絵日傘をかなたの岸の草になげ
わたる小川よ春の水ぬるき
晶子の大好きな歌
早春のこの時期になるといつも思い出す
故郷の街中を流れる大きな川
子供の頃この歌を彷彿とさせる場所があった
橋を渡らずかけてある板の上を
はしゃぎながら渡ったものでした
以来幾星霜
今ではすっかり整備され
街はずれの土手で腕いっぱい摘んだ月見草も
姿を消してしまっているのではないでしょうか
子供のころ遊んだ絵日傘も
晶子の頃、裾をからげて渡ったであろう
乙女達も、今や昔
残っているのは郷愁だけのようです
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