正当性コンプレックスにより疑心暗鬼に陥った末の暴挙である。
北朝鮮当局は、少なくない傍証が揃っているにもかかわらず、殺されたのは金正男ではなく金哲だと強弁してきたが、最近になって、息子を名告る人物が「私の名前は金漢率、金一族の一人だ。父親が殺害された」と語る動画がネット上に公開され、さらに、マレーシア当局が「 DNA 鑑定によって、遺体の身元を金正男氏と最終確認した」と発表したことから、事件は国家がらみだったことが公認され、国際世論への難しい対応を余儀なくされるだろう。
しかし、国際的に孤立し非難を浴びる中で、「金三胖」の偏執的な暴力指向はますます嵩じ、父・正日や祖父・日成のように「偶像化」が進まないことへの苛立ちがさらに募るに違いない。これまで陰で北朝鮮を擁護してきた中国が今後どう出るか、世界が注目している。