蒼い空の下で

文系男子の何気ない1日を記します。

夏のあとがき②-入れ替わる形勢-

2019-09-02 23:40:09 | 2019年学童野球
名田庄との試合後、昼ごはんと思いきや、嫁がいない事に気付く。
この日は、県選抜の練習日。
嫁が送迎役をしてくれた。

嫁がいなければ何も出来ない訳ではない。
コンビニでおにぎりを2つだけ買って車に乗り込む。
いつもならば妻が用意してくれている。
いつもとは違う行動にやや戸惑いながらも、嫁が応援に来ていない事を改めて実感する。
もう一度言っておくが、嫁がいなければ、何も出来ない訳ではない。

稲刈りが始まった青葉山麓。
青葉球場からはそれが見て分かる。
前日にも訪れたが、その時とは球場の雰囲気が全く違う。
みんみん蝉の鳴き声が、やけに遠くから聞こえてくる。
夏の終わりを予感する哀愁さえも漂っている。

コンビニ経由もあってか、チームで最も遅い球場入りとなる。
既に子供達は球場内で練習に取り組む。
また、保護者によってテントや横断幕も設営済である。

球場に入ると、スタメンの紹介がアナウンスされた。
1塁側に向かいながらそれを聞き入る。

キタヤマにカタヤマ、アオトにカイト。
「竜雷太と峰竜太みたいや。」
思わずそう頭に浮かんだ。

1塁側応援席に到着と同時に試合は開始する。
マリナーズ応援席の後方には、全日程を終えた青郷クラブの姿が見えた。

-先攻・高浜クラブー
太良の制球が初回から乱れる。
緊張なのか気負いなのかは分からない。
どちらにしても少し気になる。

初回、簡単に先取点を献上する。
その後、しっかりと後続を断てた事が、与えた1点の重みを薄くさせた。
これが楽にはならない試合展開を予感させるものとなる。

2回に入っても太良の制球が定まらない。
すると、ここで早くもピッチャーの交代が告げられる。
サードの歩夢がマウンドへと上がった。

-優勝が無くなった以上、何としても準優勝は持ち帰らなければならない-
普段から見掛けなかった早い判断から雄介の頭にある想いがすぐに見て取れた。

ところが、マウンドに上がった歩夢の制球も定まってこない。
一番嫌な形でランナーを溜め込んでしまっている。
結果的にバックに助けられるが、不安ばかりが募ってくる。

この日、海翔が存在感を示した。
3回、得点圏にランナーを背負う場面。
一打が出れば追加点を許す場面だった。
この場面でキャッチャー後方に上がった小フライを海翔が飛び込んで捕り抑えてくれた。

ある姿が頭を過る。
今から3年前、春の県大会後の打ち上げの時だった。
その中で、ひとりずつに今後の目標を訊ねられた。
当時、3年だった海翔は全員を前にしてこんな事を言ってくれた。

「ぼくは、ごはんをたくさん食べて、蒼空くんみたいなバッターになりたいです。」
わんぱく坊主がそう言ってくれた事。
今でも鮮明に記憶している。

あれから3年が経過。
いつしか海翔も、小さな子達からそう思われる選手になった。
この日、私はそう確信した。

劣勢のまま試合は進んでいく。
ところが4回の攻撃が、1番からの好打順となる。

ヒットで出塁した太良を歩夢が打って還す。
続く海翔も打って歩夢を還す。
わずかなチャンスを得点に繋げた。

4回を終わって2対1でリード。
この勢いならば、このままリードしたまま終わる。
私の中には、こうした慢心が少なからずあった。

しかし、この後にもう一度、形勢が逆転してしまう。
たった1人の相手6年生によって、そう追い込まれるのであった。

                           つづく
コメント
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