Strawberry Thief
William Morris as an earnest Socialist
モリスのデザインした民主連盟の会員証。
Educate Organise Agitate 教育し 組織し 運動する
モリスは1833年に加入した。そしてそれは1884年に社会民主連盟となり、英国で初の社会主義政党になった。
モリスの小説「ユートピア便り」の冒頭飾り絵
”私は……社会主義者の目的は1つの宗教を創設することだと考えています、この目的に対して妥協は無用であり、
私たちは最後まで共に行動してくれるような人達だけが必要なのです。”
1883年8月にジョージアナ・バーン=ジョーンズに書いた手紙より
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私は最近、理想と妥協について考えています。
私は濁を呑むことができない性分だと人生の先輩にも言われてきてそう思ってきましたが
山の湧水のように澄みきった考えで物を見る人が明晰に書いた文章を読むと
自分が随分と現実に泥(なず)んできたことに気づかされました。
それは、現実との折り合い、脳内での考え方の調整、コントロールを自らしているということです。
社会の至る所から発せられるメッセージや直接的に向けられる言葉によって、妥協を身につけていました。
かれのような人を見ていると、好きになって、その清らかさ、ひたむきさ、真っ直ぐさに胸が苦しくなりました。
自分が清潔でないことや、かれが私よりずっと生きづらさが切迫していることなども思いました。
日本では、折り合い、妥協、調整 が大人のあり方だと当たり前のように言われていて
私もその考えに幾ばくか泥んできました。自分で思うよりずっと。
そうしないと死ぬというのもあります。現実に合わせないと、生活ができなくて、死ぬことになります。
私はラスキンや彼に影響されたモリスらの考えに感銘を受け魅了されます。
芸術家モリスは常に真剣でエネルギーに溢れ、理想を追求していました。
彼は裕福な家庭で育ち、自身の商会も成功していました。そういう立場だから、理想を追えると言えます。
彼の理念に基づいた商会のお客様も資本家や自由党の政治家といった富裕層でした。かれらがパトロンでした。
理想を追求できるのは、そうする余裕に恵まれているからで、
貧しい人は、生活をする為に、現実に泥まないと死んでしまいます。
メヴィウスリングのように終わりの見えない悪循環を思いました。
濁りのない澄みきった考えで物を見る人の言葉には、やはり衝撃を受け勇気づけられます。
(関連: Better is the enemy of Good この哀しい社会の中で 哀しい摂理 教養人と大衆の壁)