かなりオイル管理の悪い車です。不調のときしか入庫しません。普段のメンテナンスはほぼ車検のみ。
今回の現象は、完全暖気後のアイドリング時のエンストです。エアコンを入れていればなんとか死にません。
前述のように、メンテが悪いので13万キロも走れば軽自動車としては天寿をまっとうしたのではないかと思いもしました。ただ、メタルノイズなどは特に聞こえません。調べてみる価値ありと判断し、さっそく診断機を接続しました。
ISCデューティーが、下は8%、上は16%ぐらいの間でハンチングしています。この不安定な動きを繰り返し、エンストしてしまいます。
一般的に、デューティー比は50%ぐらいになるように設計されていて、外乱が入ってきても上下同じぐらいの制御幅を持たせています。たとえば、何らかの負荷がかかって、回転が落ちたとしても、デューティーを50%から80%ぐらいまで上げて回転を持ち上げようとします。
今回のケース、回転が落ちそうなので、ISCががんばってデューティーを増やし、回転を上げようとしているものだとばかり思っていました。しかし、予想とは逆。減らそう減らそうとしています。
推理するに、ISCで制御する以上のエアーがどこからか入ってきている、と思われます。
ということで、さっそくISCを分解します。
左が新しいパッキン、右が古いパッキンです。オイル管理が悪く、パッキンがオイルを吸いまくって膨張しています。かなりの膨張具合です。こんなにでかくなるものでしょうか?
その他メインのケースとのパッキンもぶよぶよで、ISCバルブシャフトそのものもアダが大きくなっていました。この隙間からエアが漏れて、アイドル不調につながったのでしょうか?
こういった隙間の変化に対応するためのデューティー制御なので、デューティーを減らすのは理にかなっています。漏れエアでもエアはエアで供給されているわけだからエンストしないはず。でも今回は、バルブへのカーボン付着が半端ではなかったため、まともに制御できていなかったと考えられます。
きれいに掃除して組み付け、(シャフトのアダはそのまま)再度デューティーを調べます。
デューティーは改善しました。それでも24%程度。エンストはなくなりました。理論的に言えばアイドリング用で供給されるエア量はほとんど変わっていないはずですが、きちんと制御されて供給されるエア量が増えたため、ハンチングがなくなりエンストが改善した、と考えます。
どっちみち走行フィーリングはまだまだわるいので、ISCそのものを交換するか、それでは足りず、エンジン本体にも手を入れなればならないと思います。