心の置き場所

2011年03月10日 | 出来事
あどけない話

智恵子は東京に空がないと言ふ、
ほんとの空が見たいと言ふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。






東京に空がないといったこの人は
どうしても馴染めず故郷の空ばかりを思っていたらしく。
でも帰りたかったのは故郷ではなく、
何の苦しみもない若い自分がいた景色だったのでは・・・・・・・・・・・・

どうだったかは計り知れないが
一番近くにいた旦那に「あどけない話」とかわされてしまう。



それが不幸。