タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪死刑執行ゼロは法務大臣の責任放棄だ≫

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 昨年十二月二十八日、平成二十三年は死刑執行が一度も行われないことが確定した。十二月二十七日現在の確定死刑囚は百二十九人(平成二十四年一月十六日上告棄却までを含むと百三十三名)で、昭和二十四年以降の年末統計の最多を更新した。執行ゼロは、平成四年以来十九年ぶりである。
 法務大臣による死刑執行命令は大臣の義務であり、刑事訴訟法475条で「判決確定から原則として六か月以内」と定められており、大臣自身の思想信条に左右される性質のものではなく、行政上の職務である。死刑執行に空白期間が生じるのは、法務大臣自身の側に執行をためらう個人的事情があってのことで、そのような不適格人物を法務大臣に任命する総理大臣の任命責任も問わねばならない。
 死刑が執行されない背景に、千葉景子・元法相が「国民的議論の契機にしたい」と設置した「勉強会」の存在がある。一昨年法相を務めた江田五月は、「勉強会を理由に執行はしないと在任中から明言」(11年12月29日付『讀賣新聞』第35面。死刑囚の人数グラフは,同新聞から転写)したが、勉強会なるものはただの雑談会であって、本来の目的を達するべく結論を出す話し合いを行っていない。江田五月の発言は単なる方便に過ぎず、民主党政権下の法務大臣は、勉強会を口実に死刑執行を先送りしているに過ぎない。総理大臣は、「死刑について一定の見識を持っていることが法相任命の最低限の条件」(同新聞)であることを認識すべきである。
 小川敏夫・現法務大臣は、就任にあたって「大変つらい職務だが、職責を果たしていくのが責任だ」(1月14日付・同新聞・第32面)と述べたが、これも死刑に関しては得体の知れない人物だ。死刑を適切に執行するとは思えない。

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