月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

サクサクパンダのはなし

2010年08月31日 21時48分58秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
今日も初盆の灯籠終いのご縁にあちこちお参りさせていただきました。
皆さまそれぞれにひと月灯していた灯籠の灯りをどことなく懐かしそうにご覧になられていました。
ほのかに灯る灯り、ゆっくりとまわる灯り、ゆらめく灯り・・・
灯りって懐かしくて、あたたかくて、恋しいものですね。
阿弥陀さまはわたしたちにとっての灯りとなって、わたしたちをやさしく育ててくださっているのですね。


Yさんのお宅にお参りさせていただきますと、お仏壇に≪サクサクパンダ≫という小さなお菓子の箱がひとつ、真ん中にお供えされていました。
きっと、いつも遊びに来るひ孫ちゃんにおさがりとしてあげるためにお供えされているんだろうな、と勝手な想像をしていたのですが、おつとめが終わりお家の方とお話をさせていただく中に、
「あのお菓子は、ひ孫のH君が“じいちゃんにあげる!”と自分で買ってきてお供えしてくれたんですよ」
ということをお聞きしました。
H君は小学1年生。優しかったおじいちゃんのことが大好きだったのでしょうね。
それに、おばあちゃんがいろんなことをお話されながらお仏壇のお荘厳をなさっているのを、H君はちゃんと見ていたのでしょうね。
いつも大好きなお菓子や果物を、おばあちゃんがおさげしてからくださるのでしょうね。

心がポッとあたたかくなるようなお話でした。

仏さまにお供えしてからいただく、ということの大切さを改めて感じさせていただきました。
自分で買ったものは自分のもので当然!なのですが、その中に対価よりほかの見えないはたらきをいただいていることに気づかせていただくと、自分のもので当然という思いがひっくり返されます。
“おかげさま”なのです。“いただきもの”なのです。

H君はそれを自然にしてくださるのですね。
これも、阿弥陀さまのお育てなのでしょうか。

あたたかくて、ありがたいご縁でした。



久々問答

2010年08月31日 20時23分11秒 | 仏々相念(住職日記)
面倒くさい・・・

8月も終わりますね。
皆さんはどのような一ヶ月でしたでしょう?

猛暑続きで大変でした。
今年ほど氷水を飲んだ月はなっかたです、おいしいのです。
そして夕食時頂く350の缶ビール・・・
ゴクゴクゴクと最高のひと時をいただいていることです。
「そんな、ビールをチビチビ飲むものではない」って言われるような飲み方でしたが・・・
この歳でやっとってな感じです。

夕方、今月も北に南に共に走ってくれた愛車を洗車しました。
「今月もありがとう!来月もよろしくね!」って思いながら愛おしく・・・

すると・・・視線を感じるのです・・・
そう、彼女でした!
白い自転車に跨り私の方を見ているのです。
「お~!日曜日はよう来たね」って手を挙げると二コ~といい笑顔で寄ってきます。

洗車している私の横に座り込むと始まります、
「ねえ、なんで長袖着いとるん?」
「汗、流したいからだよ!」
「なんでながしたいん? 気持ち悪くないん?
「汗、流したら気持ちいいじゃん! 汗かいた後のシャワー気持ちいいよ! 嫌いなの?」
「面倒くさいもん!」

「なんで暑いのに車洗うん? ねぇ、なんで・・・なんで・・・」

私の子どもたちもこんな時があったのに・・・
なんて思いながらひと時懐かしく、楽しく話させていただいたことです。

「Yちゃん、もう日が暮れるよ! お家の人が待ってるよ、早く帰らないと・・・」
「待ってないよ!」っていつもの返事。
「きっと、待ってるよ! 早くお帰り・・・」

って話していると、お母さんの車が迎えに来てくれました。
「ほら、お母さんだよ! 良かったね・・・」

やっぱり、親はいいものですね。
お母さんの車に着いて白い自転車で帰って行かれました。
「じゃね~!バイバイ!」
爽やかに、嬉しそうに・・・

また、参っておいでよ~・・・
おっちゃん、待ってるから・・・

還相回向

2010年08月30日 20時42分59秒 | 仏々相念(住職日記)
「泣きません」・・・

99歳の母親の葬儀に会われます。
幾つになろうとも親と子・・・
別れは辛く悲しいものなのですね。

しっかりされていたお母さんでした。
「お婆ちゃんは、いつ会っても若いですね。全然変わられんね!」っていうのが挨拶でした。
正直、100歳は余裕でクリヤーと思っていましたが・・・
儘なりません。

若くしてご主人を戦争で亡くしました。
幼き子どもを抱え、本当に良くがんばられました。
辛いこと、悲しいこと、切ないこと・・・そんなことばかりの人生を歯を食いしばり進んで来られたのです。
会う度に聞かせていただいた若き時代の話・・・

「早く迎えに来てくれたらいいのに・・・」いつもいつも呟かれていた。

「死んだらお勤めして下さいね・・・」とも。
「私が先に死んだらお聴聞して下さいね」って言っていましたが・・・

やっと苦しみの人生を終え楽になったね・・・
愛するあなたに出会えてどうでしたか・・・
亡き顔を見ながらいろいろ問い掛けたことです。

嬉しくて・・・
でも、ジッとしておることもできないでしょ・・・
還らずにはおれないでしょ・・・

ず~~~っと一緒でしたね!
死ぬ時のお迎えではなく、力強く生きることのできるようにおはたらき下さるのですね・・・