毎日雨ですが、皆さんの所は如何ですか?台風の影響で各地で災害が発生している様で心配しています。
そんな訳で外の事は何も出来ませんので、今日は先日行なった、エンジンのテストの様子をお伝えします。
このテストに使用したエンジンは、弊社でゼノア26ccを改造して29ccにボアを上げて販売している物です。
現在、5社程に使用して頂いておりますが、非常に好評でパワーも向上しているのですが・・・。
今回テストに使用した機体の全備重量は、13Kg超の状態です。機体のギヤ比は7.6:1で、エンジンは10300rpmで回っています。
メインローターはハイプロダクトと弊社で協同開発したリフター800を装着してテスト行いました。
今回のテスト機に装着しているリフター、弊社で実に5年と言う長きに渡ってテストを繰り返し、改良を繰り返した末に、やっと完成したローターです。
空撮専用に開発されていますが、ペイロードに余裕が出来るので、何か重いものを搭載する時にも威力を発揮します。
このローター、層流翼の採用で抗力が非常に少なく、本来は相反するはずの揚力係数が非常に高いローターとなっています。
従って、浮きが非常に良い事から、エンジンへの負担が少なくなっていますので、今回のテストではその分を差し引いて考察する必要があるかも知れません。
又、以前このリフターとノーマルの26ccエンジンの組み合わせで、海抜630m地点で7.4kgのペイロードを持ち上げる事にも成功しています。(純粋に機体以外に持ち上げた重量です。地面効果内でのホバーリングではありません。高度約200m位まで上昇させて普通にフライトさせました)
今回のテスト地の標高は、海抜約730mですが、そこから200m上昇させ、約10分間定点でホバーリングさせてみました。(長時間のホバーリングは、エンジンに与える負荷が大きいので・・)
今回のテストの目的は、良く同業者が標高が高くなるとオーバーヒートする?と言うので、試しに海抜0mのキャブレターセットのままでテストを行なったものです。
試しに、飛行高度を計算してみて下さい。
結果は・・・、ヤハリ何の問題もありません。但し、明らかに燃調は濃い状態で、プラグも真っ黒です。
この状態を長く続けるとろくな事がないので。このテストの後は、直ぐに適正な混合気の状態に燃調を調整してフライトさせました。
本来ガソリンエンジンを快適に燃焼させる為には、燃料と空気の比率を適正に調整しなければ完全燃焼する事はありません。
エンジン不調は殆どの場合、燃料と空気の比率を適正に調整せずに使い続ける事で発生します。
皆さんもエンジンが“カブッタ”と言う言葉を聞いた事があるかと思いますが、この現象は空気の量に対して、燃料の量が多過ぎる時に発生します。
専門的には、その燃料と空気の比率の事を“理論空燃比“と言います。しかし、あくまでも理論値ですので、実際の空燃比は微妙に異なると言われているようです。
その調整を皆さんが、長年のカンを頼りに、濃いとか薄いとか言いながら調整されていますので、適正に調整出来なくても無理も有りません。
エアフロメータを使用したインジェクションが有れば、一気に解決するのですが・・・。
基本的に、標高が変わった時、或いは、季節が変わった時(特に温度が変わった時)は、必ずキャブを調整する必要が有ります。
気圧は、標準大気状態の気圧から100m上昇する毎に、約11hpaずつ少なくなるので、
高度が上がるに従って、エンジンの空燃比は、どんどん狂ってしまいます。
因みに標高が変われば、レイノルズ数も変化しますので、標準大気状態と比較して高地では、ローター効率も低下する事から、通常ピッチを上げて浮きを微調整します。しかし、その事で、既にパワーが無いエンジンに、更に負担を掛ける事になります。従って、標高が高くなる程、作業の難度が増して行きます。
因みに、レシプロエンジンを搭載した実機の場合でも、飛行高度が変化すると、パイロットがミクスチャーを結構神経質に調整しています。
何か参考になれば良いのですが・・・では又。