こないだの夜に酒が切れたのでしょうがなく買ったセブンイレブンの日本酒「東光 純米吟醸」が、期待を裏切って大当たり。とろけるような甘味がじんわり効いて、それでいてスッと切れる極上の味が大正解だった。ビックカメラの酒売り場は品数が少なく(まあ柏あたりの酒屋にしては多い方だが)、しばらく前から殆ど飲み尽くしてしまって、やはり東京の酒屋に行かないと「銘酒」と呼ばれる高級品は買えないのかな?と半ば諦めていたところだったので「天は我を見捨てなかった!」と、部屋の中で大袈裟にガッツポーズを決めて見せた。と言っても独り暮らしであるが。
大体において酒は先入観や口コミで飲まず嫌いになっているだけで、案外試しに飲んでみると旨かったりしてビックリすることがある。勿論ハズレもあるわけで、そこが日本酒と言うか「酒」の楽しみの深いところである。大きく言って杜氏の流れで南部・越後・丹波が三大杜氏と呼ばれているらしいが、私はあまり杜氏にこだわる方ではない。最近は杜氏に頼らず自分で一から作る蔵元の社長が出たり、IT技術を駆使して作る酒が出てきたりして、杜氏が昔ながらに作っているからといって旨いとは限らないのだが、色んな酒が出てくることは良い傾向なので、新しい酒造りも私は大賛成である。要は旨ければ何だって良いのだ。
で、東光だが、以前に「日本酒利き酒会」というのを新橋からモノレールに乗って仲間のS・N氏とS・Y氏と三人で行ったことがあった。3000円ほど入場料を払って入ったが、まだ酒を良く知らない頃だったので、とりあえず片っ端から飲もうという意地汚い作戦でそれぞれお好みのブースへ向かった。S・N氏は東北地方、S・Y氏は新潟地方、私は広島・山口・大分という関西方面にした。東に比べて西の方は全般に甘ったるい感じが強く、当時は辛口全盛の流行もあり、どうも好きになれないなと思い「やっぱり酒は辛口が一番」などとコマーシャルそのままで東のブースの部屋に戻った。サッと見渡して北海道のブースにいたS・Y氏を見つけ「どう?」と聞くと、既に赤い顔をして「なかなか良いね」などとニンマリしている。
フランスパンを薄切りにしたツマミも用意してあるのだが酒飲みに来たわけではなく、利き酒会なのだから小さなカップにホンのちょっと注いでくれるだけである。それでも10箇所以上「蘊蓄を聞きながら」チビチビ飲んでいると、結構思ったより酔うのだ。S・Y氏も相当酔っていて、いつもに増して饒舌にまくし立てる。S・N氏はもとより酒豪であるから安心してみてられるが、会津の「奥の松」というブースで「会津といったら『栄川』だろう」と絡んで顰蹙を買ったとか言って、相変わらず一言持論をぶちかまして楽しんでいる。私は岐阜のブースで旨い酒を見つけてぐいぐい飲んだ後なので、ちょっとツマミのパンを口に入れて酔いを醒ましていた。
そこへ和服の「クラブのママ風のいい女」が通りすがりに「ペッ」と、飲んだ酒を壺みたいなところに吐き出して、またブースの酒をあおっている。それを目敏くみつけて「ありゃぁ、プロだね」と言うと、S・Y氏も「プロだ」と言う。すると横からS・N氏が「なんだ、あまり旨くないのはペッと吐くんだよ、知らなかったのか?」と平然と講釈した。「へぇー、そうなんだ」と感心しきり。しかし喉ごしを味わおうとすると吐くことができないので、結局全部飲んでしまうことになるのだった。三人で10箇所くらいブースを回る頃には、S・Y氏はすっかり酔ってだんだん目が座って来た。
私も相当酔ってフラフラだったのでそろそろ帰ることにして、S・N氏と出口で記念品を貰っていると、なんと彼が抽選で純米酒4合瓶を当てたのだ。「いいなー」と囃し立てていると、静かにしていたS・Y氏がソファーで寝込んでしまった。彼の家は千葉の六実なので、帰るだけでもだいぶ遠い。我々は帰りに何処か寄って、今日飲んだ酒のあれこれを肴に一杯やろうと計画してたのだがオジャンになった。「これじゃ、どの酒が旨かったかなんて覚えてないよなー」と笑って別れたが、私も殆ど覚えていない。酒の飲み比べ会などは「目的をもって行かないと、逆に酒に呑まれてしまう」。
