前回までで大体の流れは分かってきた。今回は最終回として「解決方法の提案」と「私個人の感想」を書いていく。デービッド・アトキンソンの解決策を私の解釈で紹介する。
1 企業数の削減
これから労働力の減少と同時に労働者の奪い合いが始まるのは必然だ。労働がハードで給料が安い企業は必要な労働力が集められず潰れることが予測できる。付加価値の作れない弱小企業は淘汰されてしまうのである。データを見ると、中小企業ほど給料が安い傾向にあるので、零細・中小から順に消滅していくだろう。これは生産性アップの面からは歓迎すべきことである。大事なことは「政府が余計なことをしない」ことだとアトキンソンは言う。政府が零細・中小企業を支援したり低金利で資金を融通すると「潰れるはずの企業が生き延びて」しまい、全体の生産性向上の足を引っ張ることになるという。まず生産性を上げる、これを最優先事項にして、競争に負けて潰れるところは「そのまま放っておく」べきである。
だが逆に日本では経済合理性を無視し、国の財政が崩壊の危機に瀕しているのだ。日本では労働人口が減っているのにも関わらず、「中小企業の数が余り減ってない」という。それは中小企業の倒産が増えると「大問題」になるからである。1964年の1社あたりの平均就業者数は24人であるが、その後減り続けて85年には「13人」にまで下がった。今は回復しているが「それでも16人」である。そして重要なのは75年と95年を比較すると「従業員数10人以下の会社数が、2倍に増えて」いることなのである。給与水準の最も低い企業が一番数を増やしてきた、ということである。これでは生産性が上がらないのも無理はない。総需要が減少するのに企業数が減らず「供給過剰」になっていることが「デフレ」の原因だから、これからは「もっとデフレ圧力」が強まって「企業が潰れる」時代にはいるのだ。政府はむしろ「その流れを後押しして」企業数を適正にまで減らして「生産性の高い企業」を応援すべきである。これはデータの上でも立証されていて、95年に313万社あった従業員数10人の会社は、2015年には277万社にまで減少しているのだ。2060年には政府が余計なことさえしなければ131万社ぐらいになるという、あくまで机上の計算だが「半分に減る」と思われるのだ。これは労働者の数から計算した企業数である。
ではAIロボットなどを使って現在の企業数を維持すればいいではないか、と考える人がいると思うが「それは肝心の需要」が増えないので有効ではない。当然AIは飯も食わなけりゃ旅行もしないので「需要はゼロ」である。需要が増えなければGDPも増えないわけである。またAIを活用した場合の利益の再配分にも疑問があり、日本人の考える「一番の競争力、つまり価格を下げて」売ろうとするので、生産性を上げたことにはならないのである。そして3番目は日本企業の特性に関してであるが、ネットと通信の革新的な変化に先進国は対応して「業界再編・企業統廃合・新規参入」などの社会の変革を成し遂げてきたのに比べて、日本ではIT改革が進んでいないとアトキンソンは言う。それは数値にも現れていて、デジタルインフラは世界第6位なのに対し、「企業の機敏姓は57位、データの活用は59位」とまたしても最下位である。ITに乗り遅れて生産性をあげられない企業は、どんどん「潰れる」べきなのである。だがどのみち労働者数が減って企業も淘汰されていく。最近私の業界でも「倒産・廃業」する企業が出てきた。この本を読んでいる私は「人口減・労働力減というのは、これだな」と受け止めている。宝石業界も需要が減って、だんだん「ジリ貧」なのである。
日本はまだまだ色んな業界で労働力をムダ使いしている企業が多いのだ。社員一人ひとりの仕事が「付加価値=生産性を上げているか」がこれから問われるべきだろう(かく言う私も、あまり生産性のある仕事はさせて貰ってないが)。2017年に浅草寺が仲見世の家賃を「15000円から相場の25万」に上げたいと言った時、猛反対に遭ったという。その理由が「そんなに上げたらやっていけない」であった、笑えますよね。場所を貸している浅草寺としては、そういう店にこそ出ていって「もっと稼げる店」に入れ変わって欲しいわけである。これは人情論の入り込む余地のない「日本全体の経済の要求」なのだ。つまり日本政府は「企業の統廃合を促進せよ」、というのが彼の第一の解決策である。
2 最低賃金の段階的な引き上げ
