スズキ アルト HA24S
走行中に赤や青の水温ランプが点滅することがある、ということで来店されました。しかし、実際に試運転してみるとなんら問題ありませんでした。故障コードをチェックしても、履歴には残っていません。整備振興会のFAINESで調べてみると、そういった事例があるにはありました。
しかし、水温ランプのほかにもO/Dやチャージなどのそのほかのランプも点灯する現象で、本件とはちょっと違います。ちなみにこのケースはメータークラスタ~BCM間の配線の接触不良だということらしいです。
ということで、冷却系統をすべて点検し、ハード的に異常のないことを確認して、お客様に返却。現象が連続的に起こるようになったら持ってきてもらうようにお願いしました。
数日後、来店され、今度はエンジンチェックランプが点灯しておりました。整備屋にとってみれば、チェックランプが点灯してくれた方が修理の近道なので、言葉は悪いが「ラッキー」でした。
お客様には待合室で待ってもらい、その間ダイアガンX431で検索をかけます。車から離れた別室でお客様に見てもらいながらこの作業ができるのもメリットです。今の車の状態を説明しながら一緒に見てもらえるというのは、なかなか良いです。ケーブル付き診断機では絶対できません。今の季節なら、指がかじかんでうまくタッチ操作ができないでしょう。
DTCはP0117 水温センサー回路LOW故障
車をアイドリングでほっとくと、赤ランプも点いたり消えたりします。ということで早速水温センサーを単体テストしてみましたが、なぜか問題なし。再度コネクターをとりつけてみると今度は正常に戻っていました。なおっちゃいました。
勝手に直ることは日常茶飯事です。なので、現象が出ている間にできるかぎりの情報を取るしかありません。
上は水温信号のリアルタイムデータですが、ひげが生えています。この瞬間回路が短絡しているものと思われます。このテストはコードクリア後に再度行っていますが、この現象の後ではコードが再ストアされることありませんでした。たぶん、瞬間的な断線/短絡はコードストアしないのでしょう。5秒ぐらい続いた場合に故障コードを入れるのだと思います。
一般的に断線の場合は数値が極端に低く、短絡の場合は極端に高い。このケースでは値が高いので「短絡故障」と推定。
ハーネスをゆすってデータを見ますが、変化なし。簡単に触ったり振動を与えたりして再現できる故障状態ではなさそう。手が届かない狭いところにもハーネスが通っているため、全ての路線でゆすりテストができるわけでもない。
少しほかの作業をして、再度見てみると・・・・
と、これだけ激しく短絡を繰り返すこともあり。
ということで総合的に判断して、確実な修理法は「配線引き直し」に決定。
元線は殺して、コンピューターとセンサーを直接2本の線でつなぎなおします。
冷間から何度かテストを繰り返しますが、異常信号が出ることはなくなりました。ダイアガンは端末を事務所に持って入れば、長時間アイドリングテストも暖かい環境でモニターできます。そのまま車に乗り込んでテスト継続できます。非常に便利。