ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

2024年の最後に一言

2024-12-31 | その他
昨日、指揮者の井上道義さんが、引退前の最後の演奏をサントリーホールで終えたそうです。
もう指揮を振る姿は見られないのは残念ですが、長い間お疲れさまでした。
2年前に雪で聴き逃した読響✕井上道義&服部百音のショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲を、今年6月にN響で聴くことができて感無量でした。
この時の演奏会のカーテンコールで不快に感じた、大勢のスマホでの写真撮影ですが、N響だけは許可しているとのこと。
最近それを知って驚きましたが、あの光景はやっぱり見ていて不快ですね。

今年ももうすぐ暮れて行きますが、私のブログはまた途切れ途切れで中途半端でした。
今年一年ブログを読んで下さった方々に、感謝申し上げます。
来年も引き続きよろしくお願い致します。




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全楽章間の拍手、残念なコンサート

2024-12-26 | クラシック音楽
12月10日、紀尾井ホール(東京)でのCocomiというフルーティストの室内楽コンサートで、ヴァイオリニストの東亮汰さんが共演することを知り、数ヶ月前にチケットの発売日程を調べて買いました。
チケットは抽選販売だったのですが、当たったのです。席は自動で割当てられ、中央ブロックの2列目で右寄り。なかなか良い席でした。

ここまでの間、私はCocomiを誰だか全く知らずに過ごしていました。

ある時、フルートを習っている友人に、Cocomiさんは木村拓哉さんの娘さんで、演奏は上手だということを教えられました。
どおりで、申込みが殺到するため抽選売りにしているのか、と納得したわけです。

当日、紀尾井ホールに着くと、CD売り場に人が次々に並んでいきます。このコンサートは、CocomiさんのCDのリリース記念コンサートだったのです。



出演者: 
フルート   Cocomi
ピアノ    山中惇史
ヴァイオリン 東亮汰
チェロ    矢部優典     

曲目:
ゴーベール:フルート・ソナタ第3番ト長調
マルティヌー:フルート、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ H.254
Like Someone in Love
Let's Fall in Love
Take Five
カプースチン:フルート、チェロとピアノための三重奏曲Op,86

私は普通に室内楽のコンサートを楽しもうと思っていて、演奏自体もそういう内容でしたが、ほとんどの観客はそのような思考ではなかったのです。
ゴーベールもマルティヌーもカプースチンのどの曲もクラシック音楽です。
最初のゴーベールのソナタは、フルートとピアノの二重奏。3楽章で構成されています。
第1楽章が終わったところで、拍手が沸き起こりました。
私は、え?なぜ拍手?ソナタじゃなかったっけ?と一瞬自分が曲を間違えたかと思いました。
続いて第2楽章、その後も拍手です。なんか変な現象が続きます。
間違って拍手しちゃった程度の数ではありません。

クラシック音楽ですよ。
ソナタでも協奏曲でも、何楽章かで構成されていればそれが一つの曲であり、楽章同士には繋がりがある。その繋がりの間にある余韻や静寂も音楽の一部だと思っています。
ですから、楽章間に拍手を入れたら、曲の流れが止まるし、演奏者の集中力が途切れてしまうじゃないですか!

本当に呆れてしまったのは、マルティヌーのソナタ三重奏。
ヴァイオリンとフルートの掛け合いがとてもきれいな曲です。多くのソナタは3楽章までですが、この曲は4楽章まであります。所謂、起承転結みたいに構成されているわけです。
ところが、これもまた、楽章が終わる毎に拍手が入り、途切れ途切れになってしまいました。

あの日、紀尾井ホールにいたほとんどが、Cocomiファンだったのでしょう。
フルートの友人が以前別のコンサートへ行ったときの話を後から聞きましたが、錦糸町のトリフォニー大ホールが満席になるほどファンが結集したということですから、相当の数です。

ファンのこの拍手は、曲が何だろうと関係なく、アイドルの演奏を賞賛するためで、私は場違いなところに来てしまったと感じました。

Cocomiさんの演奏は技術的なレベルが高く上手です。室内楽は演奏者同士の呼吸やタイミングが大切です。フルートが主役であっても、この日の曲の進行の要はピアノ。
ピアニスト、曲の進行を妨げられて多少うんざりしていたのではないでしょうか。
マルティヌーの3楽章が終わり、また拍手が始まった、となった時に、ピアノが間髪入れずに4楽章に入り、バッサリ拍手を切りました。ピアニストに拍手をしたい気分でした。(楽章間に間を取らないですぐ次に入る場合もあるのです。)

