「ここの道せまいですね」といきなり自転車に乗ったおばあさんに声をかけられた。
おばあさんはミルキーウェイの端をよろよろゆっくりとペダルをこいでいく。週末にミルク雨がまとめて降ることを、おばあさんは知らなかったらしい。星のミルクで真っ白にぬれた髪を束ねて、よろよろゆっくり自転車を木星めがけてこいで行った。
その一方で、別の老女は背負ったリュックサックにポメラニアンを入れたまま、傘を差し無言で星々の上をすたすた歩いていく。小犬はリュックの中から頭を出して流星群にとり囲まれると、不安そうにキョロキョロしている。
ぼくが「パーン!」手を叩くと、小犬は驚いてリュックサックの中に隠れてしまった。