いよいよ発表会。新しい服を着ていそいそと
カラオケ喫茶に向かう。駐車場も向かいの会社に
確保してあって、みんな止まれる。私はなぜか
特別扱い。多分タバコを吸うので、近くの場所に。
定員いっぱいの30人。かなり狭い。司会者の
予定や注意事項があって、いよいよ始まる。
2番まで。私は27番目。持参したセンスを握りしめる。
ごっつい緊張する。ただ歌うだけならそんなに緊張しない。
今日は踊りが伴う。つぎつぎに歌が流れて私の出番。
もう歌詞など上の空。どこを歌っているのかわからない。
昨夜ネットで見たセンスの使い方。まったくできなかった。
仲間の助けもあって、受けたらしい。絶賛の握手。私の気になる
あの人も、やわらかい手で、握手してくれた。勢いに乗る。
お昼はお弁当。幕の内。煮サバがとりわけおいしい。何年ぶりだろうか。
お昼からは順番が変わる。私のさらせ冬の嵐。14番目。センスの冬の蝶の
倍は受けた。曲がいいからかな。幸せな気持ちで、席につく。上がってなかったね。
笑うおばさんが目を白黒させて言う。その実マイクを握る手はプルプルだった。
退屈な歌は続く。かかしと踊るおっさん。ハロウィンの仮装のおばさんディオ。
色々趣向は続く。おもしろかったが、疲れた。つい言ってしまったまあまあ。
笑うおばさんににらまれた。最後にママのあいさつ。割合しっかり謝辞を述べる。
まあまあ。しゃれたつもり。大成功でないにしても勉強になった。あの人の手も
握れたし。もちろんママの手も握った。ごっついてだが、温かい。皆のぬくもりを
感じた一日。当分カラオケ喫茶がよいは、やめられない。しかし次の会用の歌がない。
きょうの成功は次回には望めない。さらせ冬の嵐以上の曲を見つけなくては。こまる。
敷居がどんどん高くなる。滑りそうで怖い。欠場しようか。それは許さんぞとママが言う。
おおそうだ。ママとデュエットの手がある。できればあの人と。一緒に歌ってくれるかな?
何手をあげてんじゃ。伊藤美誠。でもうれしい。歌えるならば歌ってあげようロンリーチャップリン
できれば瞳のきれいな人と。しんだ魚のような瞳はだめだ。白が言う。瞳の美しさから言うと
ブースカか。いつかデュエットしてみたい。その抜けるような白い耳たぶが深紅に染まるのを見てみたい。
アラ爺。あたしはどうなるの。あたしたちそしてどうなるの?。ママは別格。心をなめあう仲じゃない。
居酒屋かな?もっと新しいのがいい。渋谷川。待ってね練習してくるから。うーん爺のバカ。