Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

畦塗機で畦を塗る

2014-05-17 23:10:27 | 農村環境

 

 先週「今年の畔塗りは・・・」で触れたように、今年は3年間続けた畦塗り作業が画期的な変化を遂げた。畦塗機を手に入れたからだ。これまで毎年畦塗りについて触れてきたわけであるが、畔を塗るという作業は実に苦労の多い仕事だった。まず古い畦の表面を削り取ると、モグラの穴を埋めるように畦叩きを行い、塗るために水を通す溝を掘った。ところがこの溝に流す水の量がなかなか難しく、多すぎれば塗った畦が垂れてしまうし、少なければ塗りにくいという具合に、水加減が作業の量と所要時間を左右したものだ。1年に一度の作業だから、要領をつかむころには終わってしまうし、要領をつかんでもなかなかうまくいかないものだった。

 さてこれまで畦塗りにはまる3日以上要していたものが、畦塗機によってその所要時間は大幅に減少したといえる。とはいえ、前回も触れたように半信半疑のところがあったのと、トラクターの後ろに着けて行う機械とちがってそのものが軽いということもあって、畦そのものが弱いのではないかと予想していた。事実ただ機械を動かせばしっかりした畦が塗れるというものではなく、気を抜くと見た目も崩れやすいという畦が塗られてしまう。かなり神経を使う機械であると思ったし、いまだにその印象はある。ところが塗ったあとに畦元に水を流し、捏ねた土で補修しようとすると、崩れそうに見える畦もそこそこ固まっていて、簡単に崩れるようなものではないことがわかった。かなり見た目が悪くできあがっても、そこそこの機能を有す畦が出来上がるということがわかった。きゃしゃな機械の割には、予想以上の畦が塗り上がったという印象である。

 その機械であるが鷹岡工業所というところが製作しいる「こあぜ」という機種。新品を買うほど信頼していなかったこともあって中古を手に入れたわけであるが、説明にもあるように、乾いた土で畦塗りができるというメリットがあるものの、乾きすぎていると綺麗な畦にならない。また濡れすぎているとスタックしてしまい機械が前進しないという欠点もある。ようはふだんの手で塗る畦塗り同様に、土と水の関係には神経を使わなくてはならない。今回も塗る前段になって、隣の水田で代を掻くために水を浸けたところ漏水してきて水田全体がぬかるんできてしまった。これでは機械が入れないと思っていたが、天候の様子をうかがって試みたところ、少し軟弱気味であったが、なんとか形にすることができた。ただドライな土に比べると苦労が多く、進度も遅い。やはり乾いている土の方が塗りやすいようだ。写真の水田は乾きすぎていると思っていたが、そこそこの畦が塗れたわけで、雨の降ったあと晴天が2日ほど続けばちょうど良い、という感じであった。機械が小さいということもあって畦の高さには少しばかり不満が残るが、畦塗りそのものの時間はこれまで3日かかっていたものが2時間ほどのもの。前段の古い畦の土を剥ぐ、畦際を耕起するというあたりは同じ手間であるが、そのあとの水回しの気配りはもちろんのこと、畦を塗る際に水を調整するため幾度となく水口調整をする手間のことを思えば、畦塗り以外の作業もかなり省力化できた印象である。

 今回は初めてだったこともあって、畦際の耕起を深くしすぎてしまった。そのため畦の高さが低くなってしまうという失敗を経験したが、畦際の耕起もそう神経質にやらなくても良いということがわかった。気をつけたいのは、築立する土の中に有機物や石が入らないように晩秋の耕起の際に稲株をなるべくあぜ際から取り除いておくのが良いのだろう。いずれにしても、予想以上に“使える”機械であったと思う。ただし、駆動力が弱いのは欠点と言え、作業時動力を選択すると前進はともかくなかなか後進しない。とくに湿った土の中では人力で引っ張らないと動かないのは大きな欠点といえる。


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2 コメント

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こあぜについて (山内)
2015-06-18 20:32:42
初めまして山内と申します。

こあぜを購入したとの事ですが
どこで購入して
又価格はいくらくらいだったか教えて頂けませんでしょうか?

宜しくお願い致します。
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Unknown (trx_45)
2015-06-22 20:33:46
山内様

製作している鷹岡工業で中古を購入しました。
40万近くしました。
返信する

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