1.実施日時 平成29年2月26日(日)8時30分から16時00分
2.実施場所 宮城県刈田郡蔵王町 すみかわスノーパーク
3.実施人数 ビーコンコース 5名
4.講師 鈴木孝氏
【報告者:草野 高行】
1月22日の日曜日、しばらくぶりにPCのメールをチェックすると、宮城県連からの東北雪崩実技講習会のお知らせメールが転送されていた。
勤務スケジュールをチェックすると、ちょうど休みである。
私が山岳会に入った目的は、山が好きというよりは・・・自分の知らない事(技術)に対する興味、行ったことのない場所、行くのが困難な場所、困難に遭遇したときの対処法などに興味があったからである。(だから、山の名前はあまり知りません。)
その点、山屋さんの領域は、私には未知の領域であり、学びたいことが沢山ある分野である。いままで、沢からの搬出訓練など、いろいろ行きたい講習会があったが、どの講習会も移動日を含めると、仕事のスケジュール調整が困難で、いつも参加できずにいた。
今回はちょうどタイミングが良かった、おまけに会の皆さんの計らいで、受講料を負担していただいた。ラッキーである。
雪のほとんど降らない場所に住む、私にとって雪に対する知識はほとんど無く、冬山は、憧れと共に恐怖の対象でもある。臆病な私は、たいてい行動を起こす前に、安全対策から入るのが基本であるが、本を読んでも、道具をそろえても、実際に使いこなせなければ話にはならないし、格好が悪い。
雪山への憧れから、ビーコンを購入してみたものの・・・一人では練習できないので、大変に行きたかった講習会である。
【2/25】
前日の25日(土)にいわき市を出発し、講習会には、勝見さん、慎也君と私の3名で参加、都合により講習会には参加できないが、生田目会長は勝見さんの監視役で同伴することとなった。ビーコンコース(勝見・草野)・弱層テスト・雪質観察コース(鈴木)の参加予定。
18時ころに、宿泊場所の宮城県蔵王自然の家に到着、入り口近くで、施設職員と会長が立ち話「私は宴会のみの参加です。」と言った途端に、「こここは宴会はできません。」と注意される。
出発前に、自然の家のホームページで確認したが、アルコールに関する記載は無かったものの、「県自然の家」という性質状、やはりアルコール&たばこは禁止でした。
経験上、周りに迷惑にならない範囲で、酒はこっそりと嗜み、空瓶、空缶等の痕跡を一切残さず撤収すれば、大人の対応で黙認されていた部分であるが・・・勝見のとーちゃんの行動が心配である。
部屋で他の岳連の方との小宴も中盤になったころ、心配していた通り、勝見のとーちゃん、非常口での喫煙ホタル族が警備員に見つかり、施設スタッフが飛んでくる。久しぶりに小学生のように怒られる大人をみた。
屋外階段に通じる非常口は、たばこが吸いたいときは、「ここなら大丈夫じゃない。」と私が、こっそり教えていた場所であるが・・・
非常口の扉を閉めずに、たばこを吸っていたらしい~廊下から丸見えじゃ、警備員に見つかるはずです。
いつもの灰皿持ってきているし、ちょっと甘やかしたのがイケなかった。酒盛りの最中にスタッフが苦情に飛んで来たので、あわててタオルで酒瓶を隠すことになった。
施設は、宿泊費が安いので文句は言えないが、風呂にシャンプーや石鹸なし、スリッパなしの部分は、事前のアナウンスがほしかった部分である。鉄筋コンクリートの冷え切った廊下を素足で移動することになった。
【2/26】
講習会当日は、6時に自然の家を退館し、近くのコンビニで朝食を受け取り、すみかわスノーパークに移動と講習会のスタップより説明をうける。
朝5時に起床すれば、十分間に合う計算だが、パッキングや準備が遅い私は4時30分に起床し、ヘッデンで1人コッソリ布団をたたんでいると、物音に敏感に反応したとーちゃんも起きてしまった。まだ、みんなが寝ているのに、しゃべりだしたので、同室の方を早く起こす結果となった。
時間があるので、余裕で受付できると考えていたが、朝食を受け取ったコンビニでのんびりし過ぎ、すみかわスノーパークへのアプローチを間違えたりしたため、受付に遅れてしまい、皆さんに迷惑をかけてしまった。1時間30分も、早起きしたのに反省である。
【講習会】
