6月になって右下腹が急に痛くなり、近くの大学病院の消化器内科で超音波検査をしたところ、子宮に腫瘍が発見されたので、同じ病院の産婦人科に回された。日本の産婦人科は嫌な思い出があり、私が最も苦手とする所だったのですごく嫌だったのだが、病気が発見されてしまった以上、仕方ない。なんとか良い医師に当たるように願っていたが、この病院では、初診の医師と再診の医師が別になっており、初診の医師は一人だけしかいないので選択肢がなかった。しかし、その医師は私と同世代の男性の医師で、こちらからの質問にも丁寧に答えて下さり、話しやすくて良い医師だった。その医師は、早速MRI検査の予約を取り、検査を後日することになった。
しかし、その結果が出る前に生理になり、生理痛があまりにひどいので、病院に駆け込んだところ、その時点で既に再診となり、別の女性医師に診てもらうことになった。その方はおそらく30代後半~40代前半と思われるが、ブスコパンを処方されたので、ロキソニンと何が違うのか、と聞いたところ、
「効き方が違うだけです」
の冷淡な一言だけ。薬の名前が違えば効き方が違うのは効き方が違うくらいのことは私だって分かる。何故その薬を処方するのか、その根拠が知りたいのに、患者に対してそのような態度はないだろう、と思い、とても不愉快な思いになった。同じ女性でしかも経験がある医師なのに、何故そのような態度に出られるのか非常に残念だ。
この産婦人科女医からの不愉快な経験のあと、再度、MRIの検査結果を聞くために同じ科を訪れた。また担当医が変わり、30代くらいの若い男性医師だったのだが、開口一言、「腫瘍は6センチだけでなく、3センチのものもあり、他に小さな筋腫もいくつかみられるので、子宮全摘ですね。」
はい??悪性腫瘍でもないのに、いきなり全摘?
そんなことは全く想像さえしていなかったので、ショックを隠しつつも、他に治療法がないか聞いてみると、「全摘しか完治しません。」の一点張り。
「筋腫だけを取ることはできないのですか?」と聞いても、「全摘しかありません。」と言うだけで、他の治療法も提示せず、腹腔鏡手術で済むから心配ないですよ、子宮取れば生理痛がなくなりますよ、など手術のメリットばかりを話してデメリットを全く言わず、入院の話に進めようとするので、
「すみませんが、すぐに決められないので、次回にして頂けますか?」と聞いたところ、1週間後に予約をすぐに入れられてしまった。
何かおかしい。どうもこの医師は私から子宮を切りたがっている、そうとしか感じられず、疑問を感じたため、家に戻ってから病院のウェッブサイトで、この医師の経歴をチェックした。すると、この医師は日本内視鏡外科学会技術認定取得者だということがわかり、それでなんとなく納得した。残念ながら多くの日本人医師、特に外科医は自身の功名心のため、手術の腕を上げるために手術をしたがる医師が多いと聞く。(だから、日本では高齢者でも無駄な癌手術が行われたりするのだそうだ。)
すっかり警戒心を持ってしまった私は、翌日すぐに病院に予約変更の電話を入れ、ついでに担当医を最初に診てもらった医師に変更して欲しい、と看護師にお願いをした。何故変更するのか理由を聞かれたので、
「詳しい説明もなしに、いきなり子宮全摘を言われて、この医師はどうも切りたがっているとしか思えず、信頼できないからです。」
と、正直に答えたら、看護師の人も分かって下さって、すぐに変更してくれた。予約は7月の初旬になり、それまでまだ時間があるので、子宮筋腫の治療法に関する本を読んで勉強したり、ネットで海外の治療法も含めてざっと調べ、そして、その医師への質問を手帳に全部箇条書きにして、7月にその医師のもとへ行った。
まず、私の筋腫の状態の詳細を図などを使って分かりやすく説明して欲しい、と医師に伝えた。これは本来、最初の検査結果の時に担当医がちゃんと伝えなくてはいけないものではないのか、と思うのだが、その医師は腫瘍が子宮のどの位置にあって、どんな種類の筋腫なのか図を使って説明して下さった。その間に、私は自分が分かるまで何度もその医師に質問をしたが、幸い、その医師は嫌な顔一つもせず、ちゃんと答えてくれた。しかし、治療法に関しては、子宮全摘しか完治はないが、経過観察でも良い、と言われた。けれども、ホルモン治療は副作用が強く、治療を止めたら筋腫がまた大きくなるので意味がないとの事。
ホルモン治療は私も最初から受けるつもりはなかったので、この点だけ、この医師と見解が一致している。しかし、どうも子宮全摘がベスト選択だ、という雰囲気があったので、
「申し訳ないのですが、正直、お腹を切ったことがこれまでに全くなく、腹腔鏡手術でできるとは言え、お腹に傷が残るのでかなり抵抗があります。また、子宮は取りたくありません。それで、他の病院の医師のご意見も伺いたいので、紹介状を書いて頂けますか。」
と伝えたら、嫌な顔をせず紹介状を書いて下さった。この時点で、この医師だったらまあ、信頼できそうだ、となんとなく感じた。ここでもし、医師が紹介状を書くのを渋ったり、嫌な顔をされたら、私は即座にこの病院の診察を止め、別の病院へ行っていたことだろう。
セカンドオピニオンが日本でもようやく叫ばれるようになったものの、医師の中には未だにそれを嫌がる人がいるのだそうだ。しかし、そういう医師は、たとえ長い付き合いであって馴染みのある医者だとしても、危ないと思った方がいい。何故ならば、
医者も所詮はただの人間であり、その診断力や判断力には個人差があり、限りがある
からだ。従って、
医師の診断や治療法など、少しでも納得がいかないのであれば、すぐに決断をせず、とことん、自分が納得するまで追求するべきである。決して受け身になってはいけない。
のである。
残念ながら、必要のない治療や手術をする医師が存在する以上、自分の体は自分でしか守れない。難しいことを分かりやすく説明できない医師は、まずダメ医師と思ってくれってまず間違いない。本当に優秀な医者は、患者の目線で症状を分かりやすくきちんと詳細に説明してくれる人であり、また、自分がやりたいと思う治療法を決して患者さんに無理強いはしない。患者さんが何度しつこく質問しても決して怒らない人なのである。
より正しい治療決断をするためにも、患者側でできるだけ多くの情報を持っていると、よりよい判断につながる。そのことについては、この後の出来事も含め、後日述べたいと思う。
とりあえず、本日はここまでにしたいと思う。つづきは後日。