人権完結編でつ
詳細はそのまま使える小論文キーワード2500(学研辞典編集部)参照
前回までの24じゃなかった人権の流れは・・・・
① 貴族の特権から個人の人権へ→ジョン・ロックの社会契約説@
② 自由権から社会権へ→ワイマール憲法@
③ 法律による保障から憲法による保障へ→ナチズム@・ファシズム@でした
そして今回が最終章!
④国内的保障から国際的保障へ→世界人権宣言・国際人権規約
第二次世界大戦後,人権思想の進展にともない,人権を国内的に保障するだけでなく,国際的にも保障しようとする傾向が広まっていった.
1948年には世界人権宣言が出され(法的拘束力なし),
1966年には国際人権規約(締約国は実施義務あり)が採択された。
国際人権規約は,A規約(経済的,社会的および文化的権利に関する規約)とB規約(市民的および政治的権利に関する規約)そして,B規約に関する選択議定書(被害者個人の救済申し立てを認める)に分かれる.日本は1979年に,A・B両規約を批准(ひじゅん)したが,国内的事情のため,B規約に関する選択議定書には,司法権の独立等を理由に未批准.また,A規約の一部(祝祭日の給与支払い,公務員のスト権,高等教育の無償化)について留保した.
その他の主な人権条約を概観する.
・人種差別撤廃条約(1965年国連総会で採択,日本は1996年に批准)ただし,差別思想の流布や差別の扇動なども法的処罰の対象とするという条項については留保した.
・女性差別撤廃条約(1979年国連総会で採択,日本は1985年に批准)日本では批准にともない国内法を改正した.
・国籍法改正(父系血統優先主義から父母両系血統主義へ)・男女雇用機会均等法@の制定
・高校家庭科学習の男女共修化・男女共同参画社会基本法の制定→ジェンダー@
・子どもの権利条約@(1989年国連総会で採択,日本は1994年に批准)18歳未満の子どもに対する差別禁止,意見表明権,思想・表現・良心の自由等を規定.子どもを権利の主体としてとらえる.→少年法@
・死刑廃止条約(1989年国連総会で採択,日本は反対)死刑廃止を明文化した初めての国連条約.批准国には死刑廃止が義務付けられる.日本,アメリカ,中国,イスラム諸国は反対している.→死刑制度@
これら4つの歴史的流れをふまえ,日本国憲法における人権を考えると,その根本的価値観は
13条の個人の尊重の原理「すべて国民は,個人として尊重される」である.
全ての憲法の条項は,この個人の尊重という価値観に基づいて検討していく.
つまり,個人の尊重を実現するために,
憲法@では人権の規定を置き,
その人権を守るために
統治機構(国会・内閣・裁判所)の規定がある.
国民主権@・民主主義@・平等主義・福祉主義といった考え方も,この個人の尊重から導きだしていく.
[着想] 人権問題を考える際には,
どのような救済手段が
その個人の権利保障の見地から考えると最適なのかを
具体的に判断していく.
例えば子どもの権利を考える時,
一般的に子どもは成人と異なり,未成熟で自立できない.そのため子どもの成長には,親や国家等が保護・育成する責務を負うべきという保護主義の考えが伝統的に重視されてきた.
事実,子どもを取り巻く家庭環境が劣悪な場合には保護主義に基づく教育が要請される→.「少年法@」
だが,この方針を過度に重視しすぎると,子どもの自己決定権@を妨げる危険がある.
従って,子どもにも出来る限り成人並みの個人的自由を保障すべきであるという解放主義の考え方も必要になる.
こうして子どもの人権を保護主義で救済するのか,子どもの自己決定権@の尊重かという正反対の方針が出てくる.
いずれの立場にせよ,子どもがどのような環境の下で成長していくことが望ましいのかについては,両者に違いは見られない.
つまり,両者共,
子どもは「家庭環境の下で幸福,愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべき」であり,「社会の基礎的な集団」としての家族が,子どもの「成長及び福祉のための自然な環境として,社会においてその責任を十分に引き受けることができる」ことを理想としている
(子どもの権利条約@前文).
このような環境が破壊されて,子どもの権利が脅かされたとき,
子どもの能力や社会環境を考慮して、
それを保護主義で救済していくのか,解放主義で救済していくのかを個別具体的に論じたい.
[注意] 人権の問題を論ずる際には,誰の,どのような人権が,誰によって制約され,その制約は許されるのか,ではどうすべきか,という思考で問題を検討していく.
国際的な人権の問題(北朝鮮による日本人拉致事件等)を論ずる際には,主権国家の存在がポイントになる.つまり,その国が近代憲法の基本原理を受け入れているか否かということが重要であり,それが思考の出発点になる.