で、東光だが、その利き酒会でブースを出していて、確か「どうですか?」と蔵元の人から声をかけられたのだが、「山廃っていうのは好きじゃないんでね」と断った記憶があった。当時はちょっと知識をかじっていて「山廃というのは酸味が強い」というイメージがあった。東光のブースの人は怪訝な顔をしていたが、私の答が的外れなのはその時は知るよしもない。と、サスペンス調で書いてみたが、今なら山廃もいいなと思っている。だが今回セブンイレブンで買ったのは「純米吟醸」である。やはり純米吟醸の方が旨いのかなーなどと思って「冷蔵庫から東光を出して」おちょこに注ぎグイッと一口飲んだ。
「あれー?、昨日と味が違う!」
そうなのだ、味が微妙に違って極上の甘味が少し後ろに引っ込んで、酸味がより強く前面に出てきているではないか。昨日あれほど華麗に口の中を舞っていたビロードのような米の旨みは何処へ行ってしまったのか。
結論、この東光は「常温でなければいけない」のだ。冷蔵庫に入れたお蔭で「酒質が変化してしまった」に違いない。セブンイレブンでは店内の酒コーナーの棚に普通に陳列してあって、冷蔵の棚ではなかったのだ!
私は安い酒は外の棚に置いてあって、上等の酒は冷蔵していると思っていた。たぶんセブンイレブンの店員でもただ普通に並べているだけで特別なことはやってないと思う。だがそれでも、偶然かもしれないが「東光は常温」に違いないのだ。それを確かめるためには、これを飲み切ってもう一度新しく同じセブンイレブンで東光を買ってきて、それで「常温にしたまま」にしておいて味が変化するかどうか試して見るのだ。
果たして計算通りに行くかどうか、4・5日後には嫌でも答えが出る。酒は単なるアルコールに過ぎないが、微妙に温度の影響を受ける「味覚の芸術」である。まあ、それほど持ち上げなくても良いようなもんだが、人生の楽しみの一つであることは間違いない。東光、本物かどうか今から楽しみである。
大体において酒は先入観や口コミで飲まず嫌いになっているだけで、案外試しに飲んでみると旨かったりしてビックリすることがある。勿論ハズレもあるわけで、そこが日本酒と言うか「酒」の楽しみの深いところである。大きく言って杜氏の流れで南部・越後・丹波が三大杜氏と呼ばれているらしいが、私はあまり杜氏にこだわる方ではない。最近は杜氏に頼らず自分で一から作る蔵元の社長が出たり、IT技術を駆使して作る酒が出てきたりして、杜氏が昔ながらに作っているからといって旨いとは限らないのだが、色んな酒が出てくることは良い傾向なので、新しい酒造りも私は大賛成である。要は旨ければ何だって良いのだ。
で、東光だが、以前に「日本酒利き酒会」というのを新橋からモノレールに乗って仲間のS・N氏とS・Y氏と三人で行ったことがあった。3000円ほど入場料を払って入ったが、まだ酒を良く知らない頃だったので、とりあえず片っ端から飲もうという意地汚い作戦でそれぞれお好みのブースへ向かった。S・N氏は東北地方、S・Y氏は新潟地方、私は広島・山口・大分という関西方面にした。東に比べて西の方は全般に甘ったるい感じが強く、当時は辛口全盛の流行もあり、どうも好きになれないなと思い「やっぱり酒は辛口が一番」などとコマーシャルそのままで東のブースの部屋に戻った。サッと見渡して北海道のブースにいたS・Y氏を見つけ「どう?」と聞くと、既に赤い顔をして「なかなか良いね」などとニンマリしている。
