本日11月23日は、日本全体の収穫感謝の祭礼である「新嘗祭(にいなめさい)」が宮中はじめ全国の神社で斎行されます。
新嘗祭そのものの起源は大変に古く、最古の物語である『古事記』にも既に見られるほど、神代の時代から続けられている神事です。
神事では、その年に収穫されたお米を中心に、様々な食べ物が神々にお供えされ、五穀豊穣と国家国民の安寧を祈ります。 多くの神社では23日の午前中に神事が行われますが、宮中においては、天皇陛下御自ら、23日18時からの「夕(よい)の儀」と、23時からの「暁(あかつき)の儀」と、二度に分けて執り行われ、それぞれ2時間超の長い神事が行われます。 天皇陛下御自らそれほどに深い祈りを捧げられる事から、宮中においても最も厳粛に執り行われる神事の一つです。
ちなみに、天皇陛下による新嘗祭の神事が納められましてから、新米は頂くものとされており、明日24日の朝ごはんから新米を食すのが習わしとされています。(ただし、現今では9月頃から新米が出回るようになっていますので、あくまでも古式の習いとお捉え下さい)
またこの宮中の新嘗祭では、白酒(しろき)、黒酒(くろき)という特別なお酒も献られます。 一般の神社でお供えされる事は稀なのですが、伊勢国に鎮座します久居八幡宮の禰宜さまより、ご厚意で本年も黒酒を奉製する為に必要な、伊勢国の久佐木の灰をお頒かち頂きまして、当宮でも黒酒を奉製しお供えさせて頂いております。久居八幡宮の禰宜さま、ありがとうございました。
本年は、猛暑と長い残暑の影響で、お米の生育が西日本ではあまり良くなく、大阪では8月に一時的に米不足になりましたが、農家の皆さんのご尽力、流通各社のご尽力のお陰で、この新嘗祭には例年通り新米をお供えする事が出来ました。
当たり前のようですが、当たり前ではない、人知れずの苦労があっての事だと思います。大神さまはそうした人知れずの努力にこそ眼差しを向けるとも申します。今日の新嘗祭の新穀、新酒を大神さまも思い深くいただかれたのではないかと思うところです。
御神饌につきましては新嘗祭をお納めした後、普段であればすぐに撤下しておりますのが、お米の大切さを知って頂く機になればと思い、本日夕方頃まで、茶屋町の綱敷天神社 御旅社の本殿内に、新米、白酒、黒酒を、ご参拝皆様にもご覧いただけるように置いております。ぜひお参りの際はご覧下さい。
どうぞ皆様のご自宅でも、「いただきます」「ごちそうさま」の心をどうか大切に、秋の実りへの感謝を捧げる日となられます事、お祈り申し上げております。