サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

ニューロックの夜明け WEA編 

2005年06月03日 01時26分32秒 | 邦楽
一つ前に書いたジャスティン・ヒースクリフ。
買ったのは勿論中古CDです。レコードだといくら払えばいいのか分かりません。
このCDを見つけたのは、長らく聞きたくて探していたのもありますが、
このCDを見つけることによって、1998年に発売された
『ニューロックの夜明け WEA編』のシリーズ全13タイトルが遂に揃ったのです!
発売されてからあしかけ7年も経っています。
発売の時高校か浪人だった私も今や社会人。長かったなぁ。

・V.A./ニューロックの夜明け WEA編(WPC6-8424)
・フラワートラベリンバンド/SATORI(WPC6-8425)
・フラワートラベリンバンド/メイドインジャパン(WPC6-8426)
・フラワートラベリンバンド/メイクアップ(WPC6-8427~8)
・ファニーカンパニー/ファニーカンパニー(WPC6-8429)
・ファニーカンパニー/ファニーカンパニーⅡファーニーファーム(WPC6-8430)
・アランメリル/ひとりぼっちの東京(WPC6-8451)
・スピードグルー&シンキ/イヴ 前夜(WPC6-8452)
・スピードグルー&シンキ/スピードグルー&シンキ(WPC6-8453~4)
・ジャスティン・ヒースクリフ/喜多嶋修+吉野金次(WPC6-8455)
・柳田ヒロ/七才の老人天国(WPC6-8456)
・羅生門/インディアン、死よりも赤を選ぶ(WPC6-8457)
・ロックパイロット/ロックパイロット(WPC6-8460)

既にこの中から6タイトルも紙ジャケ化されている。
特に昨年末ストレンジデイズとディスクユニオンでのみ発売された、
フラワートラベリンバンドとスピードグルー&シンキの紙ジャケは
全面帯や革のバックまでも再現した見事というしかない出来だった。
勿論購入したのでこのシリーズのものは用済みであったのだが、
どうしてもシリーズで揃えたかったのだ。だから本当に嬉しい。

しかし今見ても魅力的なラインアップである。フラワーやスピグルといった
有名なニューロック勢をはじめ、強烈なパワーポップ、アフターGSの最高峰
ロックパイロットやモンド系な羅生門、ソフトロックなアランメリルなど、
今の音楽界でも通用しそうなサウンドである。
何十回、何百回と聞きまくったけど、全く嫌いにならない。
むしろ好きになってるかも。

このシリーズの監修者曽我部恵一氏、サミー前田氏、
高護氏のお三方に改めて感謝である。
1998年にこのシリーズが出た意義はまことに大きい。

最後に紙ジャケも買ってしまったフラワーですが、売れない理由がもう一つ。
ラストアルバム『メイク・アップ』のインナーのメンバーの写真に
キーボードの篠原氏から直接サインを頂いたからです。
これだけは売れません。宝物。
ご本人は「俺これ持ってないんだよな~」とおっしゃってました。

ジャスティン・ヒースクリフ/喜多嶋修+吉野金次

2005年06月03日 00時53分17秒 | 邦楽
長らく探しているものが見つかった時は本当に嬉しい。
で、これである。遂に入手!1971年に発売されたジャスティン・ヒースクリフ。

喜多嶋修は、実は極めて音楽性の高かったGS「ランチャーズ」出身。
一方の吉野金次は、スタジオエンジニアでビートルズ好きが高じて
なんとイギリスまでいってビートルズが使ってたスタジオにもぐりこみ、
この様子をつぶさに記憶し日本に帰ってきたという強者である。
このふたりの共通点はなんといってもビートルズ。
そのビートルズ好きな二人のコラボで生まれたのが、
この知る人ぞ知るアルバム「ジャスティン・ヒースクリフ」である。

吉野の持ち帰った知識を日本のスタジオで実践するために、
深夜の使われていないスタジオで試行錯誤を繰り返し完成したこのアルバム。
なのでこの時代にしては本当に思いっきり音が良いです。
志向として中期~後期のビートルズのサウンドがあったと思われるが、
曲も非常にビートルズっぽい!あぁこれ○○っぽいなぁと分かってしまいますが、
単なる模倣に終わっていないことが評価に値する。
当時よりも今聞いた方が良いと思われるアルバムである。

後日談としてこのアルバムを聞いた細野晴臣が痛く気に入り、
はっぴいえんどの2ndアルバム「風街ろまん」のエンジニアに抜擢。
あの名盤誕生の裏にこのアルバムが絡んでいるのである。

ちなみに喜多嶋修は、あの美人女優喜多嶋舞の父である。母は内藤洋子さん。

しかし吉野氏のビートルズのスタジオに潜り込むというのにひどく時代を感じる。
たかが一東洋人が世界のビートルズのスタジオに忍び込むって!?
ありえないですよ!?「Get Back」セッションの音源が海賊盤で山ほどリリース
されるのも妙に納得してしまう。

世界の音楽に影響を与え続けているビートルズだが、録音面であれ、
間接的にであれ、非常に近いところから日本のロック/ポピュラー史に
影響を与えていたわけである。これってよ~く考えるとすごい。
あなどりがたし、日本のロック!