フランスパンを薄切りにしたツマミも用意してあるのだが酒飲みに来たわけではなく、利き酒会なのだから小さなカップにホンのちょっと注いでくれるだけである。それでも10箇所以上「蘊蓄を聞きながら」チビチビ飲んでいると、結構思ったより酔うのだ。S・Y氏も相当酔っていて、いつもに増して饒舌にまくし立てる。S・N氏はもとより酒豪であるから安心してみてられるが、会津の「奥の松」というブースで「会津といったら『栄川』だろう」と絡んで顰蹙を買ったとか言って、相変わらず一言持論をぶちかまして楽しんでいる。私は岐阜のブースで旨い酒を見つけてぐいぐい飲んだ後なので、ちょっとツマミのパンを口に入れて酔いを醒ましていた。
そこへ和服の「クラブのママ風のいい女」が通りすがりに「ペッ」と、飲んだ酒を壺みたいなところに吐き出して、またブースの酒をあおっている。それを目敏くみつけて「ありゃぁ、プロだね」と言うと、S・Y氏も「プロだ」と言う。すると横からS・N氏が「なんだ、あまり旨くないのはペッと吐くんだよ、知らなかったのか?」と平然と講釈した。「へぇー、そうなんだ」と感心しきり。しかし喉ごしを味わおうとすると吐くことができないので、結局全部飲んでしまうことになるのだった。三人で10箇所くらいブースを回る頃には、S・Y氏はすっかり酔ってだんだん目が座って来た。
私も相当酔ってフラフラだったのでそろそろ帰ることにして、S・N氏と出口で記念品を貰っていると、なんと彼が抽選で純米酒4合瓶を当てたのだ。「いいなー」と囃し立てていると、静かにしていたS・Y氏がソファーで寝込んでしまった。彼の家は千葉の六実なので、帰るだけでもだいぶ遠い。我々は帰りに何処か寄って、今日飲んだ酒のあれこれを肴に一杯やろうと計画してたのだがオジャンになった。「これじゃ、どの酒が旨かったかなんて覚えてないよなー」と笑って別れたが、私も殆ど覚えていない。酒の飲み比べ会などは「目的をもって行かないと、逆に酒に呑まれてしまう」。
で、東光だが、その利き酒会でブースを出していて、確か「どうですか?」と蔵元の人から声をかけられたのだが、「山廃っていうのは好きじゃないんでね」と断った記憶があった。当時はちょっと知識をかじっていて「山廃というのは酸味が強い」というイメージがあった。東光のブースの人は怪訝な顔をしていたが、私の答が的外れなのはその時は知るよしもない。と、サスペンス調で書いてみたが、今なら山廃もいいなと思っている。だが今回セブンイレブンで買ったのは「純米吟醸」である。やはり純米吟醸の方が旨いのかなーなどと思って「冷蔵庫から東光を出して」おちょこに注ぎグイッと一口飲んだ。
「あれー?、昨日と味が違う!」
そうなのだ、味が微妙に違って極上の甘味が少し後ろに引っ込んで、酸味がより強く前面に出てきているではないか。昨日あれほど華麗に口の中を舞っていたビロードのような米の旨みは何処へ行ってしまったのか。
結論、この東光は「常温でなければいけない」のだ。冷蔵庫に入れたお蔭で「酒質が変化してしまった」に違いない。セブンイレブンでは店内の酒コーナーの棚に普通に陳列してあって、冷蔵の棚ではなかったのだ!
私は安い酒は外の棚に置いてあって、上等の酒は冷蔵していると思っていた。たぶんセブンイレブンの店員でもただ普通に並べているだけで特別なことはやってないと思う。だがそれでも、偶然かもしれないが「東光は常温」に違いないのだ。それを確かめるためには、これを飲み切ってもう一度新しく同じセブンイレブンで東光を買ってきて、それで「常温にしたまま」にしておいて味が変化するかどうか試して見るのだ。
果たして計算通りに行くかどうか、4・5日後には嫌でも答えが出る。酒は単なるアルコールに過ぎないが、微妙に温度の影響を受ける「味覚の芸術」である。まあ、それほど持ち上げなくても良いようなもんだが、人生の楽しみの一つであることは間違いない。東光、本物かどうか今から楽しみである。
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