タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 札幌北洋HD赤字転落 ≫

P1000588P1000582 横内龍三・北洋銀行頭取が誇らしげに「効率化で収益力向上」(10月10日付『北海道新聞』第11面〈経済〉、頭取の写真を転写)と強調し、十月十四日に北洋銀行と札幌銀行が対等合併した三日後に、 札幌北洋HDの九月中間連結決算の赤字転落が明らかになった。
 10月18日付『讀賣新聞』第29面〈道総合〉(業績予想の下方修正を説明する菊池専務と、自己資本比率表を転写)は、これを大きく取り上げ、大見出し「船出直後大きな試練」、中見出し「札幌北洋赤字転落/株安予想外のスピード」、小見出し「問われる合併の真価」が並んでいる。
 朝日新聞は讀賣新聞の?のスペースで、中見出し「札幌北洋が赤字決算」小見出し「9月中間75億円 金融危機で損失拡大」と、扱いが小さい。北海道新聞は、讀賣新聞の?のスペースで、中見出し「札幌北洋HD初の赤字決算/運用損失150億円 9月中間/リスク分散が裏目」とあるが、道内の経済環境悪化をもっと指摘するべきだ。
P1000585_2 赤字の原因は、「金利の上昇リスクを回避する目的から、国債などの安定した債権だけでなく、株や海外債権への投資を進めていた」(前掲『讀賣新聞』)ことにあるが、世界的な金融不安による有価証券の評価損は予想されたことであり、HD上層部の経営方針の是非が問われるだろう。
 とりわけ、先月16日に経営破綻したリーマン・ブラザーズ社発行の<サムライ債>の保有高五十一億円は、地銀の中で、和歌山県の紀陽銀行に次いで第二位。損金が更に膨らみ、九月中間決算の下方修正が避けられないことを、情報が一月遅れる月刊雑誌『文藝春秋』第86巻第13号「丸の内コンフィデンシャル」が指摘しているのに、「10月1日付けで北洋銀行内に『リスク統括部』を新設し、投資先のリスク管理について、見直しにかかっている」(前掲『讀賣新聞』)では話にならない。自己資本率は、<劣後ローン>を資本に組み入れることで、かろうじて8%を超える見込みだが、なんともお粗末きわまりない銀行である。

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