野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

里地里山の一年  9月上旬の里山

2023-09-15 | 里地里山の1年

里地里山の一年  9月上旬の里山

日照りと雨が降れば大雨の夏でした。

里山保全の作業の様子を報告します。9月は倒木の撤去作業を中心に行いました。

 

倒木があります。特にコナラの立ち枯れがめだち、太い枝から重さで落下、山道を塞いでいます。

 

前回の続きの所から整備をはじめました。

下草が覆う場所で、多分初めて入る場所だと思います。ちょっとジャングルの様です。

 

谷のようになっている所の横の木を切り倒して歩ける場所を作りました。帰り際にちらっと池と橋が見えたので「あれっていつもリース用のツルを取りに行く所の奥の池ですか?」と聞くと「そうです」と。作業する山のほとんど東の端っこでした。

 

今日は植物や鳥にとても詳しいIさんが来られたので新しい発見が!私たちだけでは全く気が付かなかったと思います.


コオロギのなかま

2023-09-14 | フィールドガイド-昆虫編--

コオロギのなかま

 

秋に鳴く虫の声が盛んに聞こえるようになりました。

日本では鳴く虫の声を聴く風習があります。

童謡「虫のこえ」には、マツムシ、スズムシ、キリギリス、クツワムシ、ウマオイなどがでてきます。

「虫のこえ」の2番に

きりきりきりきり こおろぎや/がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ虫/あとから馬おい おいついて

ちょんちょんちょんちょん すいっちょん/秋の夜長を 鳴き通す/ああ おもしろい虫のこえ」

とあります。

「きりきりきりきり こおろぎや」とあるのが不思議だと思いませんか

コオロギは「コロコロコロ」じゃないのとつっこみたくなりますが、

元歌は

「きりきりきりきり キリギリス」だったのです。

いまでも、小学校の音楽の教科書に載っています。コオロギになったのは、秋の夜長に鳴き通すのはキリギリスではないのではと誰かがいたのでしょう。

元歌は明治、江戸時代にはキリギリスはコオロギのことだったようです。

万葉集にはコオロギの歌が詠まれていますが、その頃のコオロギは鳴く虫の総称だったようです。

平安時代になると、現在いうコオロギはキリギリスのことで、キリギリスはハタオリと呼んでいます。

時代とともに、呼び名も変わっているのすが、今の小学生には誤解されないように「キリギリス」が「コオロギ」に置き換わったようです。

コオロギのなかまには、エンマコオロギ、ミツカドコオロギ、ツヅレサセコオロギ、オカメコオロギなどがよく知られています。

ほかに、アオマツムシは中国から日本に入ってきた帰化種がいます。

カンタンは「ルルルル・・・」という連続音で草原でないています。

カネタタキは「チンチンチンチン・・・」と鳴いており、家の周辺でも見ることができます。


バッタのなかま

2023-09-13 | フィールドガイド-昆虫編--

バッタの仲間

バッタの代表といえばトノサマバッタ。

トノサマバッタの仲間がアフリカやアジアで大群になって大移動して農作物に被害を与えたというニュースを聞くことがある。

深刻な農業被害をもたらすのはサバクトビバッタ。

トノサマバッタは大群になることはありません。

 

もともとトノサマバッタの仲間は乾燥に強く、砂漠のような乾燥した大草原に住んでいます。

卵も土の中に産み、乾燥から卵を守るようにしています。

バッタの仲間は不完全変態で、さなぎの時期はありません。

生まれたときから幼虫の姿は成虫の小型の姿で、脱皮してだんだん大きくなります。

幼虫の時はイネ科の草が生える草原ですごし、成虫になる石ころや砂地の乾燥した川原などですごします。卵は砂地や石ころのある場所に土をほって産卵します。卵は春まで休眠します。

バッタのなかまは、日本では約390種います。

バッタやイナゴなどは、主に昼間に活動し、草を食べます。

コオロギやキリギリスなどは、主に夜行性で、草の葉や他の昆虫を食べます。

 

昼間に活動するバッタのなかま

トノサマバッタ(バッタ科)

荒れ地でよく見られます。体は太く体の色は、緑色から褐色までいろいろあります。ダイナミックに飛ぶ姿は「とのさま」にふさわしい感じがします。

 

オンブバッタ(オンブバッタ科)

頭部はかくすい形で尖っていています。体長は雄25mm内外、雌は42mm内外です。イノコズチやキク、シソなどの葉を食べます。秋にはオスを乗せた姿をよく見かけます。7月~10月に見られます。

 

ショウリョウバツタ(バッタ科) キチキチバッタとも呼ばれます。形はオンブバッタと似ていますが、大型で後ろ足が長いのが特徴です。体長は雄40~50mm、雌75~80mmです。エノコログサやメヒシバの生えた場所でよく見られます。

コバネイナゴ(イナゴ科)

体長28~40mmほどで、体長は緑から黄色緑色。羽(はね)の長さには個体差がある。顔から腹にかけての黒い帯があるのが特徴です。地中で卵の形で越冬し、8月~11月ごろまでヨシ原でよく見られます。