データを読むと「最低賃金が高ければ高いほど、生産性があがる」という相関関係がある。日本は2018年から「32位の韓国より低く、スペインと大体同じ」である。これが人材の質が低くて最低賃金が低いのなら分かるのだが、日本人の人材の質は「世界第4位」で米国・独国・英国などより「上位」にあるというから「驚くじゃああーりませんか」。つまり優秀な労働力を使っているのに不当に安い低賃金に甘んじている、という結果なのだ。しかし働いてるみになってみると、実感はある。彼は、国際競争力の無い業界を無理に補助金などで優遇・育成する必要はないと言う。英国やドイツ・フランスなどの国は最低賃金は一人当たりのGDPの50%に相当するが、日本はアメリカと同じで27%と「とても低い」。しかしアメリカはGDPが飛び抜けて大きいので、日本と違って最低賃金は実質ヨーロッパ並と言えます。日本が今後も年1.5%の成長率だとすると、データからは2020年に日本の最低賃金は1445円、2040年には1996円、2060年には3279円になるそうだ(凄いね)。
最低賃金を上げると「失業が増える」と言う反論が起きるが、どうだろうか。英国では1996年に最低賃金の法律が可決され、5年かけて2.1倍にしたそうだ。平均賃金の41%である。日本は35%で、OECDの中では31カ国中で26番目と低い。ちなみに英国の人材の質は19位だそうだ。英国が最低賃金を上げた時、保守党は企業への悪影響を懸念して「猛反対」したそうだ。だが予想に反して「悪影響は出ず」むしろ経済に好影響を与えたので、2005年には「反対を撤回」したという。日本では1998年から2013年にかけて、年収200万以下の世帯の割合が20%にまで上がっているそうである。格差社会が広がっているのだ。1990年以降日本では、非正規雇用増加・労働分配率低下・企業の内部留保増加などの経営戦略で、経営者を守った引き換えに「国と国民」の利益を大きく損なったのである、とアトキンソンは書いている。企業を守るために支援するのではなく、国を発展させるように政府は後押ししなければならないのだ。日本の社長は世界の経営者ランキングで「能力・経験・教育、それぞれで50位以下」なのである。当然賃金を上げる様な努力はしていないと言うわけだ。日本は社員は優秀だが「社長がダメ」というのが「データからも読み取れる」特徴である。つまり意識改革が大嫌いな日本国民に、「明治維新以来の大改革をさせる必要」があるのだ。
では日本人が一番嫌いな「移民の受け入れ」はどうだろう。日本の労働者が減少する穴埋めに移民を受け入れて「低賃金で働かせて、研修名目が終わったら自分の国に返って貰う」というのでは、余りにも虫が良過ぎるというものである。スキルレベルの高い外国人が日本で働きたいと思っている割合は「なんと63カ国中で51位」だそうだ。つまり能力的に低い労働者が「日本に移民でやってくる」というわけ。これではいくら移民を受け入れても潰れそうな中小企業を延命する手助けになるだけで「生産性は永遠に上がらない」わけである。だがそれにしても51位だなんて、いかに外国人を酷使しているか分かるというものだ。最低賃金の話でもう一つ。日本の借金の額は「世界一」で、GDPダントツのアメリカより「多い」のである。日本は貯金があるから大丈夫なんてバカなことを言っているが、国民の貯金でチャラにすると言ったら「みんな賛成する」のだろうか。そもそも借金がここまで多くなったのは「所得水準が低い」からである。それには日本人全員の「意識改革」が必要だとアトキンソンは言う。安倍政権下で「働き方改革」なるものが提案されているが、問題は「働き方の形」ではない。肝心なのは「働く目的」である。目的を「より高い付加価値を生み出し、より多く給料を稼ぐ」ことに置かなければ、改革は出来ない、というのだ。納得である。
3 女性の活躍
既に書いたように、女性が男性と同じように働いてこそ「生産性も上がり、年金も維持」出来るのである。方法はいくらでもある、要は「実行していく」ことではないだろうか。もう議論などしている「場合では」ないのである。
結論、最終的にデービッド・アトキンソンが書いているのは、全国民が「GDPを上げよう」と意識を一つにまとめて頑張ることである。値引き競争で足を引っ張りあっている場合ではない。それには所得を上げることが「一番最初にやること」ではないだろうか。その他のことは「後から自然についてくる」ような気がする。そして経営力がなくて無能な社長はバンバン首を切って「能力のある人間にすげ替える」のだ。同族経営などの老害旧悪はバカスカ廃止して、「若い感覚で改革を恐れない社長」に席を譲って貰うのである。企業数は減少して「大企業が生き残る統廃合」が進み、日本の生産性が世界に追いつくことで「やっと社会保障が維持される」のだ。さもなければ、これからの若い人は「どんどん海外へと出ていってしまって」日本は年寄りばかり残った最貧国に成り下がる、そんな未来が待っているというわけだ。もう四の五の言わずに「やるしかない」のである。
