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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「飯山」の記憶・前編

2022-01-28 23:29:10 | 自然から学ぶ

飯山観測所データより

(ただし今年は今日までの最深積雪)

 

 4日前に降った雪も田んぼから消えたが、掻いた雪が道の脇や、屋敷の庭にまだまだ残っている。今年の冬が雪が多いのか少ないのか、まだ1月だから何とも言えないが、近年の小雪状況から見れば多い印象を与えているのかもしれない。

 今日現在の飯山市の積雪は、気象庁の観測データでは137センチだという。今冬のこれまでの最深積雪は今月21日の166センチだった。ちなみに隣の野沢温泉の積雪は今日現在168センチ、最深積雪はやはり21日の192センチで、県境の向こうである津南では今日現在220センチ、最深積雪はやはり21日の246センチである。

 わたしは昭和54年末から同59年を明けた冬までの飯山の雪を体験している。わたしにとっては実質的な初任地だった。5年間の飯山の冬のイメージは、言うまでもなく雪に埋もれていた。とても雪の少ない冬をすごしたという記憶はない。おそらく最初の冬、ようは昭和55年を明けた今ごろ、ひと晩に1メートルほどの雪が降ったことを覚えている。これが「当たり前か」と思ったわけだが、実は滅多にはない降り方だったようだ。前掲したデータの気象庁の観測所「飯山」のデータから振りかえって見ようと思ったら、当時の積雪深データは、気象庁のページに掲載されていなかった。同ページに積雪深のデータが現われるのは昭和59年(1984)からだ。したがってそれ以降のデータをまとめたものが冒頭のグラフである。「最深積雪深」であるから、最も積雪深が大きな値を示した数値である。その年の最深積雪深は、おおかた2月、あるいは1月に観測している。前者の方が比較的に多いから、2月の方が積雪が多いという印象だ。そして年によっては年内、ようは新年を迎える前に観測しているケースもあり、令和2年は106センチを12月に、平成19年には32センチを11月に観測している。グラフからもわかるように、平成19年は、最も雪が少なかったようで、豪雪地飯山で32センチということは、スキー場では雪不足で困った年だっただろう。そう考えると平成元年の52センチも少ないし、平成28年の56センチも少ない。平均的には150センチくらいの最深積雪は例年観測するという感じだ。

 最後の飯山であった昭和59年の最深積雪は257センチ、ようはわたしにとって5年目の積雪状況は、それ以後現在までの最深積雪を見ても最も多そうな様相である。残念ながらそれ以前の4年間の記録がないので正確なことは言えないが、降水量の記録が掲載されている。ちなみに1日の降雪量の記録を昭和59年以降のデータから紐解くと、最も大きな値は69センチで、昭和63年2月16日、令和12年2月16日、平成18年1月3日、平成25年1月3日、以上4回記録している。そしてこの際の降水量をみてみると、それぞれ42mm、32mm、不明、24mmとなっている。不明とは「統計を行う対象資料が許容範囲を超えて欠けています」と解説されている。ということでこの降水量と、それ以前の降水量を比べてみる。わたしの飯山1年目である昭和55年には1月21日に53mmを観測している。以降翌昭和56年は1月11日に52mm、昭和57年1月19日に32mm、昭和58年1月22日に31mmを観測。最低でも31mm、1年目の昭和55年には53mmとその後の前掲した1日あたり降雪最大値の降水量よりはるかに大きな値を示している。ようはわたしの記憶は間違いではなく、おそらく昭和55年1月21日は、「朝起きたら前日より1メートル雪が深かった」日に違いない。

続く


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