ダッフィーが・・・
お参りさせていただくと歓声が上がります。
何事かと思いきや・・・
「〇〇ちゃん、見て見て!ダッフィーが、ダッフィーが着物着とるよ~!」
「え~、凄い!こんなの初めて見たね~!」
「ありがとうございます。どうぞ、ゆっくり見て下さい。坊守が作ってくれたんですよ。私の御衣と御袈裟姿なんですよ。」
大阪から帰って下さった姉妹が褒めて下さるのです。
20歳前後でしょうか、曾婆ちゃんのご縁に帰られました。
別に何か他に話すわけではないのですが「ショウジン君」のお陰で和やかなスタートにしてくれました。
女子高生のようなバックに風呂敷・・・
初めて見る方は「何なん、この住職・・・」って思われそうな状態。
でも、こんなオッサンがこんなかわいいモノを手に持つことのギャップがいいのです、多分・・・
ってコイツが思っているだけなんですが・・・
コイツは、マジお気に入りです。
これで優しい空気にして下さるのですから・・・
嫌な空気が流れるよりず~っといいことです。
力のないコイツを支えてくれます。
「どうぞ、御三部経の御本を持ってきていますので開いてみてください」
直ぐに手に取って下さる方・・・
敬遠される方・・・
それぞれです。
視界に入る先ほどの姉妹・・・
自ら御経本に手を伸ばしてくださいます。
隣のお婆ちゃんに親切に折々場所を教えてくれていました。
無量寿経の途中で御自身も分からなくなりお経本を置かれてしまいましたが・・・
「あ~、分からなくなったのか・・・残念。」
決して速く勤めているのではないのです。
コイツが言うのも可笑しいのかもしれませんが結構ゆっくりペース。
でも、どこまで読むんだろう・・・
他にどんなことが書かれてあるんだろう・・・
そう思うのでしょうか、指を挟みつつペラペラ捲っておられましたが・・・
でも、嬉しかったのです。
例え少しでもいい・・・
御経を読んでくれて嬉しかった。
御経に触れてくれて嬉しかった。
こんな若い子が手に取ってくれた・・・
お経を開けてみよう・・・
そう思い立ってくれる気持ちが勿体なかったのです。
この世代の子にとって携帯は肌身離さず常に手に持って開けているようなイメージがあります。
そんなひと時で終わっていても可笑しくなかったのです。
でも、そのひと時・・・
その手に御経本を持って下さった・・・
それだけで嬉しかったな~。
いつの日か気付くことがあるかもしれません。
あ~、そういえば曾婆ちゃんのご縁の時に御経に触れたな~って・・・
あの時にはあの人もいて、この人もいて・・・
でも・・・
儚き命に気付き、大切に生き抜こうと思える自分に・・・
そして、皆が優しく支えて下さっていることに・・・
ようこそお参りでした。