こないだ柏の中華屋でいつもの4人が集まり、ゴルフ帰りの反省会と食事を楽しんだ。リーズナブルな食事とお酒を楽しみ、色々な話題で盛り上がったあと1時間くらい経った頃、ふと気が付くとSN氏が熱弁をふるっている。話は何か政治の問題らしく、SY氏に向かって滔々と意見を主張していた。これ、前にもそういう事があって結局物別れになったのだが、最近どうもこの二人の間がぎくしゃくしているのである。今回はしばらく政治で揉めていたがSY氏がトイレに立ったのでひとまず沈静化した。ところがトイレから帰ってきたSY氏が今度は新潟の有名な酒の越乃寒梅の話を持ち出して、実は「越乃寒梅の焼酎」というのを飲んだが美味かった、と話題を変えたのである。SN氏は政治の話が不完全燃焼で面白くなかったらしく、早速この話題に嚙みついた。曰く、「せっかく日本酒で成功したのに、何で今更わざわざ畑違いの焼酎なんか始めるんだ!」と、前の分も合わせて口調が相当にヒートアップしている。それに対してSY氏はいつものように冷静に応対して「俺はただ美味かったって言っただけ」と取り合わない。聞いている方は「やれやれ」である。
こういう問題はそもそも一方が議論しようとしているのに、もう片方が思ったように乗ってこない、という所から始まることが殆どだ。今回もSN氏が一方的に興奮して自説の正しさを認めさせようとしているのに対して、SY氏の反応は「何がいけないの?」と暖簾に腕押し状態である。もう最悪のパターンだ。いつもこうである(なるようになれ、って感じ)。まあ帰る時間があるので中途でお開きになり、口論はしたがそこは大人の二人なので「何事も無かったかのように」和気あい合いと別々の電車に乗って帰って行った。SN氏は「焼酎なんか何故やんの?」で、SY氏は「何を造ろうと勝手だろう」と一見平行線で議論にならないように見える。
いつもなら忘れてしまう些細な諍いだが、今回はこの問題を取り上げて見た。何より二人の口論はこれが初めてではなく、段々溝が深くなっているようなのだ。そろそろ「いつもの口論」を脱して、楽しく実のある会話が出来るよう「話の持って行き方」を変える必要があるのじゃないだろうか。それが簡単じゃないのは「もう一人の友人」のIK氏の例でも経験したから分かっているつもりである。人はそれぞれ他人とは違うものを持っていて、それが「自我という人間の根本」の基礎にもなっているから難しいのだ。仲の良い間同士だからついつい共感を求めて口論する、というのもあるだろう。今回もH氏という「最近加わったSY氏の後輩」が飲み会に参加していたが、H氏に対しては「すいませんねぇ、お騒がせして」とSN氏も謝っていた。分かっているのである。分かっているのに仲直り出来ないなんて悔しいじゃありませんか。
で、第三者の立場にあった私の役目は二人の口論の原因と議論の食い違いの部分を「分析」し、楽しい雰囲気を保ったままお互い議論して「答えを出す方法」を見つける事である。
そこで何か議論になりそうな場合には、まず「その意志を確認」することから始めたい。会話というのは元々違った考えや好みを持っている者同士が話をするのであるから、最初っから「落とし所」が決まっていなければならない、と私は思う。今回の場合はSN氏の考える落とし所に対してSY氏が同意しなかったことから問題が発生した。それは例えば越乃寒梅のやった事(焼酎を作った)が日本酒を醸造する者としては異例だしやるべきではなかった、とか言う「考え」である。ここにはSN氏の心情として、日本酒造りと焼酎造りは別物であり(醸造酒と蒸留酒で製法も出来上がった物も違う)、中には同じような作業の部分もあるかも知れないが、作る側の「目指すもの」には歴然とした違いがあるのだから「あれもこれもと手を出すのはおかしい」という理屈がある(もしやるのであれば別会社にすべきか)。SN氏の「姿勢の問題」に対してSY氏の「経済の自由」の対峙である。そもそも論点がズレているのだ。まあ一介の造り酒屋が何を出そうと大の大人が言い合いをするほどの「大問題」じゃないのだが、「それを言っちゃあお終いよ」である。そこでお互いに会話していて意見の対立があった場合には、ここはキチンと白黒つけようと判断して「議論を開始するかどうか」を確認する、というのはどうだろうか。何か子供騙しのようなやり方だが私はこの方法が言い争いにならずに「楽しく、しかも結論が出る」唯一の方法だと思っている。一つ一つの違いについて毎回答えを出して決着させておく、というのが私の平和的解決法であり「友情を長続きさせる秘訣」です。
ではお互い了解し議論を始めるとして、その議論のやり方については「正しい方法」がありますよ、というのが私の考えです。これについては次回、新しく「議論の方法」として別稿を書くことにします。乞うご期待。
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