後半もまた同じことになるだろうと考え、前半だけでホールを後にしました。
紀尾井ホールという良いホールでしたが、残念な思いです。

楽章間の拍手については賛否両論あります。
個人的には、オーケストラ演奏のような規模なら、興奮して拍手してしまう人があっても許せますが、室内楽やソロ演奏では余韻や静寂も音楽の一部、だから楽章の間の拍手はダメ、というのが一クラシック音楽愛好者の心理です。

こちらに、クラシックコンサートを聴く際のマナーが書かれたページを見つけましたので、貼り付けておきます。
マナー編|コンサートのススメ|大音楽惑星


紀尾井ホールとホテルニューオータニの間にあったクリスマスツリー。

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アレクサンドル・カントロフの幻想の世界に引き込まれる

2024-12-06 | ピアノ
先週、ピアニスト、アレクサンドル・カントロフのリサイタルに2回行ってきました。2019年チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門の優勝者。
昨年のリサイタルを初めて聴いた時、その芸術性溢れる演奏に、他のピアニストにはない特別なものを感じたのでした。


2024年のツアーは、川崎、東京、愛知の3か所。
初日の演奏は、11月27日、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われました。前の投稿で説明した「夜ピアノ」企画の2回目です。
2日目は、11月30日、サントリーホールで行われました。

2024.11.27 ミューザ川崎シンフォニーホール
曲目:
・リスト:巡礼の年第1年「スイス」より オーベルマンの谷
・メトネル:ピアノ・ソナタ第1番へ短調Op.5
・ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番ニ短調Op.28
・バッハ(ブラームス編曲):無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番よりシャコンヌ(左手のための編曲)

アンコールは、
リスト:イゾルデの愛の死(ワーグナー S.447)

2024.11.30 サントリーホール
曲目:
・ブラームス:ラプソディロ短調op79-1
・リスト:超絶技巧練習曲集S.139より第12番「雪あらし」
・リスト:巡礼の年第1年「スイス」より オーベルマンの谷
・バルトーク:ラプソディOp.1 Sz.26
・ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番ニ短調Op.28
・バッハ(ブラームス編曲):無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番よりシャコンヌ(左手のための編曲)

アンコールは、
リスト:イゾルデの愛の死(ワーグナー S.447)
シューベルト/リスト:宗教的歌曲 S.562 R.247より第1曲 “連祷”

ミューザ川崎シンフォニーホール
ステージに登場して挨拶をし、ピアノに向かった瞬間、観客がいることを忘れたかのように曲の世界に入ってしまう。
痩せ型、気取ったところもないし派手さもありません。

今回のプログラムは全て難曲で、ほとんどが彼の得意の超絶技巧。
人間の指でここまでできるのかと思えるほどの超高速で力強い指の動き。それでいて、メロディーの骨格はしっかりしていて、鳴らす音がはっきり聴こえる。
音の強弱による陰陽表現が自然で美しい。
演奏を聴いていると、色彩や情景が浮かび、ストーリーが描かれているような感覚になり、どんどん幻想の世界に引き込まれて行くのです。

11/27の前半のリストからメトネルまで、曲間、楽章の間に休みを入れず、演奏に集中。拍手や挨拶は無用、静寂も呼吸も音楽の一部、と感じさせたいのでしょうか。
曲の世界に引き込まれて息を凝らしながら演奏を聴いている観客の中に、この静寂を咳で破ってしまう人が数人。

11/30の方は、前半のブラームスからバルトークまでの4曲、これも曲間、楽章の間に休みを入れません。4曲には関係性があって、1つの曲として考えていたのかもしれません。
その曲間で、大きな咳。それも怪獣か恐竜の鳴き声かと思えるような咳がホールに響き渡りました。演奏中にやられなかったのは幸いでしたね。(苦笑)


サントリーホールの座席から

両日とも、後半にラフマニノフのソナタ。音の重ね方や色彩がとても美しい。ラフマニノフよりラフマニノフ以上…?
ラフマニノフはロシア人ですが、カントロフの弾くラフマニノフはロシア&フランス風?なのか、何か違います。
カントロフのお父さんはヴァイオリニスト、ジャン=ジャック・カントロフ。フランス人ですが、ユダヤ系ロシア人。
この卓越した才能は、彼のルーツから来ているのか、とも思いたくなります。
何回でも聴きたい演奏です。

最後のバッハのシャコンヌ、一度舞台袖に戻ってから演奏します。この曲は、バッハのヴァイオリンの曲をブラームスが、右手を故障したクララ・シューマンのために左手だけのために編曲したもの。
バッハ入魂のこの曲を、左手だけで祈りを込めて演奏するその表現の豊かさには心打たれます。
曲終わり、最後の一音を押しながらそのまま静止。20秒ほどの静寂の後、頭を上げ、大きな拍手が沸き起こります。
感動的でした!
この人は、桁違いにすごいピアニストです。


サントリーホール前カラヤン広場のクリスマスツリー


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