あどけない話
智恵子は東京に空がないと言ふ、
ほんとの空が見たいと言ふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
東京に空がないといったこの人は
どうしても馴染めず故郷の空ばかりを思っていたらしく。
でも帰りたかったのは故郷ではなく、
何の苦しみもない若い自分がいた景色だったのでは・・・・・・・・・・・・
どうだったかは計り知れないが
一番近くにいた旦那に「あどけない話」とかわされてしまう。
それが不幸。
智恵子は東京に空がないと言ふ、
ほんとの空が見たいと言ふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
東京に空がないといったこの人は
どうしても馴染めず故郷の空ばかりを思っていたらしく。
でも帰りたかったのは故郷ではなく、
何の苦しみもない若い自分がいた景色だったのでは・・・・・・・・・・・・
どうだったかは計り知れないが
一番近くにいた旦那に「あどけない話」とかわされてしまう。
それが不幸。