 

ホシササキリ(キリギリス科)

猪名川の川原でよく見られます。ジージーと嶋いています。体長は13mm。よく似ているものにウスイロササキリがいます。

 

ササキリ(キリギリス科)

ササの葉の上でよく見られます。ジリジリと鳴きます。体長は13mm。日かげのササの葉の上でよく見られます。


ナンバンギセル

2023-09-12 | 自然観察会

ナンバンギセル(ハマウツボ科)

9月上旬には、里山のススキの根本にはナンバンギセル (ハマウツボ科)が見られます。

ナンバンギセルはススキやミョウガなどの根に寄生しますが、 すっかり少なくなってしまいました。

牧野富太郎氏は明治13年に四国の石鎚山に登ったときにはじめてこのナンバンギセルを採集したと書いています。(植物と九十三年(2)北国新聞)

 

花期は7~8月、長い花柄の先に横向きに花を一つつけます。花は紅紫色の筒形です。

葉緑素を持たないので光合成ができません。それで、ススキなどの植物の根に寄生し栄養分を吸収します。

 

名前の由来は、花の姿が、マドロスパイプににており、南蛮人(ポルトガル人)が煙草を吸う時に使うキセルという意味でつきました。

 

ところで、寄生植物で有名なのは世界一大きな花を咲かせるラフレシアがあります。

身近なところでは、ネナシカズラやヤドリギなどがあります。 

植物は光合成で生活をしますが、寄生植物は自分だけで栄養を作ることができず、ほかの植物から栄養を奪うことで成り立つ植物です。


マツモムシ

2023-09-11 | フィールドガイド--水生生物--

マツモムシ

 

体長1.5cmほどの水生昆虫。

背泳ぎを上にして泳ぐ様子が見られます。

 

肺呼吸する昆虫です。

呼吸の仕組みは、腹に超撥水性の毛がはえており、毛のすきまに空気を貯めこみます。

その空気で呼吸をするのです。

背泳ぎの姿勢になるのはその空気が浮力になるためです。

マツモなおの水草のはえている池などに生息していることから名前が付きました。

 


里地里山の1年 9月上旬の里地

2023-09-10 | 里地里山の1年

里山では稲穂が黄金色に色づいています。すでに稲刈りの終わった田んぼもありました。

まだまだ暑いですが、秋の気配が少しだけ感じられます。

田んぼの周りには秋の花が見られるようになりました。

ヒヨドリバナ、オミナエシ、ツリガネニンジン、ゲンノショウコ、ヌスビトハギ、コマツナギ、ワレモコウ、ヤマウド、

 

サトキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ルリシジミ、ジャノメチョウ、アゲハチョウ、モンシロチョウ、オオシオカラトンボ、オオアオイトトンボ、マユタテアカネ、羽先の黒いマユタテアカネ、リスアカネ、ネキトンボ、ショウジョウトンボ、ニホンアマガエル、トビなど


アケビ

2023-09-08 | 自然観察会

アケビ  (アケビ科) 

 

日本ではアケビとミツバアケビが知られている。

ゴヨウアケビは、アケビとミツバアケビとの雑種とされている。

アケビとミツバアケビの違いは、前者が小葉 5 枚に対して後者は3枚(ゴヨウアケビの小葉は 3~5 枚)である。

アケビは、本州、四国、九州に分布

ミツバアケビは、北海道から本州、四国、九州に分布。

 

長卵形の大きな果実、果肉は甘くて比較的美味しい。

熟すると紫色となり、タテに二つに割れ、白色半透明多汁な果肉がみえる。

甘いが、食べる部分は少なく口に黒い種子が残る。

古くはこの果⾁の⽢さが珍しがられ、無病息災の珍果として朝廷に献上されたたことが『延喜式』(905〜927)に記載されている。

アケビの果実について、牧野富太郎氏は「アケビは果実の名で、この植物を指して言う時はアケビカズラと呼ぶべきである。」と述べている。

 

中味を食べた外側の皮も食べることができる。

ひき肉やシイタケ、野菜などを、ミソをペースにいため、皮に包んで油で蒸し焼きにしたり、唐揚げにする。また刻んだ果皮をゆがき、いためてゴマミソあえにすると酒のあてになる。

 

 

アケビの新芽は古くから木(こ)の芽といい、サンショウとともに利用されている。

京都鞍馬の「木の芽漬」の材料の一つである。

新芽をゆで、お覆し、あえもの、汁の実などに独特のほろ苦い風味が喜ばれる。

江戸時代、種子から油をとり、食用や灯用にしたという。

 

つる茎を木通(モクツウ)といい、生薬にし、利尿、通経に用いる。

長いつるは、シバなどを縛り、籠や土びん敷きなど、民芸品の素材に利用されてきた。

 


蓼食う虫も好き好き

2023-09-07 | 自然観察会

ヤナギタデの葉は辛く刺身のつまになる。その辛い葉は虫も食わぬだろうということで、「蓼食う虫も好き好き」ということわざができました。

秋河原で群生している様子が見られます。

ヤナギタデ(マタデ)