吉野金次氏ばっかり褒めてしまったみたいだが、喜多嶋氏も凄いお人である。
このジャスティン・ヒースクリフでも一人で多重録音をこなし、
曲も全曲英語詞で通している。このアルバム発表後、渡英。
そこで日本人としてのアイデンティティを強烈に感じて、「日本人」の音楽を追求。
1974年に「弁財天」で世界デビューを果たすのである。

そんな二人が作り出した魔法のアルバム「ジャスティン・ヒースクリフ」。
皆さんも機会があれば聞いてみて下さい。

スコーピオンズ/恐怖の蠍団

2005年06月01日 23時06分24秒 | 洋楽
後輩からフーの紙ジャケについてのトラックバックを受け取りました。
彼のみならず、自他ともに認める紙ジャケジャンキーな私です。
思い起こせば、初めて紙ジャケ全タイトルを集めたのはツェッペリン。
(一番最初のものです。その後日本盤の帯を模したバージョンが出た)
そして全タイトル一気に買う大人買いをしたのはフリーの紙ジャケでした。
ユニオンで全タイトルが収まる出来も秀逸なBOXが特典で付きました。
まだ大学の頃の話です。大学時代はお金がなくあまり買えませんでしたが、
働き始めてからは大量買いも当たり前。
クリムゾン紙ジャケまとめ買い(ボックス付き)、
ソフトマシーンまとめ買い(ボックス付き)、バーズまとめ買い(ボックス付き)、
フーもまとめ買い(ボックス付き)、ストーンズまとめ買い(ミニチュア帯付き)、
ピンクフロイドまとめ買い(ミニチュア帯付き)、
コロシアムまとめ買い(帯&箱付き!)
ジェフベックまとめ買い(ボックス付き)などなど・・・
もうバカですね。はは。20代にして完全な紙ジャケジャンキーです。

これからもまとめ買い必須なタイトルが目白押しで経済的には非常に厳しい。
でも嬉しい。これから買う予定をざっと挙げると、
・CAN紙ジャケ全部で8タイトル(二回に分けて)
・サンディーデニーソロ4タイトル
・ジェファーソン・エアプレーン全タイトル(延期になってましたが遂に発売!)
などなど・・・細かく挙げればきりがありません。
はぁ、やっていけるかな。

なぜ紙ジャケなのか。全くのアナログ世代でもないし(あ、でも子供の頃まだ
ソノシートはかろうじて存在してました)。オリジナルを再現する目的なのが、
なんか当時の空気が吸えるような気がたまらないのもあるし、
限定版というのも大きい。私はなんでも「限定」というのが非常に弱い(笑)
また特殊なギミックのある特徴のあるジャケット(ストーンズでいうなら、
スティッキーフィンガーズ、もちろんあの有名なジッパーのものですね)を
果敢にもCDサイズで復刻してしまおうとする、日本人の手の細かさ!
日本人はミニチュア化するのが好きで得意でもある民族であります。
紙ジャケを買うことによって私は強烈に日本人を意識します。
というのは大げさですが。さらにディスクユニオンでは良く特典で、
当時の日本盤の帯を再現した「復刻ミニチュア帯」や
紙ジャケが収納出来るボックスを先着でくれます。
これが嬉しい。私は「箱」よりも「帯」派なんですが、
ジャケットがちっちゃくなるなら、帯も再現されて完璧でしょ!
というわけで俄然テンションがあがります。またボックスも、
家では散らばりがちな紙ジャケを上手いこと収納出来るので便利。
それに箱のアートワークもなかなか秀逸なのです。
マニア心をくすぐりますね。というわけで、当然マニアの中ではこの
特典があるなしで取引される値段が大きく変わるのです。
元々2500円だったものが、ミニチュア帯付きでウン万円というのもざらです。
まぁ興味ない人に取り立てて勧める気もありません。
これはもう完全に趣味の世界ですから。でも私は特典が付くからといって、
やたらめったら手を出しているわけじゃないんです。
買おうを思うのは、やぱっり商品ありきですね。だから今まで持ってなかった
ビッグアーティストものとか元々欲しかったバンドや興味のあるバンドなどです。

