ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

フレーム改造大作戦・・・その2

2013-02-21 08:21:22 | マテリアル
昨日から、VoyagerGSフレーム改造大作戦・・・と銘打って、そのプロジェクトは始まった。

既に基本的な、改造計画も決定した。


その内容とは・・・基本的に、既存のパーツを極力使用して、260Zのオートロハウジングを含む、
ドライブトレインの使用を前提として、VoyagerGS260のフレームレイアウトを基本的に見直し、
フレーム剛性を飛躍的に向上させたい・・・と、考えている。


しかし・・・全てのフレームを製作したのでは、コストがかさんでしまうので、アッパーフレームは
基本的に、そのまま使用する事とした。

そうは言っても・・・VoyagerGS系のフレームに、そのまま260Zのオートロハウジングが
取り付けられる訳では無い。

そこで、アッパーフレームを加工する事にした。


当然、加工はフライス盤にて行ったが・・・思惑通りに仕上がった。


早速・・・改造なったフレームに、ドライブトレインを組み付けて見た。




結果は・・・設計通りに組み上がった事は言うまでもないが、恰も最初からその様になっていたかの様に、
何の違和感も無い。

これで・・・260Zのドライブトレインを移植出来たし、その上メインマストも12φとなった。


しかし、心配事がない訳では無い。

それは・・・純正フレームで使用されている材質の問題である。


キット等に梱包されていた状態のフレームから判断すれば・・・純正フレームは、生産コストの問題で
柔らかい材質を使用して、プレスで型抜きしているらしい。

その切り口から観察しても・・・プレスで型抜きしている事は、ほぼ間違いないだろうと思われる。

しかし・・・ここに大きな問題があって、材料自体に強度がないのだから始末に悪いのである。


多分、弊社が常用しているA2017等の硬いアルミ材を使用すれば、それだけで強度が上がると思われるが、
恐らく材質が硬過ぎてプレス加工がし難いのだろう。


その材質のデメリットは設計時のフレームレイアウトで解決するとして、それでもテストの結果、
剛性不足が露呈した場合には、A2017材を使用して新しくアッパーフレームも新造すればいい
と言う結論に達したのである。


続きは・・・次回で。







フレーム改造大作戦・・・その1

2013-02-20 08:54:03 | マテリアル
現在日本中で、趣味や業務用の空撮に使用されている、もっともポピュラーなラジヘリとは、
一体どんな機種なのだろうか?


販売時期が長かった事も有って、チョット前迄ではJRGS260系が多かったと思うが、
良くも悪くも、それしか無かった・・・と言うのが大きな理由ではなかろうか?


最近では、JR260ZとかクエストネオキャリバーZG等があるのだが・・・
私の知る限りでは、それ程の数量が出回っていない様な気がしている。


現在国内メーカーから市販されている、これらの機体(JRGS260系を除く)は、
それなりに研究されていて、機体強度も向上しているので、使用頻度が少ない場合には
それ程問題になる事は無さそうだ。


但し、JR260Zは補強が祟って、カタログ上の全備重量は、7,800gと・・・
少々重過ぎるのである。

因みに・・・260GSRのカタログ上の全備重量は、6,600gであり、
方やクエストネオキャリバーZGは、更に軽量で6,000gである。


通常、業務用の空撮に使用する時の全備重量は、機体重量+雲台等で5,000gと言うのが
妥当な線だろうと思う。


すると・・・260Zの運用自重は、12,800gにもなってしまう。

方や・・・同じ条件でクエストネオキャリバーZGをみてみると、11,000gなので、
際立った軽さである。


但し、JR系の機体には、無駄なテールボディーなるモノが含まれているので、厳密に比較する場合には、
その分は差し引き、尾翼等を新たに追加する必要が有ると考える。


機体の全備重量が軽いと言う事は、エンジンに掛る負担も小さく同じサイズのベアリング等であれば、
掛る負荷が少なく耐久性も向上するので、一般的には良好な結果をもたらすだろうと考えられる。

但し、十分な機体強度及び耐久性が確保された上での事だと言う事を忘れてはいけないのだが、
性能面でも、クエストネオキャリバーZGはなかなか良く出来ており、以前大改修を請け負った
機体を飛ばして見た限りでは良好な操縦特性を見せた。


そんなクエストネオキャリバーZGなのだが、他社の機体販売価格よりも、少し高めに設定された
販売価格が影響しているのか?はたまたJRファンが多いのか?残念ながら私の周りには、業務で
クエストネオキャリバーZGを使用している会社が少ないのが現状の様だ。


この様に、現在国内で市販されている機体については、チョット位なら空撮に使用しても、
殆ど問題は発生しないと思われるのだが・・・問題は、販売期間が長かった為に、大量に市場に
出回っているJR製のGS260系の機体に付いてである。

この機体は、そこそこ軽量なのだが、当初230として販売されていた経緯も有って、フレーム剛性等に
問題を抱えていて、そのままペイロードを掛けようモノなら、メインギヤの欠損等幾つかの危険要素を
はらんでいるのである。(既に現行の260Zでは、それらの対策が施されている事を付け加える)


弊社では、この様な様々な問題について、新たにパーツを作ったりして改善してきたので、
年間200フライト以上させても、殆ど問題は発生しなくなった。

勿論それは、260Zが販売される前の事だったが・・・

昨年、ギリシャに持ち込んだ機体も、Voyagerをベースに、そんな改修をした機体の中の1機である。



そんなVoyagerを使用している空撮会社のUさんから、半年ほど前に・・・オートロクラッチが
壊れてしまってどうしようもない・・・のだが、何とかならないか?との相談があった。


弊社でも、この手の機体を使用しているので・・・面白そうだからやって見ようか?と言う話になった。


又、変な事を請け負ってしまったとの自戒もあったが・・・そこは探究心が上回ってしまったと言う事で有ろうか?

