引越しご挨拶

事務所のあるアパ-トの203号室に越してきたTさんが引越しの挨拶に見えたらしい。
らしいと言うのは事務所の入口のノブに紙袋がぶら下げてあり、
中に挨拶のお手紙とクッキ-が少し入っていた。

このアパ-トの住民は殆どの人が挨拶をしない。
こちらから挨拶しても知らん顔の人が多い、返事が返ってくるのはごく僅か。
それを事務員さんも女房殿も嘆いておったところに、そんなお方が・・・。

ワシはいたく感動し、朝から気分がエカッタ。
昔はみんな近隣の挨拶はしとったよね？　当たり前の事じゃった。
近頃それをせんのはど-ゆ-訳？　

こうやって近隣に挨拶に回られる方ってどうな人じゃろう？
ワシらぐらいの年配の人？　親の教育がエカッタ若い御夫婦？
よし！　お礼にの品を持って、こちらからも挨拶に行っとこう。
そう思うたら、すぐにケ-キ屋さんでショ-トケ-キ2つ買い、その部屋を訪ねた。

意外にも若い女性の声がインタ-ホンから聞こえてきた。
『ハ-イ！　お待ちくださ～い』元気のええ声じゃ。
ドアが開いて挨拶に来て貰うたのに留守をしていたのを侘び、
近頃には珍しかったんで、感激してお礼の挨拶に来た旨を告げた。

『あ～あ、一番むこうの部屋の方ですね？　よろしくお願いします！｣
とても明るい感じのエエ人じゃった。
新婚さんなのか独身なのか分からんが、これで顔を見たら挨拶してくれる人が増えた。
挨拶は大切なコミュニケ-ションの第一歩じゃもんね。