フィエスタの谷 山行記録

【福島県勤労者山岳連盟所属】フィエスタの谷は山に登る事が好きな仲間の集まりです

谷川岳・湯檜曾本谷(2021/8/28~29)

2021-09-20 | 山行記録

メンバー:I堀(記)・A坂
行動時間:28日 8:00 駐車場~10:00 入渓~11:30 十字峡~14:30 二俣のテンバ
     29日 7:40 テンバ~9:30 朝日岳山頂~11:30 白毛門~14:10 駐車場

天候不順とコロナ禍でまともに遠征できなかった今夏だが、28・29日は天気に恵まれそう。ワクチンも2回接種したため行くしかないとA坂を誘い谷川岳の湯檜曾本谷へ向かった。

ロープウェー駅の手前に新しく整備された駐車場から歩き出す。天気は予報通り晴天で暑いけれどもとても気持ちいい。入渓地点までは木陰の登山道を歩き2時間弱で到着。いきなりゴルジュとなっており残置ハーケン&スリングを利用して遡行するが半分腐っていて、泊り装備の重い体ではけっこう緊張。いきなり谷川の洗礼を受けてしまった。


結局ゴルジュは途中から右岸巻きして沢に戻った。ゴルジュの先は谷が開けてとても開放的。青空と相まって素晴らしい景色だ。平凡だが気持ちのいい遡行をしばらく続けると沢は右へ屈曲し有名なウナギの寝床になる。水深が深く淵というかなんというか独特な景観だ。右から簡単に巻けるがせっかくなので泳ぐ。ザックをお腹側に装着すると浮き輪代わりになり恐怖心なく泳げて気持ちいい!


泳いだ先で沢は左に屈曲し滝となっている。この滝を快適に登れば序盤のハイライト十字峡だ。残念ながら下の廊下ほどの迫力はないが、正面にある抱返沢のナメ滝は圧巻。本谷は左へ行くことになるが、正面の抱返沢、右側の大倉沢も登れるらしい。


十字峡を左へ入り本流の遡行を継続すると、ガイドパーティーに遭遇。総勢8名だったか?とにかく大人数だ。この後も大学の山岳部らしきパーティーだったり、女性中心のパーティだったりと合計で20人以上は沢に入っていた。さすが都会の沢である。東北だと他のパーティに遭遇するなど滅多にないので新鮮であったが、この後テンバで人が多いのも考えものだと思い知らされるのであった。


十字峡を過ぎるとアナゴの寝床と呼ばれるところに出るが泳がずにサクッと通過できる。わざわざ名前をつけるような場所でもないカンジ。そのうち沢が右へ屈曲する場所になると直登が厳しい滝が出てくる。右岸枝沢を使って巻いた。


この滝上は完全に癒し渓。簡単に登れる滝とナメが交互に出てきて癒される。開けた沢にナメと青空がただただ素晴らしい。そして癒しに飽きてくると突然岩室がボロそうな滝がでてくる。左岸から巻けそうだが、直登にチャレンジ。ガバはあるが細かかったりボロかったりで見た目通り悪い。途中に残置ハーケンあり。
 

この上は岩質が元に戻る。しばらく進むと中盤のハイライト20m滝だ。滝の落ち口をパーティが登っていたので直登できるのかな?と滝に取りついたが中段から手がかり・足がかりのないナメになり泊り装備ではツライ‥。無理せず右岸から巻いたら明瞭すぎる踏み跡があった。
 

ここから滝を2~3か所通過すると二俣のテンバに到着する。ちなみに、滝はいずれも簡単に巻いたり登ったりできる。テンバは3か所ほどあり、うまいこと1か所残っていたので今日の行動を終了した。

今シーズン初の焚火だ~。と思ったのだが、人がたくさん入渓するせいか薪が全然ない‥。そこらへんに生えてる木をノコギリで切り出し頑張ったが生木には全然火がつかない。しまいにはA坂くんでさえ匙を投げる始末だった。しまいには日暮れとともに雨が降ってきて身も心も寒い夜になってしまった…。

翌日まで雨は降り続たが幸い増水はせず、朝方に図ったかのようにやんだため朝日岳の山頂を目指して遡行を再開する。2日目は少々単調。ひたすら小滝を登りぐんぐん高度を上げる。振り返って見えた上越国境がきれいだった。沢がヤブ化し30分ほど漕げば朝日岳山頂だ。天気予報はハズレて残念ながらガスガス。しかし、終盤のハイライト、地獄の下りにはこのガスが助け舟となった。
 