この後アトキンソンは「具体的な対策を5つのドライバーと12のステップ」として書いているが、それは「本を買って読んで下さい」としか私は言えない。なにせ全部丸写しで説明したら「本が売れなくなっちゃう」ではないか。それに相当端折っている私の説明では、詳しいデータや分かりやすい例などが「全く分からない」のである。ブログを読んで面白そうだと思ったら「是非是非」本を買って、「お金を払って読む」ことをお勧めする。まあ友達に勧めるぐらいは多目に見てくれるとは思うが、かく言う私も一冊目を勧められて「借りて読んだ」口である。だがその本の面白さに触発されて、二冊目からは「自分で買って」読むようになった。彼の視点は、外国人ならでのユニークなものである。日本人なら当然なことが、外国人からは「特殊なこと」に見えるのだ。それにしても私にとって「人口減が経済の本質」だとは噂には聞いていたが、「黒船襲来」にも比すべき出来事であった。経済とは「人間の感情」など入り込む余地の無い「科学」なのだ、というのがこの本を読んだ1番の感想である。これからの日本の経済対策を見ていく上での「試金石」になる重要なことを、この本は教えてくれた。だから私はブログで書いて「一人でも多くの人に読んで欲しい」と思ったのである。
あとがき
以上でデービッド・アトキンソンの最新刊を紹介したわけだが、他人の本を紹介するということが「これほど大変だ」とは思っても見なかった。3回に分けて書いてやっと終わったが、もう「こりごり」である。まあ、勝手に紹介することはアトキンソンさんには「断ってない」のだが、私のブログ程度の影響力では「いささかも」彼の売上にはひびかないと思うのでお許しいただけるものと解釈している。皆さんも「せめて10人くらいは買ってくれると」私も肩の荷がおりるのですが・・・
1 企業数の削減
これから労働力の減少と同時に労働者の奪い合いが始まるのは必然だ。労働がハードで給料が安い企業は必要な労働力が集められず潰れることが予測できる。付加価値の作れない弱小企業は淘汰されてしまうのである。データを見ると、中小企業ほど給料が安い傾向にあるので、零細・中小から順に消滅していくだろう。これは生産性アップの面からは歓迎すべきことである。大事なことは「政府が余計なことをしない」ことだとアトキンソンは言う。政府が零細・中小企業を支援したり低金利で資金を融通すると「潰れるはずの企業が生き延びて」しまい、全体の生産性向上の足を引っ張ることになるという。まず生産性を上げる、これを最優先事項にして、競争に負けて潰れるところは「そのまま放っておく」べきである。
だが逆に日本では経済合理性を無視し、国の財政が崩壊の危機に瀕しているのだ。日本では労働人口が減っているのにも関わらず、「中小企業の数が余り減ってない」という。それは中小企業の倒産が増えると「大問題」になるからである。1964年の1社あたりの平均就業者数は24人であるが、その後減り続けて85年には「13人」にまで下がった。今は回復しているが「それでも16人」である。そして重要なのは75年と95年を比較すると「従業員数10人以下の会社数が、2倍に増えて」いることなのである。給与水準の最も低い企業が一番数を増やしてきた、ということである。これでは生産性が上がらないのも無理はない。総需要が減少するのに企業数が減らず「供給過剰」になっていることが「デフレ」の原因だから、これからは「もっとデフレ圧力」が強まって「企業が潰れる」時代にはいるのだ。政府はむしろ「その流れを後押しして」企業数を適正にまで減らして「生産性の高い企業」を応援すべきである。これはデータの上でも立証されていて、95年に313万社あった従業員数10人の会社は、2015年には277万社にまで減少しているのだ。2060年には政府が余計なことさえしなければ131万社ぐらいになるという、あくまで机上の計算だが「半分に減る」と思われるのだ。これは労働者の数から計算した企業数である。
