今までアップライトピアノは仏壇のあるお座敷に置いていましたが、最近次の間に移動させていました。次の間とは仏間の隣に続く和室のことです。昔は冠婚葬祭や法事を家でやるのが普通だったので、大勢の来客の為に、仏間の隣には次の間があり、人が集まった時には襖を開放して一連の広い空間を作っていました。だから食器や徳利やコップも大人数分あります。昔の名残です。
雨戸を閉めたお座敷
ガラス戸があって縁側があって雪見障子があって、お座敷と次の間があります。
だから直接的に明るくはない。薄暗くて、古い畳で、天井は高めで、スタンドランプで楽譜を
灯してピアノを弾いていると、これが結構よくて気に入っていました。音も場の雰囲気もです。
先日は停電になったので、蝋燭を灯して弾くと、とてもよかったです。
昔はそうやってピアノは弾かれていました。
シューベルトのセレナーデ:Ständchenやシューマンの流浪の民:Zigeunerlebenや、ドビュッシーの
Suite Bergamasqueを、コオロギが鳴く夜に弾くのがとても好きだった。
そのピアノを、出来上がった音楽ルームに移動させました。音楽ルームは私がピアノを弾いたり、ヴァイオリンなどと重奏をしたりする為に母が設けてくれた部屋で、元々は台所と食堂だった場所です。
(参照:re:再びvolute:巡り来る 音楽ルーム 音楽ルーム② 部屋自体がスピーカー)
この部屋は窓が4つがあり、とても明るいです。そこの壁際に置いて弾いてみると、音が全然違っていました。パーンと明るくて、鍵盤を撫でるだけでしっかり鳴りました。音がすごく響く。母は「音がよくなった。ピアノ自体が変わったみたい。」と言いました。
…… でも、私は気に入らない ><
ピアノは、籠った感じでランプを灯して弾くものだったのに、この部屋はすごく明るくて透明感がある。
音は今まではしっとりしていて、深み、陰翳があった。でもここで弾くと、伸びやかでキラキラ、流麗で
キャラが変わった。音がスラスラと出るから、タッチも軽くなった。今までは、鍵盤を深く押さえ
なければならなかった。哀しみを知らないピアノ そんな風情になった。
いい所は、とても明るい為、弾く時にピアノに後ろの風景が映って見えること。
気に入っていませんが、暫くこの部屋で弾いてみるといい所を他にも発見するかもしれません。
ガラス窓にピンク色に映った夕日に包まれながら弾けるでしょう。
とにかくすごく鳴ります。