アメリカ帰国者が日々の出来事・人生・世の中などを語るブログ

日本に帰国して矛盾だと感じたこと、人生における発見や日常のことなど色々語ります

医療情報を開示しない日本の現状

2018年09月16日 | 医療について

先週書いたブログ、「セカンド・サードオピニオンは必ず取った方がいい理由」の続きです。

子宮に筋腫があることが分かり、治療法を本やネットで調べたところ、UAE(子宮動脈塞栓術)という治療法があることが判明した。最初にかかった自宅近くのS大学病院の担当医は、そんなことも全く口に出さなかったので、7月の診察日に聞いたところ、この治療法は知っているが、勧めていないとのことだった。

ところが、こちらで海外の情報も含めて調べてみると、お腹を切らずに治療でき、かつ筋腫も小さくでき、子宮も温存でき、日本の事例でも妊娠できなかった女性が妊娠した、というケースもあり、かなり安全な治療だということだった。それで不可解に思い、何故、勧めないのですか、とその医師に聞いたところ、

UAEは治療効果があまりない。ほとんどの病院ではやっていない。

とのことだった。けれども、何故、どのような点で治療効果がないと言えるのか、具体的な事例や数値実績などは全く教えてくれない。おそらくこの医師はそこまで知らないのであろう。やはり、日本のお医者さんは不勉強である。メリットもデメリットも含めて、過去の実績を教えてもらわなければ、こちらが正しい判断を下せない。単に治療効果があまりない、という漠然としたことを言われても、何がどういう理由で治療効果がないと判断しているのか、何故日本ではほとんどの病院でやらないのか、理由がさっぱり分からない。

そういう情報をきちんと提供して欲しいのに、できないとは一体、何なのだ?!その為の医師ではないのか??、と怒りを感じつつも、それ以上、その医師からこれ以上情報が引き出せなかったので、結局、自分自身で調べることにした。

調べるのは、本やネット、また今回はアメリカやイギリスの病院サイトや学会の資料から。日本の情報は本当に限られていて、学会の情報は一般には公開されておらず、会員制になっていて見られない。手術件数・治療実績を明かしている病院は非常に少なく、日本からは情報がほとんど得られない。一番役に立ったのは、やはりアメリカとイギリスなど、海外のサイトだった。特にアメリカでは、学会の資料なども既にオープンになっており、病院の実績も細かく記載されている。また、同じ子宮筋腫を抱える患者さん同士のコミュニティーサイトや、医師と患者さんが直接やりとりできるサイトもあり、非常にオープンだ。実際に患者さんの体験談も聞けるので、これほど有用な情報はない。

一方で、日本ではこの様な情報が非常に少ない。患者同士のサイトは全く見つからなかった。以前に、UAEを受けた患者さんのコミュニティーサイトがあったようだが、調べてみたら、サイトが消えていた。何故なのか?日本医師会からの圧力??

こうやって調べると、日本は何故、情報開示をしないのか。これでは、患者さんが正しい選択、納得できる選択をしたいと思ってもできないのではないか?

病院や医師が正直な実績や情報を提供しないから、患者さんは受け身にならざるを得ず、したくもない治療、納得していないのに治療を受けてしまった患者さんが日本では結構多いのではないか?

と感じた。

実際、私が行ったリサーチの中に、子宮筋腫が見つかり、医師からは一方的に子宮摘出を言い渡された患者さんが、半分納得しないまま、しぶしぶ手術に応じたそうだ。生理痛もなくなるし、筋腫の再発も心配することはない、メリットづくしのはずだったのが、子宮摘出後、大きな喪失感に襲われ、うつ状態になってしまったばかりか、元々、体調の不調があったその女性は、これまでなんとか保っていた体のバランスが大きく崩れて、様々な症状を訴えるようになってしまったそうだ。

そもそも、納得しないまま手術に応じた彼女も彼女だが、それを半強制的に進めた医師の罪は最も重い。基本、どんな治療・手術でも100%安全、無事故というものはない。そういう情報も伝えないで、その治療がベストだ、と言い切るのはあまりに無責任。

詳しく調べてみると、子宮全摘出でもデメリットがあるにも関わらず、日本側はこういう情報をほとんど開示していない。海外ではこういう情報がオープンになっているにも関わらず、日本の情報開示は何故、こうも遅れているのか?

もう一つ言えば、アメリカでは、医師個人の情報も開示しており、その医師の経歴や、手術の内容や実績も記載されていて、患者自身が医師を選べるようになっている。日本では、ようやく病院の手術実績を開示している病院が幾つか出てきた程度で、医師個人の実績は調べられない。結果、患者さんは医師を自分で選べない状態になっている。

あともう一つ、疑問に思うのは、各病院での医療事故件数の情報開示である。日本でこれだけ医療事故が毎年のように起こっているのに、そういう情報は一切開示されない。開示されるのは、マスコミで取り上げられて騒がれているほんの一部の病院だけであり、実際、医療事故は日常茶飯事に起こっている。

航空会社では、過去の事故件数が公開されているのに、人の命を預かる病院で医療事故数が記載されていないのはおかしいのではないか?

また、日本では海外と違って、医師免許が更新制になっていないから、余計に不安になる。こういう面をどんどん改善していかないと、不信感を持つ患者さんが今後どんどん増えるのではないかと感じている。現に医師に不信感を持つ患者さんは増えており、昔は医師は尊敬されていた職業だが、今はそのような目で見る人が少なくなっている。いい加減な医者、説明責任を果たさない医師が増えてきたからであろう。

日本医師会を始め、病院、医師達の意識改革が行われないと、医療事故が減らないし、医療訴訟も増えていく一方である。現在、日本では年間800~900件もの医療訴訟が行われているそうだ。あまりに多すぎる。

この後のセカンド、サードオピニオンの病院に行った結果ですが、その続きはまた後日に。