河原など湿った場所に見られます。葉が柳に似ていることからヤナギタデといいます。

葉や茎は噛むととても辛く、葉を二杯酢ですり潰した「たで酢」は、鮎の塩焼きなど日本料理にはつきもので、鮎の香りをより引き立てる調味料になります。猪名川の河川敷には、秋になると、ヤナギタデやボントクタデ、イヌタデなどタデ科の植物の花が咲きます。

 

イヌタデ

タデの仲間なのに辛くないので、役立たずの意味でこの名がつけられました。

昔、女の子のおままごとでは赤飯の変わりに使われました。

 

オオイヌタデ

イヌタデより大きな淡紅色の花を咲かせます。節が膨らむのが特徴です。

 

ミゾソバ

河原など湿った場所に見られます。秋、桃色の可愛い花を咲かせます。

 

ママコノシリヌグイ

河原など湿った場所に見られます。棘のある茎で継子のしりを拭くなどと、あまり好ましくない命名です。


灯火にあつまるガと花にやってくるガ

2023-09-06 | 兵庫の自然

スズメガのなかま

 

スズメガの多くは夜行性なので、灯火の周りでよく観察できます。

スズメガは花や樹液へ吸蜜をするので、蜜源から観察することができます。

 

 

エゾスズメ 

時期:5 月上旬~ 8 月中旬.特に 7 月に多く見られます。年1化とされています。

食草はクルミ科オニグルミやノグルミ

成虫の静止姿勢独特で後翅を前翅よりも前に出します。

 

クチバスズメ

時期:5 月中旬~ 8 月下旬.特に 7 ~ 8 月に多く見られます。年 1 化とされています。

食草:ブナ科(コナラ,シラカシ,ウバメガシなど)

 

トビイロスズメ

時期:5 月中旬~ 9 月中旬ごろ、特に 7 ~ 8 月によく見られます。年 1 化

食草:マメ科(ニセアカシア,クズ,フジ,ハリエンジュなど)

秋に幼虫が土中に潜り前蛹越冬し、翌初夏に蛹化することが知られています。

オオスカシバ

時期:4 月下旬~ 10 月中旬まで見られますあ。特に 7 ~ 9 月に吸蜜の様子がよく見られます。

年 2 化。

食性:昼行性で,アベリアなど各種の花に訪れ吸蜜する.

食草:アカネ科(クチナシなど),スイカズラ科(ツキヌキニンドウ)

 

ホシホウジャク

時期:6 月下旬~ 12 月下旬.特に 9 月に吸蜜の様子がよく見られます。

食性:昼間に活動し,様々な花から吸蜜を行います。

食草:アカネ科(ヘクソカズラ,アカネ)


日本のクズとアメリカのクズの話

2023-09-05 | 自然観察会

クズとアメリカでの話

 

クズは秋の七草の一つ。

「萩の花 尾花葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなえし) また藤袴 朝顔の花」 (万葉集)

クズは根からくず粉がとれます。葛湯や和菓子の原料になります。

また、「葛根湯(かっこんとう)」という薬にもなります

クズの繊維から葛布とよばれる布がつくられます。静岡県掛川市では今でも葛布作りが行われています。

このように歴史的にも価値のある植物ですが、アメリカに渡ったクズは厄介者になっています。

 

クズはもともと砂防や飼料に使用するためにアメリカに渡りました。

ところが、今では、グリーンモンスターと呼ばれアメリカの在来種を脅かし、環境問題になっています。

調べてみるとクズ以外にも日本の植物がアメリカで問題になっているようです。

 

ジョージア州のツリーズアトランタという団体が日本からアメリカにやってきた困っ植物を外来種トップ10の中に8つも上げています。

 

クズ、それ以外にイノコヅチ、スイカズラ、カナムグラ、イタドリ、アシボソ、ネズミモチ(トウネズミモチ=もとは中国から日本にやってきました)、フジの10のうち8つが日本からの侵略植物です。

もともとは観賞用として持ち込まれたものが多いようですが、逃げ出しアメリカで特定外来種としてまーくされています。

イノコヅチはクズ以上にジョージア州では特に問題になっています。実が衣服や犬の毛にくっついて広がるのが大きな要因です。

スイカズラは観賞用にアメリカに入りました。アメリカ南部で問題になっている植物です。

カナムグラも観賞用にアメリカに入りました。コネチカット州、デラウェア州、インディアナ州、メリーランド州、ペンシルベニア州、バージニア州、コロンビア特別区で問題になっています。

イタドリはアメリカばかりかイギリスでも問題の植物。イギリスではこれが家にあると資産価値が下がるといわれています。

アシボソは磁器の梱包材に使われていたのが、アメリカで広がりました。牧草の成長を阻害する雑草として問題になっています。

トウネズミモチも観賞用でした。在来の低木層の植物を駆逐してると問題になっています。

フジも観賞用です。繁殖しすぎて問題になっています。

このように観賞用でアメリカに渡ったものが、ワースト10に8種類もあることがおどろきです。