実技講習会は、事前に仙台市内で11月に行われてた机上講習会の受講が前提で話す内容なので、容赦なく専門用語が飛び交う。
私が、この講習会の案内を知ったのが、メールを転送された1月の後半であるが、申込書には、下記のように記載されていた。
---記---
机上講習会 2016年11月27日(日)12:00~17:00に仙台市戦災復興記念館研修室にて雪崩についての机上講習会を行ないますので、机上講習会にも必ず参加して実技講習会(2月26日)に臨んで下さい。
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前年度の文書データを利用し、日付を間違えているのか??。と思っていましたが、この講習会参加の案内文は多分もっと早くに回覧されていたのでしょう。
ビーコンの使用経験もほとんどありませんし、机上講習会に参加していない~私ととーちゃんは、まったく、周りの人についてゆけません。
また、案内文に事前には、「当日テキストをお渡ししますが、山と渓谷社発行の「山岳雪崩大全」を購入し事前に学習を行ってください。」とも記載されていたので、この本は購入し、事前にチョットは勉強していたので~なんとかなりました。
しばらく講師の鈴木先生と「分かりますか」、私「分かりません」と元気よい、やり取りが続き~進行が更に遅れ気味となりました。
勝見のとーちゃんは、先生の説明 ⇒ 私の解説との通訳で、多分理解できたと思います。
この講習会で学んだことは、ビーコンの基本である。特性、操作方法、ビーコンアンテナの相違、効率の良い捜索方法、プロービング、救出方法、搬送方法などです。
ビーコンは、457khzkの周波数に統一されているが、メーカーにより、457.○○の小数点以下の部分でバラつきがあり、埋没対象者との距離表示に誤差があるため自分の使用する機種の特性を理解すること。
磁力曲線をイメージし、いろいろな格好で埋没している対象者の発する電波を拾い、素早く救出すること。
複数埋没者には、リーダーが救出相手のトリアージを行い、隊を一か所に集中させずに、効率のよい救出活動の指示をすること。
掘り起こすときは、プロービングした目印にスコップを集中させてしまいがちだが、1メートルほど、斜面下側の離れた部分から堀りはじめた方が効率が良いことなど、初心者が陥りやすいミスをすべて経験し、指導されてきたので、たぶん実際の現場では、基本的動きは少しは可能ではないかと思います。
文章ですべてを説明することは、困難であり、トレーニングも続けて行かないと、一定のレベルの維持はできませんが、冬山で遭遇するトラブルに対処できるよう、様々な講習会の参加やトレーニングはしてゆきたいと思っております。
今回、受講した講習会の内容は、機会がありましたら、参加を後押ししてくださいました皆さんに還元してゆきたいと思います。
【写真集】
雪面を2mほど切り崩し、所定の位置にビーコンを埋める
1m・2m位置に発信状態のビーコンをセットし、自分のビーコンがどのように反応するかを確認する
とーちゃんは、雪面堀の総指揮です
埋まっているビーコンの状態で自分が受信する磁力線の形が違うので、反応の違いを体験します
当然、相互のビーコンが縦軸方向で向き合っていれば、遠くまで強い電波を受信できます
10メートルごとに旗を立てて、自分のビーコンの捜索可能な距離を体感する
捜索対象者に接近したら、十字検索法によりさらにピンポイントに検索
もっとゆっくりビーコンを動かすように注意される
埋める深さも変えてやってみる。ビーコンの反応が違う
カメラを向けると~とーちゃんは、あいかわらず的確な指示を出している感じのホーズをします
プロービングからの掘り起し作業
掘り起こした雪を移動させるコンベア体系で作業します
プロービングで埋没位置を特定。早期に気道確保をします
人形を掘り起し、担架に収容
外傷を追っている可能性があるので、あくまで頸椎から脊椎保護を考慮したJPTEKのプロトコルに沿った行動でおこなう
ザック3個を連結し簡易担架を作成。側面にストックやスキー板を付ければ完成である
山中でできる応急手当に限りはあるが、ある資機材で精一杯の事はしたいと思う