ではAIロボットなどを使って現在の企業数を維持すればいいではないか、と考える人がいると思うが「それは肝心の需要」が増えないので有効ではない。当然AIは飯も食わなけりゃ旅行もしないので「需要はゼロ」である。需要が増えなければGDPも増えないわけである。またAIを活用した場合の利益の再配分にも疑問があり、日本人の考える「一番の競争力、つまり価格を下げて」売ろうとするので、生産性を上げたことにはならないのである。そして3番目は日本企業の特性に関してであるが、ネットと通信の革新的な変化に先進国は対応して「業界再編・企業統廃合・新規参入」などの社会の変革を成し遂げてきたのに比べて、日本ではIT改革が進んでいないとアトキンソンは言う。それは数値にも現れていて、デジタルインフラは世界第6位なのに対し、「企業の機敏姓は57位、データの活用は59位」とまたしても最下位である。ITに乗り遅れて生産性をあげられない企業は、どんどん「潰れる」べきなのである。だがどのみち労働者数が減って企業も淘汰されていく。最近私の業界でも「倒産・廃業」する企業が出てきた。この本を読んでいる私は「人口減・労働力減というのは、これだな」と受け止めている。宝石業界も需要が減って、だんだん「ジリ貧」なのである。
日本はまだまだ色んな業界で労働力をムダ使いしている企業が多いのだ。社員一人ひとりの仕事が「付加価値=生産性を上げているか」がこれから問われるべきだろう(かく言う私も、あまり生産性のある仕事はさせて貰ってないが)。2017年に浅草寺が仲見世の家賃を「15000円から相場の25万」に上げたいと言った時、猛反対に遭ったという。その理由が「そんなに上げたらやっていけない」であった、笑えますよね。場所を貸している浅草寺としては、そういう店にこそ出ていって「もっと稼げる店」に入れ変わって欲しいわけである。これは人情論の入り込む余地のない「日本全体の経済の要求」なのだ。つまり日本政府は「企業の統廃合を促進せよ」、というのが彼の第一の解決策である。
2 最低賃金の段階的な引き上げ
データを読むと「最低賃金が高ければ高いほど、生産性があがる」という相関関係がある。日本は2018年から「32位の韓国より低く、スペインと大体同じ」である。これが人材の質が低くて最低賃金が低いのなら分かるのだが、日本人の人材の質は「世界第4位」で米国・独国・英国などより「上位」にあるというから「驚くじゃああーりませんか」。つまり優秀な労働力を使っているのに不当に安い低賃金に甘んじている、という結果なのだ。しかし働いてるみになってみると、実感はある。彼は、国際競争力の無い業界を無理に補助金などで優遇・育成する必要はないと言う。英国やドイツ・フランスなどの国は最低賃金は一人当たりのGDPの50%に相当するが、日本はアメリカと同じで27%と「とても低い」。しかしアメリカはGDPが飛び抜けて大きいので、日本と違って最低賃金は実質ヨーロッパ並と言えます。日本が今後も年1.5%の成長率だとすると、データからは2020年に日本の最低賃金は1445円、2040年には1996円、2060年には3279円になるそうだ(凄いね)。
最低賃金を上げると「失業が増える」と言う反論が起きるが、どうだろうか。英国では1996年に最低賃金の法律が可決され、5年かけて2.1倍にしたそうだ。平均賃金の41%である。日本は35%で、OECDの中では31カ国中で26番目と低い。ちなみに英国の人材の質は19位だそうだ。英国が最低賃金を上げた時、保守党は企業への悪影響を懸念して「猛反対」したそうだ。だが予想に反して「悪影響は出ず」むしろ経済に好影響を与えたので、2005年には「反対を撤回」したという。日本では1998年から2013年にかけて、年収200万以下の世帯の割合が20%にまで上がっているそうである。格差社会が広がっているのだ。1990年以降日本では、非正規雇用増加・労働分配率低下・企業の内部留保増加などの経営戦略で、経営者を守った引き換えに「国と国民」の利益を大きく損なったのである、とアトキンソンは書いている。企業を守るために支援するのではなく、国を発展させるように政府は後押ししなければならないのだ。日本の社長は世界の経営者ランキングで「能力・経験・教育、それぞれで50位以下」なのである。当然賃金を上げる様な努力はしていないと言うわけだ。日本は社員は優秀だが「社長がダメ」というのが「データからも読み取れる」特徴である。つまり意識改革が大嫌いな日本国民に、「明治維新以来の大改革をさせる必要」があるのだ。
