野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

猪名川中下流の魚たち3(「生きている猪名川改訂版」より

2023-04-25 | 兵庫の自然

猪名川中下流の魚たち3(「生きている猪名川改訂版」より

中下流域は水温が高く、餌やすみかが豊富にあるため、様々な魚がすんでいます。

イトモロコ(コイ科)

体長約 1 0 cm。コウライモロコとよく似ていますが、側線上のウロコが縦に長いことと、ひし形の黒斑があるのが特徴です。

 

コウライモロコ(コイ科)

体長約 1 2 cm。イトモロコより下流側の流れがおだやかな砂礫底に群れています。

雑食性で水生昆虫や石に付いた藻などを食べています。

 

コウライニゴイ(コイ科)

全長約50cm。口ひげが1対あります。コイとよく似ていますが、体がスマートで、特に顔が細長く口が下を向いているので区別できます。流れのゆるやかな場所の底にすんでいます。雑食性で水生昆虫、石についた藻、小魚などを食べます。コウライニゴイとニゴイは上からは見分けがつきにくく、下唇に発達した皮弁があるのがコウライニゴイの特徴です。

 


猪名川中下流の魚たち2(「生きている猪名川改訂版」より

2023-04-24 | 兵庫の自然

猪名川中下流の魚たち3(「生きている猪名川改訂版」より

 猪名川下流は平野部、都市部を流れる都市河川です。近年、時間経過とともに猪名川下流では陸の部分と川の流れの部分が固定化していまい、小石の川原が少なくなってしまいました。そのため、水域と陸の部分が増水のときには浸水の状態になるように工事がおこなわれました。

 本来の自然の持つ力を活用して環境の多様性を期待する礫河原再生事業がそれです。

 この工事でこれまで河川敷で大きくなったヤナギなどの木が伐採され、川原の環境が一変し、陸上の生き物に大きな変化がありました。

 河原の環境と水辺の環境が今後どのように変化するのかは、継続観察していく必要があります。

 また、猪名川(直轄管理区間)には8基の井堰・床固があります。大井井堰(藻川)、三ヶ井井堰、高木井堰、久代北台井堰、池田床固には魚道が設置されていませんでしたが、平成26年にすべての井堰に魚道がもうけられました。

猪名川は、都市河川のなかでも魚類の種類が多い河川となっています。

 

 

カワヒガイ(コイ科)

全長約13cm。流れのおだやかな砂や小石混じりの川底に住んでいます。水生昆虫や、石に付いた藻などを食べます。タナゴ類と同様、産卵には二枚貝を利用しますが、二枚貝のエラではなく外套膜(がいとうまく)のすき間に卵を産みつけます。

シマドジョウ(ドジョウ科)

全長約10cm。口ひげが3対あり、体の横に黒褐色の斑点が並んでいるのが特徴です。ドジョウよりも流れのあるところを好み、砂礫の底にすんでいます。雑食性。

 

ドンコ(ハゼ科)

全長約15cm。流れのゆるやかな場所の水草や石の陰に隠れています。水生昆虫やエビ類、小魚など、生きている小動物をその大きな口でひとのみにしてしまいます。


里山と里地里山 4月下旬の里地

2023-04-23 | 兵庫の自然

里地里山4月下旬 里地の畦でめだつ黄色い花

今年の花の動きは例年になく早い。

しかし、農作業は農業暦にしたがって行われる。

4月下旬になると 里地の田んぼでは田植えの準備にはいる。

まず、水路掃除がはじまる。いよいよ田んぼの準備の最初の一歩。水路掃除では、田に水を引き入れるのスムーズにするためですが、秋からたまった落ち葉や泥のかきだしをします。崩れている部分はなおして、田植えの水が順調にためることができるように作業がすすみます。

田おこしが始まるまでの間、田や畦の植物がみられるのはもう少し。

畦の草刈りがおわり、田に水がはるといよいよ田植えです。最近は田植えも5月上旬からはじまります。

 

今、畦や田では、シロツメグサやハルジオンの白い花がさいていますが、白い花よりも黄色い花のほうが目立ちます。

黄色い花はみんなタンポポとおもっている小学生や中学生がたくさんいます。

4月下旬畦に咲く黄色い花の紹介です。

 

ハハコグサ(キク科)

越冬する芽は春の七草オギョウと呼ばれこの花のことです。花は小さな管状花だけの集まりで、綿毛の種ができます。昔は餅草として利用されていたようだが、ヨモギにその座を奪われてしまいました。外国産のハハコグサが確認されています。茎が良く枝分かれして、ひょろひょろしているのがそれらしいです。ヨーロッパ原産のセイタカハハコグサも増加傾向にあるといいます。

ハルノノゲシ(キク科)

