昨晩は先輩らと呑んだ。
久々に腹を抱えて笑った。
だが40歳を越えると、やはり堪える。
この日の集合時間は午前7時。
夏休みのラジオ体操の時間並みである。
グラウンドに到着すると既に6年生の父親達がいる。
実に真面目な面子(めんつ)だ。
8時半から開始する大飯対高浜。
当団から私が塁審する。
それまでは、まだ時間がある。
なので、グラウンドに居続けて練習に付き合った。
ちなみにマリナーズは10時半から名田庄と試合。
会場へ移動する時間も遅い。
午前8時20分に開始。
大飯の先攻で大飯と高浜の試合は始まった。
先頭バッターの快打から始まった。
2塁塁審をしていた私の目が覚めるほどの打球だった。
5年生とは思えないようないい選手だ。
春と夏の大飯郡覇者。
その重圧は、見ていても何となく伝わってきた。
試合は、序盤から流れを掴んだ大飯が勝利した。
両チームが青葉球場へ移動する傍ら、青葉球場から移動してくる名田庄を待つ。
その間にも、2、3年生の団員やその保護者が応援に駆けつけてくれる。
また、孫の試合に訪れた祖父母の姿も多く見られた。
そうこうする内に青郷との試合を終えた名田庄がやってくる。
しばらくしてお互いシートノックを済ませる。
昨日、この試合での先発を告げられた湊志。
湊志の出来こそが勝敗を占う。
お互いに1巡目の打線が抑え込まれる。
ところが、2巡目の太良が攻撃の口火を切る。
太良が先制のホームを踏むと後続も塁へと出る。
こうなれば、少しずつ流れがやって来る。
続く未優のタイムリー。
応援席が盛り上がる。
そして、3年生幸太朗の甲高い応援の声がより一層に拍車を掛ける。
春の県大予選から聡が築いた応援団。
ここへ来てようやく板についてきた。
カメラ片手に応援席へ廻ってみると、別会場で行われている青郷対大飯の途中経過が届く。
大作の情報によれば、現時点で大飯のリードは1点らしい。
という事は、最後の最後まで試合の行方は分からない。
そのままブルペンに目をやると、そこに映ったのは投球練習をする渉太の姿。
いつ振りだろうか。
こんな光景を目にするのは。
すると、5回を1失点にして湊志はマウンドを降りる。
そして、渉太に後を託した。
元々、渉太がこの世代のエース候補。
当時の状況をはっきりと覚えている。
野球を始めてから半年も経たない内からマウンドに上げられた。
制球が乱れ、マウンドで泣きながら投げていた過去を思いだす。
1イニング8四死球なんて事もあった。
怪我で野球ができない時期を乗り越え、再びマウンドに上がった。
伸びのある直球で2三振を含む3人で抑え込み、勝利をもたらした。
試合後の整列。
確かな実力が付いているのが見て取れた。
おにぎりを1つだけ食べてから移動。
その間、保護者は横断幕やテントを片付ける。
片付けが落ち着くと、聡は青葉会場にいた大作に連絡をした。
「大飯スリーアローズが全勝」
打倒大飯で臨んだが、今大会も圧倒的な強さで締めくくられた。
マリナーズに残された試合はあと1つ。
6年生にとってこれが最後を意味する。
そして、これからその会場へと移動するものとなる。
-秋の青葉-
ただ1チームを除き、毎年6年生達はこの地で学童野球に終わりを告げる。
終わりたくない、終わらせたくないという想いが交錯する場所。
それを知った上で、そこへ足を踏み入れる事になるのであった。
つづく
久々に腹を抱えて笑った。
だが40歳を越えると、やはり堪える。
この日の集合時間は午前7時。
夏休みのラジオ体操の時間並みである。
グラウンドに到着すると既に6年生の父親達がいる。
実に真面目な面子(めんつ)だ。
8時半から開始する大飯対高浜。
当団から私が塁審する。
それまでは、まだ時間がある。
なので、グラウンドに居続けて練習に付き合った。
ちなみにマリナーズは10時半から名田庄と試合。
会場へ移動する時間も遅い。
午前8時20分に開始。
大飯の先攻で大飯と高浜の試合は始まった。
先頭バッターの快打から始まった。
2塁塁審をしていた私の目が覚めるほどの打球だった。
5年生とは思えないようないい選手だ。
春と夏の大飯郡覇者。
その重圧は、見ていても何となく伝わってきた。
試合は、序盤から流れを掴んだ大飯が勝利した。
両チームが青葉球場へ移動する傍ら、青葉球場から移動してくる名田庄を待つ。
その間にも、2、3年生の団員やその保護者が応援に駆けつけてくれる。
また、孫の試合に訪れた祖父母の姿も多く見られた。
そうこうする内に青郷との試合を終えた名田庄がやってくる。
しばらくしてお互いシートノックを済ませる。
昨日、この試合での先発を告げられた湊志。
湊志の出来こそが勝敗を占う。
お互いに1巡目の打線が抑え込まれる。
ところが、2巡目の太良が攻撃の口火を切る。
太良が先制のホームを踏むと後続も塁へと出る。
こうなれば、少しずつ流れがやって来る。
続く未優のタイムリー。
応援席が盛り上がる。
そして、3年生幸太朗の甲高い応援の声がより一層に拍車を掛ける。
春の県大予選から聡が築いた応援団。
ここへ来てようやく板についてきた。
カメラ片手に応援席へ廻ってみると、別会場で行われている青郷対大飯の途中経過が届く。
大作の情報によれば、現時点で大飯のリードは1点らしい。
という事は、最後の最後まで試合の行方は分からない。
そのままブルペンに目をやると、そこに映ったのは投球練習をする渉太の姿。
いつ振りだろうか。
こんな光景を目にするのは。
すると、5回を1失点にして湊志はマウンドを降りる。
そして、渉太に後を託した。
元々、渉太がこの世代のエース候補。
当時の状況をはっきりと覚えている。
野球を始めてから半年も経たない内からマウンドに上げられた。
制球が乱れ、マウンドで泣きながら投げていた過去を思いだす。
1イニング8四死球なんて事もあった。
怪我で野球ができない時期を乗り越え、再びマウンドに上がった。
伸びのある直球で2三振を含む3人で抑え込み、勝利をもたらした。
試合後の整列。
確かな実力が付いているのが見て取れた。
おにぎりを1つだけ食べてから移動。
その間、保護者は横断幕やテントを片付ける。
片付けが落ち着くと、聡は青葉会場にいた大作に連絡をした。
「大飯スリーアローズが全勝」
打倒大飯で臨んだが、今大会も圧倒的な強さで締めくくられた。
マリナーズに残された試合はあと1つ。
6年生にとってこれが最後を意味する。
そして、これからその会場へと移動するものとなる。
-秋の青葉-
ただ1チームを除き、毎年6年生達はこの地で学童野球に終わりを告げる。
終わりたくない、終わらせたくないという想いが交錯する場所。
それを知った上で、そこへ足を踏み入れる事になるのであった。
つづく