この処の天候不良で、毎日雪ばかり降っていて撮影処ではないので、意を決して「フレーム改造大作戦」と
銘打って改修に着手した。


次回から、リアルタイムで改修の様子をお伝えしたいと思っていたら、その話を聞きつけた他の業者からも
そのフレーム俺にもクレ・・・と言ってきた。

何処から聞きつけたのか?まだ影も形も無いと言うのに、プレッシャーが・・・。



墳丘の撮影

2013-02-15 09:02:27 | 出張
この処・・・古墳の撮影が続いている。

今日、使用する機体も先日ご紹介したTREAMであるが・・・
先日とは打って変わって穏やかな気候の中での作業となった。

それは、さしずめ春の陽気?・・・とでも言おうか。



現場は、小高い山(丘?)の頂上に位置しているのだが、そんな状況の中
ごく短時間で作業は終了した。

それにしても・・・連日早朝からの出張撮影が続いている・・・

誰か「何処でもドア」を開発してくれる人はいないかな~・・・。

ガソリンエンジンに加工を施す

2013-02-13 17:26:22 | マテリアル
ある空撮業者であるユーザーから、29ccエンジンの注文を頂いた。

この業者には・・・予てから、数台の29ccエンジンを供給してきた。

このエンジンを搭載する機体は260Zで、年間200フライトさせるらしい。


しかし260Zに、箱から出したままの状態のノーマルの26ccエンジンでさえも、
そのまま組み付けてしまうと、幾多のトラブルが発生する可能性がある。


その上・・・29ccにしたハイパワーエンジンを搭載しようと言うのだから、
それなりの対策が必要不可欠である事は、容易に想像できるだろう。


最低でも数ヶ所の加工を施す必要が有る事は、既に弊社のブログでお伝えしているのだが・・・
その後、幾つかのブログやHPなどで、同様の投稿がされているので、その事を実感された方も
多いのではなかろうか?


260Zは・・・前作の260GSR等と比較して、フレームの剛性が大幅に向上している。


従って・・・260GSRでは、純正のままエンジンを搭載しても、フレーム剛性が低い分、
何とか耐えていられる状況もあったのだが・・・260Zではそんな訳には行かない様だ。


そこで、この様な機械加工が必要不可欠と言う訳なのだが・・・一般のユーザーサイドでは
なかなか実状が伴っているとは言えない状況も有る様なのでご注意を頂きたい。



いずれにしても、たとえこの様に適正に加工されたエンジンで有っても、安全に使用する為には、
こまめな点検が必要である事は間違いなさそうだ。


作業の様子

2013-02-09 06:37:00 | 出張
強風の中・・・いよいよ撮影が始まった。



この日使用したのは、弊社でフレームをワンオフ製作したSTREAMと言うGS仕様の機体である。

とにかく風が強い・・・この時点で、既に風速10m位はあるだろうか?


そんな名前のヘリを飛ばそうとするからなのか?風速計を持ち出す迄も無いような・・・
強風が吹き荒れていて・・・文字通り、嵐の様相を呈していた。

恐らく・・・上空はもっと風が強いだろう事は、想像に難くなかったが、
作業開始のGOサインが出た。


徐々にエンジンの回転を上げてゆくと・・・ユックリとメインローターが回転を始めた。


しかし・・・強風に叩かれて、まだ遠心力が乏しいメインローターの軌道が大きく崩れた。
すかさず・・・スロットルステックを下げる。

こんな時は・・・下手をすると離陸前に、メインローターがテールブームにヒットする
恐れもある事から、細心の注意が必要だ。

ただ離陸させる事にも一苦労する様な気象条件の中、何とか無事離陸させる事が出来た。


ホバーリング状態のヘリは、暴れている風の影響で、常時1mほど上下動を繰り返している。
流石に・・・スロットル操作も忙しい。



こんな日は機体に過大なストレスが掛かっていて、高耐久のヘリじゃなければ、
おかしなトラブルに見舞われる事もある。

その状態で、エンジンを含む機体全般の暖気を行ないながら、ヘリの挙動やコンディションの
最終点検を行なった。


強風等の、気象条件等の要因以外は全て良好。


そこから、一気に上空へ・・・。


グランドステーションのモニターディスプレィを覗くと、遠くに見える製紙工場の煙突の煙が
真横になっているのが見えた。




現場上空で、機首を海の方向に向けた。



暴れるヘリを慎重にコントロールしながら、この後も更に撮影は続いた。


こんな強風時には、何時にも増して繊細なコントロールが要求される。

その理由は、暴れる強風効果で、いとも簡単にメインローターが臨界角を超えてしまうからに他ならない。

臨界角を超えてしまうと、急激なタックアンダーやバルーニング状態に陥ってしまうから始末に悪い。

こんな状況の中でのスティック操作は・・・特に細心の注意が必要なのだ。


そんな緊張の中、無事に撮影作業は終了した。


こんな日は・・・ヘリは勿論、人間(オペレーター)にも過大なストレスが掛かる。


作業も終わり、無事着陸したヘリが先ずストレスから開放された・・・と同時に、
思わず人間からも大きな安堵のため息が・・・呼吸もまともに出来ない様なコンディションの中、
共にストレスから開放された一瞬である。

誰でもこんなバットコンディションの日には、撮影などしたくないのは勿論なのだが、
現場の都合で行わなければならない時が度々あるのだ。


ふと周囲に目をやると・・・たわわに実ったミカンが、太陽の日を浴びながら風に吹かれて
いるのが目に留まった。



そんな一見如何と言う事のない日常的な様子であっても・・・極度の緊張から開放された時には、
心休まる一時でもある。