稜線上は遮るものがなくアップダウンが続く。白毛門からは大下りでヒザにきた。ピーカンなら脱水をおこしてもおかしくない。ガスっててヨカッタ。実際A坂くんはかなりバテていた‥。白毛門でガスが少しだけとれ対岸の一ノ倉が見れてちょっと感動。また行きたいものだ。

最後は沢で大下りでバテバテの体をクールダウンして帰途についた。湯檜曾の1日目は大変すばらしいが2日目がダレるのが残念。泊り装備の重さだと意外と悪く感じる滝もあり油断禁物の沢であった。焚火に期待できないという致命的な弱点があり日帰りでおいしい1日目の部分だけ行くのもいいかもしれない。

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大朝日岳(2021/8/27~29)

2021-09-11 | 山行記録

【メンバー】 N田目さん、I姉、Toちゃん、A井姉さん、M崎(記)

【Day1 8月27日】夜出発 道の駅にしかわ テント泊

早朝、会社で会ったN田目さんに、Toちゃんが電話に出ないと言われた… 私の勤務時間が変わり急遽集合時間が変更になったのだが、昨日から連絡が取れないらしい。
まさかToちゃんの身に何か と思ったが、マナーモードにしていたようだ。何はともあれ無事いわきを出発、途中I姉と合流して道の駅にしかわで前宴会

【Day2 8月28日】7:40 古寺鉱泉登山口→11:00 古寺山→13:40大朝日小屋

道の駅にしかわで目覚めたときは晴れ間も見えたのに、古寺鉱泉登山口に着く頃には雨が降り出していた
N田目さんに言われ雨雲レーダーをチェック「雨ですね」そう言った私。

登山口で雨具上下を着込み出発~登り始めていくらも経たないうちに雨は止み、蒸し暑くなる。
雨具を脱ぎ、他の登山チームに抜きつ抜かれつおしゃべりしながら進むと、ブゥンと耳障りな羽音がした。視界の端を、目立つ橙色の物体が横切った。
うわぁ、だよ。嫌だなと思っていると、後ろにいたA井姉さんが足元にをみつける。ぎゃぁ、急いで登る

すると、後ろから登って来た若い男性がお尻を押さえている。あのに刺されてしまったらしい
刺された場所が場所だけに自分でポイズンリムーバーで吸い出すには難しく、N田目さんが助っ人を申し出る。A井姉さんもお手伝い。

私は若い男性のお尻を見るわけにはいかず、離れてしまったToちゃんのところへ向かう。
合体樹を見上げ、枯れてるけどまだまだパワーはあるだのないだの、熟年女性チームと何やら楽しそうに会話をしていた。元気だなぁ。
「あのお兄さん見た?イケメンだったよ!」と、ご機嫌なA井姉さんとN田目さんと合流して登り始める。

蒸し暑い。幸い水場は豊富で、ちょうど良い距離に点在していた。だが三沢清水に来ると、本格的に雨が降り出してきた いつのまにか右耳裏をブヨに刺されていた私。とりあえずムヒαを塗る。
雨具上を着込む。下は諦めた。だんだん強くなる雨に、着替えをシャツしか持ってこなかったことを悔やむが遅い 先ほどまではあった山紫陽花や景色を撮る余裕も無くなり、気づけば登山道は川になっていた

古寺山に着く頃には強風、視界不良。ずぶ濡れの体はもはや雨だか汗だかわからない。小朝日岳を巻く。濡れた岩の間を流れ落ちる雨水が憎たらしい。岩や木の根で滑らないように集中する。

チャプチャプの登山靴、滝と化した登山道。いくつも行手を阻む泥雨の池に、朝日鯉が生息していると冗談を飛ばすも、内心小屋はまだかと自問する。
たまに足元に見える青い草花も、雨風に打たれてうな垂れているようにみえる。お前も頑張れ負けるなよ

向かい風だか横風だか、あらゆる方向から雨風にもみくちゃにされる。やっと銀玉水に着いた。水を確保。小屋まであともう少しのはずだ。
風を遮る物がないから煽られる。顔を上げれば暴風でフードが持っていかれる。ずっと足元しか見れない。たまに見上げても、雨で全く見えない。小柄なA井姉さんは飛ばされてしまわないだろうかと心配になるが心配無用、さすがは姉さんだった。