[関連] 国際化・自由・法・憲法問題・少年法・死刑制度・ジェンダー・社会保障
[出題] 「少年法の厳罰化の是非」「自己決定と自由」「死刑制度の是非」
詳細はそのまま使える小論文キーワード2500(学研辞典編集部)参照
前回までの24じゃなかった人権の流れは・・・・
① 貴族の特権から個人の人権へ→ジョン・ロックの社会契約説@
② 自由権から社会権へ→ワイマール憲法@
③ 法律による保障から憲法による保障へ→ナチズム@・ファシズム@でした
そして今回が最終章!
④国内的保障から国際的保障へ→世界人権宣言・国際人権規約
第二次世界大戦後,人権思想の進展にともない,人権を国内的に保障するだけでなく,国際的にも保障しようとする傾向が広まっていった.
1948年には世界人権宣言が出され(法的拘束力なし),
1966年には国際人権規約(締約国は実施義務あり)が採択された。
国際人権規約は,A規約(経済的,社会的および文化的権利に関する規約)とB規約(市民的および政治的権利に関する規約)そして,B規約に関する選択議定書(被害者個人の救済申し立てを認める)に分かれる.日本は1979年に,A・B両規約を批准(ひじゅん)したが,国内的事情のため,B規約に関する選択議定書には,司法権の独立等を理由に未批准.また,A規約の一部(祝祭日の給与支払い,公務員のスト権,高等教育の無償化)について留保した.
その他の主な人権条約を概観する.
・人種差別撤廃条約(1965年国連総会で採択,日本は1996年に批准)ただし,差別思想の流布や差別の扇動なども法的処罰の対象とするという条項については留保した.
・女性差別撤廃条約(1979年国連総会で採択,日本は1985年に批准)日本では批准にともない国内法を改正した.
・国籍法改正(父系血統優先主義から父母両系血統主義へ)・男女雇用機会均等法@の制定
・高校家庭科学習の男女共修化・男女共同参画社会基本法の制定→ジェンダー@
・子どもの権利条約@(1989年国連総会で採択,日本は1994年に批准)18歳未満の子どもに対する差別禁止,意見表明権,思想・表現・良心の自由等を規定.子どもを権利の主体としてとらえる.→少年法@
・死刑廃止条約(1989年国連総会で採択,日本は反対)死刑廃止を明文化した初めての国連条約.批准国には死刑廃止が義務付けられる.日本,アメリカ,中国,イスラム諸国は反対している.→死刑制度@
これら4つの歴史的流れをふまえ,日本国憲法における人権を考えると,その根本的価値観は
13条の個人の尊重の原理「すべて国民は,個人として尊重される」である.
全ての憲法の条項は,この個人の尊重という価値観に基づいて検討していく.
つまり,個人の尊重を実現するために,
憲法@では人権の規定を置き,
その人権を守るために
統治機構(国会・内閣・裁判所)の規定がある.
国民主権@・民主主義@・平等主義・福祉主義といった考え方も,この個人の尊重から導きだしていく.
[着想] 人権問題を考える際には,
どのような救済手段が
その個人の権利保障の見地から考えると最適なのかを
具体的に判断していく.
例えば子どもの権利を考える時,
一般的に子どもは成人と異なり,未成熟で自立できない.そのため子どもの成長には,親や国家等が保護・育成する責務を負うべきという保護主義の考えが伝統的に重視されてきた.
事実,子どもを取り巻く家庭環境が劣悪な場合には保護主義に基づく教育が要請される→.「少年法@」
だが,この方針を過度に重視しすぎると,子どもの自己決定権@を妨げる危険がある.
従って,子どもにも出来る限り成人並みの個人的自由を保障すべきであるという解放主義の考え方も必要になる.
こうして子どもの人権を保護主義で救済するのか,子どもの自己決定権@の尊重かという正反対の方針が出てくる.
いずれの立場にせよ,子どもがどのような環境の下で成長していくことが望ましいのかについては,両者に違いは見られない.
つまり,両者共,
子どもは「家庭環境の下で幸福,愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべき」であり,「社会の基礎的な集団」としての家族が,子どもの「成長及び福祉のための自然な環境として,社会においてその責任を十分に引き受けることができる」ことを理想としている
(子どもの権利条約@前文).
このような環境が破壊されて,子どもの権利が脅かされたとき,
子どもの能力や社会環境を考慮して、
それを保護主義で救済していくのか,解放主義で救済していくのかを個別具体的に論じたい.
[注意] 人権の問題を論ずる際には,誰の,どのような人権が,誰によって制約され,その制約は許されるのか,ではどうすべきか,という思考で問題を検討していく.
国際的な人権の問題(北朝鮮による日本人拉致事件等)を論ずる際には,主権国家の存在がポイントになる.つまり,その国が近代憲法の基本原理を受け入れているか否かということが重要であり,それが思考の出発点になる.
[関連] 国際化・自由・法・憲法問題・少年法・死刑制度・ジェンダー・社会保障
[出題] 「少年法の厳罰化の是非」「自己決定と自由」「死刑制度の是非」