ふと我に返るとき

私たちは、私たち自身がつくりあげた社会システムの中で生きています。
この社会システムは、政治、経済、行政、法律、伝統、慣習、常識、地域や集団の意識など
さまざまなものから成り立っています。

そのシステムの中では、システムは絶対的な善であり
それに乗っかっていれば（一応）安心、安全だとされています。

私たちはこのシステムに乗っかっている限り
システムから、そのルールにのっとって行動するよう強要されます。
反面、私たちも、そこから外れることがないよう恐る恐る生ることになります。

このシステムは、私たちの意識の奥深くにまで浸透しています。
そのため、私たちは何も考えずにその中で反応して生きることになり
自分自身の思考や行動がシステムによって制御されていることすら気づくことができません。

しかし、大災害、大惨事などの大事件や悲しい離別などによって
自分の身近なところで生命にかかわる出来事が起きると
何かに頭を揺さぶられ、これまで盲信してきたシステムから意識や思考が離れていきます。

そして、私たちの意識は、システムの中にいては焦点が当たりにくかったこと、
感じ取りにくかったこと、あえて見ないようにしていたこと、
今まで忘れていたこと、考えてもいなかったようなこと、
などに自然と向かうようになります。

その結果として
例えば、なぜ自分は生きているのか？死んだらどうなるのか？という死生観に基づくものや
人生で本当にすべきことは何か？使命は何か？という人生観に関するものや
なぜお互いを助け合うのか？いたわる気持ち、思いやる気持ちとは？という愛に基づくもの、などが
自然と自分の内面から発せられるようになったり、
自分との対話を通して感じ取れるようになったりします。

この自分の奥底から発せられるものは
社会システムによって出来上がっているものではないため
時としてシステムから外れたものの見方、感じ方になることがあります。

何かによって、このようなことを思い起こさせられるとき、自分に大きく揺さぶりをかけられるときは
本質的な何かを感じ取るためのときであり、言い換えると成長のときであり
システムから離れてふと我に返るときです。