2階の押し入れに、長持が68年以上入っています。これは、階段を通って運び出すことはできません。昔は建築の際に、壁などを作る前に長持を先に入れていたのです。だから、階段を通って出すことはできないことがよくあります。幸い窓からクレーンで出すことができました。
巨大な長持。私が「捨てないで」と言ったんです。縁側に置いています。
間取りを変える為一部取り崩した2階の土壁などの廃材(と書くのも心が痛い)も、くくって屋根の上に置いて準備しておいて、クレーンでトラックに積みます。そして廃棄に行きます…
2階の一部の土壁を支えていた竹の下地
こんな手仕事、今の日本で誰がするでしょうか。竹屋さん(土壁を支える竹を編む職人。今はほぼ絶滅してる)が縄で編んで作った。
68年以上経っても、まだしっかり結わってる。昔の職人の丹念な手造り仕事。写真の色は白く飛んでいるけれど、実際にはもっと黄色です。
「さようなら、今まで家の土壁を支えてくれてありがとう。」と思いながら、写真を撮りました。
「廃棄物」と呼ばないで。
うちに今来ている大工さんはそういう心がわかる人です。
お爺さんでも、そういうのを少しも想わない人は意外といましたが。 大工さん
でもこの大工さんは、丁寧に手造りされた古い物を大切に思う気持ちをわかってくれるので
安心してこの家の改築を委ねることができます。そうでない人に私はこの家を触って欲しくないのです。
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関連資料
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間取りを変える為一部の土壁を撤去しましたが、基本的には壁の基礎下地は旧来の土壁のまま
継続です。土壁は体にいいし、断熱効果があります。2階の壁はクロスにするつもりでしたが、
土壁が基礎になっている所にクロス(PVC)を貼ると土壁の意味がなくなると、某住宅メーカーの
方に言われました。土壁は呼吸して調湿しますが、PVCを貼ると呼吸させず調湿もできなくなると。
なので、クロスを貼るのはやめて真っ白な木板を張ろうかと思っています。紙壁紙だといいのかな。
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弟子の大工さんは、土壁の上を覆っている漆喰に直接クロスを貼るのではなく杢の下地の上に貼るから、
呼吸や調湿を妨げないと言いました。←でも間をあけてPVC貼るなら呼吸する意味ない気がする
?
廃棄材は、ごみ処理場ではなくて大工さんちの裏に置いておいて、木や竹などを燃やすために
貰いに来るおじちゃんにあげるそうです。その人は、昔ながらの生活をしていて、
物を燃やして火を焚くのだそうです。処理場じゃなくてよかった。
土壁の務めを果たしてきた大量の土は、うちの裏の畑の隅に還します。