ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

全楽章間の拍手、残念なコンサート

2024-12-26 | クラシック音楽
12月10日、紀尾井ホール(東京)でのCocomiというフルーティストの室内楽コンサートで、ヴァイオリニストの東亮汰さんが共演することを知り、数ヶ月前にチケットの発売日程を調べて買いました。
チケットは抽選販売だったのですが、当たったのです。席は自動で割当てられ、中央ブロックの2列目で右寄り。なかなか良い席でした。

ここまでの間、私はCocomiを誰だか全く知らずに過ごしていました。

ある時、フルートを習っている友人に、Cocomiさんは木村拓哉さんの娘さんで、演奏は上手だということを教えられました。
どおりで、申込みが殺到するため抽選売りにしているのか、と納得したわけです。

当日、紀尾井ホールに着くと、CD売り場に人が次々に並んでいきます。このコンサートは、CocomiさんのCDのリリース記念コンサートだったのです。



出演者: 
フルート   Cocomi
ピアノ    山中惇史
ヴァイオリン 東亮汰
チェロ    矢部優典     

曲目:
ゴーベール:フルート・ソナタ第3番ト長調
マルティヌー:フルート、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ H.254
Like Someone in Love
Let's Fall in Love
Take Five
カプースチン:フルート、チェロとピアノための三重奏曲Op,86

私は普通に室内楽のコンサートを楽しもうと思っていて、演奏自体もそういう内容でしたが、ほとんどの観客はそのような思考ではなかったのです。
ゴーベールもマルティヌーもカプースチンのどの曲もクラシック音楽です。
最初のゴーベールのソナタは、フルートとピアノの二重奏。3楽章で構成されています。
第1楽章が終わったところで、拍手が沸き起こりました。
私は、え?なぜ拍手?ソナタじゃなかったっけ?と一瞬自分が曲を間違えたかと思いました。
続いて第2楽章、その後も拍手です。なんか変な現象が続きます。
間違って拍手しちゃった程度の数ではありません。

クラシック音楽ですよ。
ソナタでも協奏曲でも、何楽章かで構成されていればそれが一つの曲であり、楽章同士には繋がりがある。その繋がりの間にある余韻や静寂も音楽の一部だと思っています。
ですから、楽章間に拍手を入れたら、曲の流れが止まるし、演奏者の集中力が途切れてしまうじゃないですか!

本当に呆れてしまったのは、マルティヌーのソナタ三重奏。
ヴァイオリンとフルートの掛け合いがとてもきれいな曲です。多くのソナタは3楽章までですが、この曲は4楽章まであります。所謂、起承転結みたいに構成されているわけです。
ところが、これもまた、楽章が終わる毎に拍手が入り、途切れ途切れになってしまいました。

あの日、紀尾井ホールにいたほとんどが、Cocomiファンだったのでしょう。
フルートの友人が以前別のコンサートへ行ったときの話を後から聞きましたが、錦糸町のトリフォニー大ホールが満席になるほどファンが結集したということですから、相当の数です。

ファンのこの拍手は、曲が何だろうと関係なく、アイドルの演奏を賞賛するためで、私は場違いなところに来てしまったと感じました。

Cocomiさんの演奏は技術的なレベルが高く上手です。室内楽は演奏者同士の呼吸やタイミングが大切です。フルートが主役であっても、この日の曲の進行の要はピアノ。
ピアニスト、曲の進行を妨げられて多少うんざりしていたのではないでしょうか。
マルティヌーの3楽章が終わり、また拍手が始まった、となった時に、ピアノが間髪入れずに4楽章に入り、バッサリ拍手を切りました。ピアニストに拍手をしたい気分でした。(楽章間に間を取らないですぐ次に入る場合もあるのです。)

後半もまた同じことになるだろうと考え、前半だけでホールを後にしました。
紀尾井ホールという良いホールでしたが、残念な思いです。

楽章間の拍手については賛否両論あります。
個人的には、オーケストラ演奏のような規模なら、興奮して拍手してしまう人があっても許せますが、室内楽やソロ演奏では余韻や静寂も音楽の一部、だから楽章の間の拍手はダメ、というのが一クラシック音楽愛好者の心理です。

こちらに、クラシックコンサートを聴く際のマナーが書かれたページを見つけましたので、貼り付けておきます。
マナー編|コンサートのススメ|大音楽惑星


紀尾井ホールとホテルニューオータニの間にあったクリスマスツリー。


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