仕事帰りの僕の遊び。創成川の近所をウロウロ。変わり行く故郷、札幌を懐かしみつつ。ホテルのメモは、また行くときの参考に。
今でも、しんしんと降る雪の夜に、
思い出すのは……
通りから見上げた、
ほの暗い喫茶店の窓。
琥珀色の狭い店内には、
(僕には)当時まだ珍しかった、
ブルーダニューブのカップが、
倒産前の、趣のある青い藪模様を、
カウンターに生やしていた。
しかしなお、僕をとらえたのは、
正面にかかる、いくつかの鳩時計だった。
その店の名前ともなった鳩時計から、
半時と正時とに姿をみせる、
小さな小鳥たちを見上げ、
ギチギチという歯車の音とともに鳴る、
もの憂いような、
ポッポー、ポッポーという、
鳴き声を聞く。
むしろそのために、
その店へ行くのを、楽しみにしていた。
北大の前、ちょっと中道へ入った辺りに、
牛車というハンバーグ屋があったが。
そこにしろ、その珈琲屋にしろ、
そういう店の似合う札幌であった。
そういう店と出会える、
札幌であったな、と、
今も懐かしく思う。
朝刊に躍(おど)った、
追加予算
645,000,000,000円
6せん4ひゃく5じゅうおく円
という、トンでもない数字。
なぁんだ。
札幌市民1人あたり、
四千円じゃないかと。
もう使っちまった1兆円は、
お前らだけが、
出したわけじゃないんだから。
と。
SKY J のランチ・ビュッフェに、
カクテル1杯つけると、
だいたい、そのお値段になる。
函館~札幌間は、幹線だから、
今もう、鈍行から特急列車まで、
さらには、観光列車までもが、
もう入らないというくらいまで、
詰め込まれているんで。
大変に、充実した路線になっている。
それぞれの停車駅には、
町並みも、生活も、できあがってます。
JR関連の施設のひとたちや、
その周辺で生計をたてているひとたちに、
北海道新幹線のことを話しかけても、
そこまでの期待は、返ってこないです。
正直もう、お腹いっぱい……
そういう雰囲気が、
原発やリニアと、似ているなぁと。
つまり、
JRがやっているんじゃない。
極言すれば、
やらされているってことなんだなあ……
遠い昔、修学旅行で、
初めて、新幹線に乗った。
カツサンドを頬張りながら、
なによりも、その静かさ、
振動のなさに、驚いた。
このスピードで、これかよ。
あれは、楽しい経験だった。
また乗りたいと、
今でも思ってます。
だけど、
こんな形では、嫌だな。
大阪から東北まで、
高速鉄道で結ぶ。
それは確かに有益で、
沿線住民も期待した。
観光資源にもなった。
今の北海道新幹線に、
そういうのは、無い。
北海道新幹線は、要らないです。
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