エランドール賞受賞(根津甚八)対象作品。母親と5人の娘という女だけの家庭を舞台に、女の自立とは、をテーマにしたドラマ。子役時代を除けば端役ばかりだった風間杜夫、根津甚八のはじめてのレギュラー番組。風間杜夫の役は中野良子の恋人で自閉症気味の男の役、根津甚八は夏桂子の恋人役だった。「いいドラマだったよ、あれは。名作だぜ。」(風間杜夫著「本当のことを言おうか」より引用)。
テレビドラマデータベースより ↑
----------------------------------------
風間杜夫の『本当のことを言おうか』(角川文庫/昭和59年発行)
「娘たちの四季」って中野良子が主演で四人の娘のそれぞれの恋愛とかを描いているわけ。
中野良子の恋人役が俺で、夏圭子の恋人役が根津甚八で。
根津さんもこれがテレビドラマのデビュー作で、カッコよかったなあ、
台本、風呂敷に包んで持って歩いていた。
要するに俺の役は自閉症気味というか、人と会話できないわけ、
人の目も見られないし、それでほとんど口開かないわけ。
それで秋葉原の電気店に勤めていて、休みの日に動物園に行っては
鳥の絵ばっかり描いている。・・・
いつもそういうふうに鳥と対話してたのが、
なぜか中野良子と心を開いて話すようになる。
中野良子もなんか恋愛に傷ついて秋葉原 電気店に勤めていて。
そしてだんだん絵が認められるようになって、
だんだん世に出ていくわけ。
でもその人はあなたがいなければダメだみたいな、
いいドラマだったよ、あれは。
名作だぜ。
・・・
とにかく俺、この「娘たちの四季」の役がすごく好きだったの。
それがその頃の俺によくあっていたわけ、心境としてもね。
もう俺の性格というか、心境にピッタリだったからね。
自閉症とかって知らないけどさ、自分の中で空転しちゃうんだよね、
空回りしちゃうっていうか。
言葉を発することが相手に対してどういう印象を与えるか、
その自分のはいた言葉に自意識過剰になるわけね。
-----------------------------------------
キー局 CX 放送曜日 水 放送期間 1975/10/01~1976/03/31
放送時間 21:00-21:54 放送回数 24 回 連続/単発 連続
主な出演 中野良子、高橋洋子、長山藍子、夏桂子(夏圭子)、
沢田雅美、宝生あやこ、根津甚八、風間杜夫、内藤武敏、岡本茉利、小倉一郎
主な脚本 砂田量爾 主な演出 河合義隆
局系列 FNN 制作会社 CX
主題歌 小椋佳「めまい」
撮影技術 白戸義之
------------------------------------------------
今は殆どストーリーも思い出せないのですが、
強烈な印象として残っているのが、テレビドラマ初出演だという風間杜夫でした
ネットで検索すると、大抵の人はドラマの内容や、印象を書いているのです
特にこの風間杜夫に対する思い込みというのでしょうか
それは、私だけではなく多くの人の心に残るものだったようです
それで、ちょっとガッカリもしたのですが
何故なら、当時それはそれは大事に心の中に仕舞いこんだような
そんな感情を抱かせる素敵なものだったからです
「私のもの」みたいな(笑)
このドラマの主題歌が小椋佳の「めまい」だったとは・・
それすら今は記憶の片隅にもなくなっていました
でも、その歌も同時に素晴らしい何かを送ってくれたように思います
風間杜夫という人を初めて知ったのがこのドラマでしたが
それは物凄くマイナーで、本当に誰の心にも残らないような
地味で地味で、そして内向的で物静かで
消えてしまいそうな、そんな若い男の人の役でした
何でそういう役柄の、しかも風間さんはこう言っては何ですが
顔もある意味地味でした
でも、「私のもの」だったんです(笑)
そうしたら、それを見ていた多くの人が「自分のもの」だと思っていたなんて
何十年も経ってからわかった時に、
嬉しいような、又残念なような、人に取られてしまったような気さえして、
笑ってしまいました
そうだったんだー、みんなが心の中に抱いてしまった役だったんだ、と
私は多分他の人が言うように、ある種の
母性愛的なものを持ってしまったのかも知れませんが
でも、多分そうではないように思います
私は内向的なタイプですし、家にいるのが好きですし
どちらかというと対人恐怖症的でもありますし
所謂明るい友好的な、そういうものが苦手です
テレビって、どちらかというとやたらめったら
明るい、メジャー、面白おかしく、そういうものがいいと
そういう風に作る側が思い込んでいるのかもしれませんが
又、日本人がそういう感じなのかもしれませんが
NHKののど自慢みたいな感じでしょうか?
そんな中で、こんな地味で暗~くて、しかも繊細で
そして、心の深い、そんな感じのする役柄のあるドラマを見ることができて
よくぞ、作ってくれたなあ、とか思いました
何を忘れても、覚えている、
あの暗い目をした風間さんの役は素晴らしかった
ものすごく、心惹かれました
(この画像はそのドラマのものではないですが、
ドラマの画像が見つかりませんでした
こんなカッコイイ雰囲気の役ではなかったです)
そして、自伝で風間さんがあの役を「好きだった」と言い
「名作だ」と言い切ってくれている事が嬉しかったですね
だから、スチュワーデス物語?私は見ていませんでしたが
「教官」の役をやったそうですね、あの堀ちえみの
そんなものは、なかった事になっています
あれは、風間さんじゃない、と思っています
いい原作と脚本があれば、どんなにか心弾むドラマができるのにと
この話を書こうと思ったのは、先日山田太一さんのNHKドラマ
「ナイフの行方」を見たからです
久しぶりに、心に入ってくる言葉を話すドラマを見る事ができたと思って
そうして、山田太一さんのドラマの話を書こうと検索したら
このドラマが出てきました、ということでした
今のテレビの衰退が嘆かわしいです
ちなみにその後の風間さんの映像は・・
全く雰囲気違いますので、ますます・・別人です(笑)