Toちゃんを先頭に、みんなで身を守るように固まって進む。何気なく顔を上げると、うっすら三角の影が見えた 「小屋だ!」思わず叫ぶ。「あぁん、どこだ?」見回すTちゃんに、指し示す  そこから歩く速さも増す。目の前に小屋の扉が見えたとき、ホッとした。助かった。小屋に滑り込む。

濡れた雨具を脱ぎ、靴を脱ぐ。逆さにすると大きいコップ1杯分くらいの水が出てきた ここで全身全部脱ぎ捨てたい衝動に駆られたが、我慢する。親切な小屋番さんが「女性陣は非常口の扉を開けて中で着替えな~」と教えてくれた。

2階に上がると、あのに刺された青年が居た。まだ痛みはあるようだが、無事小屋に着いて良かった

ザックも中身もビショ濡れだ。隣のA井姉さん見ると、しっかりビニール袋でザック内を防水パッキングしていた。
ガーン。以前、背戸峨廊に沢登りに行った時にビニール袋を使ったザックの防水法を教わったのに忘れていた。経験が活かされていない。しかも登山直前、雨雲レーダーを見て雨だと言ったのは、、、私だ。反省。

でも、寝袋とシャツだけは防水対策していた。どれどれ、新しく入手したドライサックの性能は如何に?おぉ、寝袋もシャツも濡れていない。良かった
シャツはあるがパンツはない。やはり雨具の下を履くしかなさそうだ。濡れた下着は残念だがその上に乾いたシャツと雨具を履いた。そのうち乾くと思う。しばらくそれぞれの身支度を済ませて、落ち着いたら宴会開始

お湯を沸かすためToちゃんにバーナーを借りたが、手先がかじかんでうまく触れない。もじもじしてたら、I姉がさっと来て助けてくれた。優しい。赤白ワインに日本酒、ウィスキー、それぞれのカップに注ぎ乾杯

ここでToちゃんが、冷えたビールで乾杯したら美味いだろうな…と言った。ここではビール売ってないから!また分かってて冗談言ってホントにもうしょうがないんだから、みんなで笑っていたら、ナント!あの青年からビール缶の差し入れが!しかも冷えている


せっかく重い思いしてここまで持ってきたのに申し訳ない、と思っているうちに我らが姉さん達と兄さん達は流れるように青年を宴会に誘っていた。さすがだ。
青年S君は本当にイケメンで、好青年、礼儀正しく受け答えも上手で、お酒にも強い 事件でA井姉さんがお尻の感想を語ったこともにもさわやかに返していた。
ちなみにA井姉さん、見ただけでなく消毒するために触ったらしい。やるな先輩。持ち寄ったおつまみやお酒を飲みながら、楽しい時間を過ごす。外は相変わらず暴風雨

ご飯とお酒で体も温まり、少し寝ようと一時解散。だが本気で寝てしまった N田目さんとA井姉さんは、みんなが眠った後も語り合っていた。2人の話し声を子守唄代わりに眠りに落ちる。明日は晴れるだろうか…

【Day3 8月29日】7:00 大朝日小屋→7:20大朝日岳→9:40小朝日岳→10:40古寺山→13:30古寺鉱泉登山口

元気な還暦組は明け方コーヒータイムをしている S君との会話が聞こえ、彼は下山したようだ。声は聞こえるものの、今回新調した寝袋が私を離してくれない。ぬくぬくと快適だ
少しゴロゴロして、やっと起き上がる。外は真っ白、暴風。なんだか顔が浮腫んでいる気がする。右耳裏が熱っぽく痒い

朝食をとっている間に、晴れ間が見える。濡れた靴と濡れたパンツを履き、Toちゃんを小屋へ残し大朝日岳
風は強かったが、昨日とは別世界だった。ガスが晴れ、だんだん視界が開ける。昨日歩いてきた稜線が綺麗に見えた。草木の緑と空の青、雲の白が良い感じだ。
何度か帽子を飛ばされたが、気持ちは晴れやかだった。いつの間にかずぶ濡れだったパンツも乾いていた。
 

Toちゃんがみんなのザックを外に出して干してくれた。さぁ下山だ。昨日はこの道をひたすら耐えながら登ったんだなぁ、下しか見れなかったな、と笑いながら降りる。
I姉が左を指差した。風が山腹の草木を揺らす。緑が輝くように反射して、まるで風が見えるようだった。例えるなら、あれ。あの風景はもののけ姫に出てくる自然の描写だ。
 

