冷たい花曇りのお墓参りでした。
満開の山桜が見える墓所で
花を手向け香を焚き合掌礼拝すると
立ちのぼる香が心に沁みいり、
念仏を唱え、経を読誦しますと
爽やかな風がふいて参りました。
一粒の真実
むかし一人の婆さんがいました。
このお婆さんは朝から晩まで『南無阿弥陀仏』を唱えて暮らしていました。
『念仏婆さん』と云われた彼女も寿命が尽きて亡くなり、
お通夜で近所の人が今頃極楽浄土に向かっているであろうとうわさをしていました。
一方死んだ婆さんは閻魔大王の前で地獄行きの判決をうけ、
地獄の黒門の扉を開けその中に叩き込もうとした時、
婆さんがまってくだされと叫んだ。
あたしは娑婆世界におるときは、
念仏婆さんという仇名がついたほどです、
何かの間違いでありませんかと抗議しました。
閻魔大王は何か証拠でもあるのかと問うた。
婆さんは、はいお土産に娑婆世界でとなえた
『念仏の粒』を大八車に二台も積んで来ました。
赤鬼、青鬼がその『粒』をザルにのせ『ふるい』にかけたところ
全部実のない『しいら』ばかりでありました。
閻魔大王がやっぱり地獄に行けと言いかけた時、
赤鬼が走ってきて『一粒だけ実』が入っていると言いました。
しからば、いつ如何なる時にこの『正味の一粒』は発生したのか調べろと言うことでした。
調べてみると婆さんがお寺詣りに行く道すがらで
にわかに雲が出てきて雷が鳴り出し、ついにその雷がピカリ・ドンと落ちたのです。
婆さんは思わず『ナンマイダー!』と叫んで気絶しました。
その時の念仏が『正味の一粒』でした。
そのほかの念仏はみなしいららばかりで、
婆さんは畑を耕して石が出てくると、みんな隣の畑に投げ入れていました。
閻魔大王はたとえ『一粒でも正味の実』があるからには地獄に入れるわけにはいくまいと言い、
この婆さんを極楽に案内せよと叫んだ。
明治の関精拙(せきせいせつ)和尚
満開の山桜が見える墓所で
花を手向け香を焚き合掌礼拝すると
立ちのぼる香が心に沁みいり、
念仏を唱え、経を読誦しますと
爽やかな風がふいて参りました。
一粒の真実
むかし一人の婆さんがいました。
このお婆さんは朝から晩まで『南無阿弥陀仏』を唱えて暮らしていました。
『念仏婆さん』と云われた彼女も寿命が尽きて亡くなり、
お通夜で近所の人が今頃極楽浄土に向かっているであろうとうわさをしていました。
一方死んだ婆さんは閻魔大王の前で地獄行きの判決をうけ、
地獄の黒門の扉を開けその中に叩き込もうとした時、
婆さんがまってくだされと叫んだ。
あたしは娑婆世界におるときは、
念仏婆さんという仇名がついたほどです、
何かの間違いでありませんかと抗議しました。
閻魔大王は何か証拠でもあるのかと問うた。
婆さんは、はいお土産に娑婆世界でとなえた
『念仏の粒』を大八車に二台も積んで来ました。
赤鬼、青鬼がその『粒』をザルにのせ『ふるい』にかけたところ
全部実のない『しいら』ばかりでありました。
閻魔大王がやっぱり地獄に行けと言いかけた時、
赤鬼が走ってきて『一粒だけ実』が入っていると言いました。
しからば、いつ如何なる時にこの『正味の一粒』は発生したのか調べろと言うことでした。
調べてみると婆さんがお寺詣りに行く道すがらで
にわかに雲が出てきて雷が鳴り出し、ついにその雷がピカリ・ドンと落ちたのです。
婆さんは思わず『ナンマイダー!』と叫んで気絶しました。
その時の念仏が『正味の一粒』でした。
そのほかの念仏はみなしいららばかりで、
婆さんは畑を耕して石が出てくると、みんな隣の畑に投げ入れていました。
閻魔大王はたとえ『一粒でも正味の実』があるからには地獄に入れるわけにはいくまいと言い、
この婆さんを極楽に案内せよと叫んだ。
明治の関精拙(せきせいせつ)和尚
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