では日本人が一番嫌いな「移民の受け入れ」はどうだろう。日本の労働者が減少する穴埋めに移民を受け入れて「低賃金で働かせて、研修名目が終わったら自分の国に返って貰う」というのでは、余りにも虫が良過ぎるというものである。スキルレベルの高い外国人が日本で働きたいと思っている割合は「なんと63カ国中で51位」だそうだ。つまり能力的に低い労働者が「日本に移民でやってくる」というわけ。これではいくら移民を受け入れても潰れそうな中小企業を延命する手助けになるだけで「生産性は永遠に上がらない」わけである。だがそれにしても51位だなんて、いかに外国人を酷使しているか分かるというものだ。最低賃金の話でもう一つ。日本の借金の額は「世界一」で、GDPダントツのアメリカより「多い」のである。日本は貯金があるから大丈夫なんてバカなことを言っているが、国民の貯金でチャラにすると言ったら「みんな賛成する」のだろうか。そもそも借金がここまで多くなったのは「所得水準が低い」からである。それには日本人全員の「意識改革」が必要だとアトキンソンは言う。安倍政権下で「働き方改革」なるものが提案されているが、問題は「働き方の形」ではない。肝心なのは「働く目的」である。目的を「より高い付加価値を生み出し、より多く給料を稼ぐ」ことに置かなければ、改革は出来ない、というのだ。納得である。
3 女性の活躍
既に書いたように、女性が男性と同じように働いてこそ「生産性も上がり、年金も維持」出来るのである。方法はいくらでもある、要は「実行していく」ことではないだろうか。もう議論などしている「場合では」ないのである。
結論、最終的にデービッド・アトキンソンが書いているのは、全国民が「GDPを上げよう」と意識を一つにまとめて頑張ることである。値引き競争で足を引っ張りあっている場合ではない。それには所得を上げることが「一番最初にやること」ではないだろうか。その他のことは「後から自然についてくる」ような気がする。そして経営力がなくて無能な社長はバンバン首を切って「能力のある人間にすげ替える」のだ。同族経営などの老害旧悪はバカスカ廃止して、「若い感覚で改革を恐れない社長」に席を譲って貰うのである。企業数は減少して「大企業が生き残る統廃合」が進み、日本の生産性が世界に追いつくことで「やっと社会保障が維持される」のだ。さもなければ、これからの若い人は「どんどん海外へと出ていってしまって」日本は年寄りばかり残った最貧国に成り下がる、そんな未来が待っているというわけだ。もう四の五の言わずに「やるしかない」のである。
この後アトキンソンは「具体的な対策を5つのドライバーと12のステップ」として書いているが、それは「本を買って読んで下さい」としか私は言えない。なにせ全部丸写しで説明したら「本が売れなくなっちゃう」ではないか。それに相当端折っている私の説明では、詳しいデータや分かりやすい例などが「全く分からない」のである。ブログを読んで面白そうだと思ったら「是非是非」本を買って、「お金を払って読む」ことをお勧めする。まあ友達に勧めるぐらいは多目に見てくれるとは思うが、かく言う私も一冊目を勧められて「借りて読んだ」口である。だがその本の面白さに触発されて、二冊目からは「自分で買って」読むようになった。彼の視点は、外国人ならでのユニークなものである。日本人なら当然なことが、外国人からは「特殊なこと」に見えるのだ。それにしても私にとって「人口減が経済の本質」だとは噂には聞いていたが、「黒船襲来」にも比すべき出来事であった。経済とは「人間の感情」など入り込む余地の無い「科学」なのだ、というのがこの本を読んだ1番の感想である。これからの日本の経済対策を見ていく上での「試金石」になる重要なことを、この本は教えてくれた。だから私はブログで書いて「一人でも多くの人に読んで欲しい」と思ったのである。
あとがき
以上でデービッド・アトキンソンの最新刊を紹介したわけだが、他人の本を紹介するということが「これほど大変だ」とは思っても見なかった。3回に分けて書いてやっと終わったが、もう「こりごり」である。まあ、勝手に紹介することはアトキンソンさんには「断ってない」のだが、私のブログ程度の影響力では「いささかも」彼の売上にはひびかないと思うのでお許しいただけるものと解釈している。皆さんも「せめて10人くらいは買ってくれると」私も肩の荷がおりるのですが・・・
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