おじんの放課後

仕事帰りの僕の遊び。創成川の近所をウロウロ。変わり行く故郷、札幌を懐かしみつつ。ホテルのメモは、また行くときの参考に。

【新規】ホテル法華クラブ札幌

2022年08月14日 | 道央のホテル

一期一会

ホテル法華クラブ札幌

札幌駅ビル(ビックカメラ等)&JRタワー、

雪印パーラー(大きなアイスクリームパフェで有名)、

札幌テレビ塔&大通り公園、札幌時計台、等、

観光名所それぞれから、ほぼ等距離の位置にある、

立地バツグンな日本の老舗ホテル。

 

自身も檀家であった創始者が、その当時、

お寺へお参りに来る人たちの宿が足りてないことを憂慮して、

有志と始めた、日本の草分け的なビジネスホテルだそうな。

法華クラブとは、なんとまあハイカラなお名前だこと!

 

急な検査入院で、お盆休みの予定が、

玉突き事故のように、みな吹っ飛んでしまった。

すべての予定が、わずか1日ずれただけだが。

もうそんな至近距離からでは、

ホテルのキャンセルはきかないし、

友人知人もカツカツでスケジュール組んでるしで、

逆タイムマシンというか、自分だけ、

皆と噛み合わない、1日遅れの時間を過ごすことになった。

凹んだ。死ぬ前にとか、考えたさ。

そういう話になると、なんで、原点とか思うのかねぇ……

 

そんなことがあって、このホテルに来たわけだが。

ホテル法華クラブは、僕の記憶にある限り、

人生で最初に泊まったホテルです。

その札幌店が、ここ。

ビジネスホテルと言う割には、

見通しのよい、割と立派な、

明るいロビーがあったり。

 

五輪以来、近隣にも、

それこそ、雨後の竹の子のように、

いくつものビジネスホテルが建ったけれども。

こういう明るさを持ったところは、

他に無いな。どこも、入口の先は見えない。

大体は、エレベーターホールを兼ねた、

狭い造りのフロントがあるばかりだ。

そしてそういう造りこそが、

ビジネスホテルを、ビジネスホテルたらしめている。

おもてなしの、折り紙の鶴が、出迎える。

部屋は簡素だが、必要十分。

近ごろ有り勝ちな、気取ったデスクライトなどは無い。

あるのは、実用に足る程度の照明と、

幅、奥行きがソコソコはあるデスク。

液晶テレビの前にも、書類を置くスペースがあるほどだ。

加湿器だの、コーヒーメーカーだの、食器だの、

余計なものが乗っかってないのがうれしい。

ポットやカップは、机の右下に、

ちゃんとした収納場所が作られている。

ハイクラスと自称するようなホテルでも、有り勝ちなんだが。

あとづけで色々なものを買い足して、

しょうがないから、机をその置き場所にしている。

そういう、残念なホテルは、割と普通にある。

それが無いだけでも、このホテルの評価点はプラスだ。

背景は、落ち着いた色調の壁とカーテンなので、

リモートでのお仕事にも使える。

LANケーブルを使えば、通信速度も問題なかろう。

そしてこの、一貫したデザイン性を感じさせる、

ソファと丸テーブル、カーテンの模様。

カーテンの遮光性もよい。真昼間の写真だが、

ベッドの枕側は、十分に暗くなった。

京王プラザホテルの、普通ランクの部屋だと言われても、

クローゼットと金庫が無いこと除けば、

違和感が無いほどだ。

老舗らしさというか、ノウハウ持っているなと。

ユニットバスなのはまあ、ビジネスホテルだから(笑

だけど、あなどるなかれ。

壁はタイル調。バスタブには手すりがある。

この手すり、絶対に必要なもの。老いも若きもさ。

だから、ハイクラスなホテルには、必ずある。

ここホンマにビジホなんかな(笑

アメニティーがまたよい。

POLAのシャワー・ブレイクとか使ってるし。

手洗いは、花王のフィエスタってシリーズのやつだし。

肌触りがソフトで、香りもいいのよねぇ。

気が利いている。

振り向けば、地下の温泉へ持っていくバッグに、

かわいらしいユルキャラの入浴姿。

!!!

このプロフ……

このホンワカなお姿からは、想像もできまてん。

 

ホテル法華クラブは、

僕の、今に至るホテル三昧の、

原点にあるホテルです。

しかし、悲しいかな。その舞台となったホテルは、

2011年、東日本大震災で、天井が崩落してしまい、

惜しまれつつ、解体せられたと聞き及んでます。

もしも現存していれば、

飛行機に乗ってでも、今そこへ行った。

 

その日、僕は、

天井スレスレの二段ベッドが入った、

狭い部屋に、数日、滞在していた。

ベッドの上の段に寝ると、

すぐ目の前が天井で、触ると、

吹き付けの砂みたいなものが、

パラパラと落ちてきた。

 

そのころ、僕は、世間知らずの「良い子」だった。

何を思ったものか、ホテルのフロントの人に、

何か手伝うことはないか、と言った。

よそのホテルなら、相手にされなかっただろう。

そのフロントの人は、相手にしてくれた。

今にして思えば、仏教的だったなと思うわ。

とても自然な感じで、

各階のエレベーターの前にある、

エアコンの吹き出し口の結露を拭き取る仕事を、

自分に任せてくれた。

そしてその日の終わりに、

いいものを見せてあげようと、僕はその人に誘われ、

付属ホール(結婚式場)の、大シャンデリアを、

点灯して見せてくれた。

あの真っ白な光が降り注ぐ光景を、

今なお、覚えています。

 

泊まったのは、そのとき限り。

ずいぶん前のことで、そのフロントの人が、

ご存命かどうかも分かりませんが。

ほんとうに、一期一会だったなと。

そんな思い出が、ホテル法華クラブにはあります。

その札幌店に泊まって、

この思い出を、文字にしておこうと思いました。


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