というわけで大分話がそれましたが、スコーピオンズのファーストです。

今回の紙ジャケは、ドイツの「ブレイン」レーベル絡みでの紙ジャケの発売で、
その他のタイトルはグルグルやクラスターなどのラインナップだったので、
ちょっと毛色が違うかなぁと思ったんですが、ディスクユニオンでミニチュア帯が
付くというので購入してしまいました(こればっかり)。

そのミニチュア帯には、勇ましくも
「世界を恐怖の毒蠍旋風に陥し入れた荒くれ野郎ども、
 鮮血のスコーピコンズ《蠍》、今その全貌をあらわす!」
とあります。

ミニチュア帯は、当時でしか考え付かないような帯文句が
素晴らしいんです!これは世代とか関係なく楽しめる!
例えば最近紙ジャケ化されたフォザリンゲイの帯には、
「サンディー・デニーの美しいヴォイスが君達のハートを
 ショットするはずなのだ!!」と書かれています!
ショットするはずなのだ!!って(笑)
妙に微笑ましくあり、素敵です。

スコーピオンズといえば、アクセプトと共にドイツを代表する
ハードロックバンドとして知られています。
ギタリストのマイケル・シェンカーはこの筋では「神」として祭られています。
と、書くとあぁそっちの方なのね、と思われがちですが・・・
というわけで、このスコーピオンズの1972年作のファースト、
「Lonesome Crow」、邦題「恐怖の蠍団」。
ずばり言ってしまうとこれはブリティッシュ・ロック・アルバムです!
それもかなりレベルが高くて素晴らしいアルバム!
勿論ドイツのバンドと知ってて書くのですが。

彼らが尊敬していたというジミヘン、クリーム、ツェッペリン、ユーライア・ヒープ、
スプーキー・トゥースといったバンドのエッセンスを取り込み、
そこにドイツ(ヨーロッパ)らしいシンフォニックな要素を盛り込み、
仕上げはマイケル・シェンカーの素晴らしいギターワークを切り込ませる。
そしてその出来上がりは、何とも憂いを帯びながらも熱い血がほとばしる
ブリティッシュ然としたアルバムの完成でした。これにはイギリス人は
びっくりしたのではないでしょうか?ドイツからこんなサウンドを持ったバンドが
出てくるとは?といった感じで。

マイケル・シェンカーのギターはデビュー作ということもあり、
まだまだ甘いところがありますが、それを加味しても素晴らしい出来。
ブルースを基調としながらも手数の多い切れ味鋭いフレーズ。
そして少しジャジーな要素も入っています。
この感じは同時代に活躍したイギリスのハードロックバンド「パトゥ」の
ギタリスト、オリー・ハルソールに似ているかも知れない。
しかしなんとこのデビュー作時、マイケル17歳!!!若!
これは四人囃子の森園勝敏氏よりも若い???(どんな比べ方だ・笑)
そりゃ、神にもなるわ、と納得。

このアルバム発表後、ドイツにライブにきたイギリス勢のバンドの前座などを務め、
そこでUFOの目にとまり、マイケル・シェンカーがUFOに加入。
その後は自己のバンド、マイケル・シェンカー・グループを結成し、
その人気を不動のものにする。未だに彼のギタープレイに
キッズ達(年齢なんて関係なし!)が魅了され続けている!
かく言う私もin to the arenaにはやられっぱなし。名曲です。

そんなマイケル・シェンカーがいたスコーピオンズですが、
先ほども書いたとおり、なんともブリティッシュ然とした佇まいのアルバム。
タイトル曲「Lonesome Crow」は13分を超えるプログレッシブ・ハード・ロック
とも言える傑作を残していますし、その他の曲もスピード感溢れたいい意味での
ハードロックを聞くことが出来ます。ハードロックやマイケル・シェンカーなどに
興味がない諸氏に敢えて聞いていただきたい素晴らしいアルバムだと思います。
勿論マイケル・シェンカー好きにも聞いて欲しいです。

このアルバム時のメンバー:
ルドルフ・シェンカー(g)、マイケル・シェンカー(g)、
クラウス・マイネ(Vo)、ヴォルフガング・ズィオニー(ds)、
ロター・ハインベルグ(b)

紙ジャケの歴史やデータベースは、やはりここ!「紙ジャケ探検隊」のHP