軽快に進み、小朝日岳まで来るとすっかり遠くまで見渡せるくらい晴れていた。先客の3人組は私たちと同じく昨日登ってずぶ濡れで別な小屋に泊まり、今日は大朝日小屋に泊まるようだ。

古寺山まで来ると、すれ違う人達に下山時はに注意するように言われる。中には、に刺されて諦めて下山した人がいた、という話を聞いた。
あの青年S君は、無事に下山できただろうが。に刺されたのは諦めて下山した人、と言っていたから今日登ってきた人だろう。
  

その後も何人かに同じ注意を受け、に刺された人の話を聞く。これは私達も他人事ではない。気をつけて降りなければ。下山中、左足の親指が痛い事に気づく。靴紐を締め直したけれど痛い。自然と速度が落ちる。

合体樹の所まで辿り着き、対策。聞けば皆、刺されたのは腰から下、黒い服。早速雨具を着込む。私に至ってはピンクのスパッツまでつけた。
だって3日後にワクチン1回目の接種があるんだもの。の毒でアレルギーなんか出すわけにはいかんのじゃ

N田目さんが、Toちゃんに走って通過するよう伝える。確かに。1番最後の人が危険だ。いざ、気合を入れて下る。
少し下ると、例の黄色い野郎達が飛び交っている。そこら辺にいっぱいいるじゃん。とにかく無言で早歩き。するとが2匹寄ってきて、前を歩くI姉のお尻あたりに近づく。

まずいまずい、私の大声じゃ刺激しちゃう、まだ襲いかかる感じではない。I姉と距離を詰める。手で払おうか考えていると、ふわっと別な方向に飛んでいった。
後ろから、N田目さんが「痛い」と叫ぶ。刺された⁉︎「大丈夫だから、Toちゃん早く走れ俺を殺すきか」と檄を飛ばす。会話もせず一目散に駆け降りる

やっと開けた場所で雨具を脱ぐ。N田目さんは刺されはしなかったものの、毒はかかったようで腕が赤くなっていた。の生態にまで詳しい、さすがは会社の安全衛生隊長。豊富な知識と経験で危険もするりとかわす。

の襲撃後は何事もなく下山。みんなで安心して帰り支度。
車を走らせること数分、助手席のI姉がワイパーに挟まった紙をみつける。何だ?駐車に関する注意?領収書?路肩に車を止め、私が紙を外しに行くと、、、
好青年S君からの手紙だった  その後、無事に下山できたこと。初めてのソロ小屋泊だったけど楽しめたこと。今時こんな風に置き手紙を書ける若者が居るのだと、みんなで感心して帰路についた。またいつか山で会えた時は今回のことを笑って話せるといい

今回の山行も反省と学ぶべき点が多かった。まず最初に、荷物の件だ。登山開始時前のこと。
I姉のザックは約30Lで8Kgくらい。Toちゃんのザックは倍の約60Lで9kgくらい。I姉のパッキング術に恐れ入った。

必要最低限の物、外せないもの、これはあったほうがいいのではと思うもの、色々あるけれどいつも迷う。
迷った挙句、着替えは省いた。結果、ずぶ濡れで後悔。雨対策も必須だということ。水は湧水があるからそれほどいらなかった。食料も持ち過ぎた。

書ききれない改善点はまだあるが、とにかく来月の北アルプスに向けて準備しなければ。3年前の穂高で失敗した重量オーバーに気をつけよう。今回一眼レフは持ちません。
山登り、やればやるほど課題も増えるんだなぁ。奥が深い

余談だが、大朝日岳から5日程経ってやっと顔の腫れがひいてきた。あれから辛かった。翌日には顔がパンパンに腫れ、コンタクトすら入れられなかった。瞼が眼鏡を外したのび太君状態だった。
仕方ないから眼鏡で出勤した  原因は分かっている。ブヨだ。あいつの毒でアレルギー様の症状が出た。微熱も出たが、ギリ許容範囲内で無事に1回目のワクチン接種を終えた。今は腕が痛い。
そして左足の親指の爪が真ん中から横に割れていた。来月までに治したい。こんなヘタレで来月大丈夫だろうか、、、。

いろいろあったけれど、思い出に残る登山ができた。皆様ありがとうございました。ではまた来月

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