タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪立ち往生した脱官僚答弁≫

P1080138 官僚が国会で答弁する政府参考人制度の廃止は、平成二十一年九月十六日、特別国会の衆参両院本会議で首相に任命され組閣後、皇居で首相任命式と閣僚認証式を経て行った記者会見で、開口一番に掲げた「脱官僚依存の政治」(9月17日付『北海道新聞』第1面)が依拠する「国会法改正」の柱であり、新政府は、法改正を先取りして官僚答弁を禁止し、小沢幹事長は、「内閣法制局長官も官僚だ。官僚は(審議に)入らない」(10月8日付『讀賣新聞』第1面)と発言し、政府と与党がともに政治主導を華々しく演出してきた。
 その政府の内閣総務官室幹部が、一月十九日、内閣法制局長官を衆議院予算委員会の質疑に陪席させたい、と自民党理事に非公式に打診し、拒否されていた(1月22日付、同新聞・第4面から転写した右端の記事を参照)とは、節操がないとしか言いようがない。
P1080140 一月二十一日の衆議院予算委員会で、谷垣禎一・自民党総裁に「天皇陛下は、国事行為に拒否権がないという確立された解釈がある。(外国要人会見など)公的行為はどうか」(1月22日付『朝日新聞』第3面)と質問され、鳩山首相は何も答弁できなかった。平野官房長官もまともな答弁ができず、「後刻、政府としての考え方を出す」(同新聞)と引き下がざるを得なかった。脱官僚といってもこの程度のものだ。
 そもそも、政治家は官僚に取って代わるだけの専門的知識と政策執行能力を有していない。役割が異なることを相互に認識し、協力して国家国民のために仕事をするという意識を両者とも忘れてはならない。

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