星の煙りが[ゆで卵色の螺旋形]を描いて伸び縮みする中、バヌーは氷原の電波塔に設置された一人乗り用エレベーターで上空に向かった。
氷原に無数の小さな隕石が降り注ぐのを眺めながら、バヌーはホッとため息をついた。
疲れが体の半分を食いつくしてしまった。
只の[薬草取り]だった頃のことが懐かしい。
バナナの祭壇と彼の鞄はいまも密林に眠ったままだ。
電波塔の頂きに係留していた月見船に乗り込むと、煙りに咳き込みながら洗濯物を干しているミヤの姿を見つけた。
このユニコーン娘を背後から捕まえるには、音を消す靴が必要だ。
バヌーはあきらめて冷たい水で顔を洗うと、三日月コウモリがぶら下がっている小さなルーム・バー・カウンターの片隅でノロノロとシャツを着替え始めた。
真新しい厚めの生地のTシャツには『星屑収集人』と書いてある。
夢の続きは船の帆に溜まっていくけれど、財布の中は
死神でいっぱいだ・・・