サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

寺内タケシ/寺内タケシの真相~PROGRESSIVE TERRY !

2005年06月13日 23時50分55秒 | 邦楽
すごいCDが発売されました!

寺内タケシと言えば、加山雄三氏と並び「エレキ」「テケテケ」のイメージが
ある様に「寺内タケシとブルージーンズ」での活動が広く知られています。
その登場時から不良扱いされてきた「エレキ」を健全なものであると
証明する為に学校を回り公演するという活動も行っており(今でも続いている)、
その功績が称えられて賞も授与された程で,
日本の「エレキ」における正しく立役者である。
立役者のみならず、自らエレキギターを作ったり、
クラシックや古典、民謡をエレキ化したり(「運命」や「勧進帳」で有名)、
津軽三味線と対決したりと、日本のエレキの革新者たる役目を果たしている。
また60年代当時は多くのGSが、寺内氏のスパルタな修行を受けたという話や
氏がノリにのってギターを弾いた時には正しく神がかり的なプレーで、
速弾きのときには速すぎて火が出たという逸話も残っている(笑)。
そんなに凄い寺内氏に影響を受けた人も多く、
あの四人囃子の森園勝敏氏も寺内氏の影響を公言している。

そんなテリー(あだ名です。
このあだ名を貰った「テリーズ」というバンドもいました)の
更なる革新者たる一面を示すことに成功した好コンピアルバムが発売!
その名も『寺内タケシの真相~PROGRESSIVE TERRY !』。
氏の長く数多い録音の中から特に1967年~1973年位までの間の
音源を田口史人氏がセレクトした全16曲、計76分を超える力作である。
もう冒頭の3曲でこのアルバムの素晴らしさが分かる。

発売元のブリッジからの文句を拝借すれば、
『その膨大なコレクションの中から、今までスポットの当たることのなかったより前衛的/プログレッシヴ的な楽曲で構成したのが本コンピレーション・アルバム。テープの逆回転を多用したM1、おそらく日本最初のヘヴィメタル・サウンドのM2、これまた日本最初のチャンキー・サウンドのM4、など、計76分強/全16曲、これぞ“ギター・オーケストラ”であり、寺内タケシこそ世界のオリジナル・ギターである、と言えるアルバムだ。』ということであるが、
一曲目の「羅生門」は日本的な音階とプログレが見事に融合した
素晴らしい曲でテリーしか生み出せない世界を形成している。
ある意味フラワートラベリンバンドの「SATORI」とも比肩しうる作品である。
また二曲目の「孤独の叫び」はその題名の通りグランドファンクレイルロードの
カバーなのだが、あのテリーがただカバーするだけで終わる筈もなく!
上の引用の「日本最初のへヴィメタル・サウンド」も全く嘘ではない、
ひどく歪んだ音で爆進する感じは正しくヘヴィメタルだし、
そのチョーキングも交えたプレイは、クラプトンを代表するギターヒーロー達とも
張れる程である。しかもここでのカバーは全く斬新なものでグルーヴィーな
オルガンやサイケなフレーズも飛びだすワンコードジャム状態に突入。
こんな格好良い「孤独な叫び」は聞いたことがない。
そして三曲目は、吉田兄弟なんかまるで目ではない元祖三味線使い、
三橋美智也氏と共に「津軽じょんがら節」を披露。

この三曲でお腹一杯になりそうなところを抑えて聞き進めること76分強。
聞き終える頃にはすっかり貴方の中のギターヒーロー像が変わっているかも
知れない、そんな一枚である。
いや、ホント、あながち嘘ではない、凄く内容の濃~い一枚です。
テケテケしか頭にない諸兄にこそ聞いていただきたい。

ビバ!寺内タケシ!

[収録曲]
羅生門
孤独の叫び
津軽じょんがら節(w/三橋美智也)
安里屋ユンタ
禅定

野狐三次
マジックファイヤー
ユニヴァース
喜洋洋
ウスクダラ
楢山節考
グラナダ
マラゲーニャ
新説国定忠治
ブルースター