花はタンポポに似ています茎の上部で枝分かれし頭花をつけます。葉は茎を抱きます。茎は空中、切ると白い腋がでてきます。ハルノノゲシは春だけなく1年中花をみることができます。アキノノゲシは秋だけですが春によく目立つので、ハルノノゲシとよばれます。

アカオニタビラコ(キク科)

するとのびた花茎の上部に頭花を集めてさきます。田の畔ばかりか、公園や都会の道端などでも普通にみられます。今までオニタビラコと呼ばれていたのですが、 最近アオオニタビラコとアカオニタビラコ の2つの亜種に分けて呼ぶようになりました。下部から花茎が一本がアカオニタビラコで何本もたつのが、アオオニタビラコです。

オオジシバリ(キク科)

湿り気のある道端や水田に普通に見られます。よく似たジシバリより葉が大きく、へら形をしている。

ブタナ(キク科)

ヨーロッパ原産の帰化植物。飼料にまぎれて、入ってきたといわれています。タンポポモドキともよばれ、子どもたちがタンポポと一番間違える植物。茎がのびて枝分かれするところが見分けるポイントです。

ウマノアシガタ(キンポウゲ科)

水田のあぜ道、適度に湿った路傍などに普通に生育する。全体に毛が多い。花弁に光沢があるので、写真を撮るのがむつかしい。この光沢は色素のほかでんぷん粒やクチクラによる。ウマノアシガタという名前は、根生葉が馬の足に似ているからといわれているが多くの観察者から「??」の声が、

最近は生息の場が少なくなっているといわれている。


猪名川中下流の魚たち(「生きている猪名川改訂版」より

2023-04-22 | 兵庫の自然

猪名川中下流の魚たち(「生きている猪名川改訂版」より

 山間部から盆地にでると猪名川の流れが緩やかになります。周りの山々からの土砂がたい積して谷底平野ができます。流れが緩やかになると砂地の場所ができます。カマツカやニゴイは砂地の好きな魚類の仲間です。

カマツカ(コイ科)

体長約20cm。平らなおなかをしています。口ひげが1対あり、唇のまわりに小さな突起があります。砂や小石が混じる川底に住んでいます。雑食性で砂とともに水生昆虫などを吸い込み、えらあなより砂をはきだします。

 

ニゴイ(コイ科)

体約50cm。コイと似ているのでこの名前が付きましたが、コイよりスマートで、顔が長く、口が下を向いています。また、口ひげは1対です。流れの緩やかな砂地を好みます。雑食性で、水生昆虫や石についた藻などをたべます。

 

ムギツク

体長約10cm、河川の中流下流域にある流れのおだやかな淵やよどみなどの岩場に生息しています。おもにユスリカの幼虫などの水生昆虫を食べる雑食性で、石などの表面をつつきながら食べます。卵は石の下などに産みつけます。ドンコやオヤニラミなどの巣に托卵することもわかってきました。


猪名川上流の魚(生きている猪名川改訂版より)

2023-04-20 | 兵庫の自然

猪名川上流の魚(生きている猪名川改訂版より)

 

「河川水辺の国勢調査」は河川を環境という観点からとらえた定期的、 継続的、統一的な河川に関する基礎情報の収集整備のための調査のことです。

全国109の一級水系の直轄区間の河川(河川版)でおこなっている。

その調査で猪名川の魚類を一覧にしたもの。

その調査は定点を基本にして継続的に行われているので経年変化を記録をみることができます。

定点観測ですので、すべての生き物が網羅さているわけではありませんが、不足を補う意味でも当会では、流域のすみずみまで調査して「生きている猪名川」にまとめました。

「生きている猪名川」は増補版、改訂版と3冊を出版しました。

 

今回はその3冊から魚類の紹介です。

 

猪名川の上流域にすむ魚たち

上流域は淵と瀬が連続するだけの単純な構造で、冷たい水を好む魚がすんでいます。

タカハヤ(コイ科)

全長約10cm。アブラハヤとよく似ていますが、尾びれの付け根がやや太い。ことと体側の縦すじが不明瞭であることで見分けがつきます。雑食性で石についた藻や水生昆虫、落ちてきた昆虫などを食べます。

 

アマゴ(サケ科)

全長約20cm。関西の渓流を代表する魚です。同じく「渓流の女王」と呼ばれるヤマメとよく似ていますが、体表にあざやかな朱点があることで区別できます。流れてくる水生昆虫や、落ちてくる昆虫などを食べています。

 

ナガレホトケドジョウ(ドジョウ科)

全長約5cm。渓流の流れのゆるやかな浅瀬にすんでいます。日中は石の下にひそんでいますが、石を取り除くと驚いて出てきます。小さな水生昆虫などを食べています。


猪名川上中流の魚(生きている猪名川改訂版より)

2023-04-20 | 兵庫の自然

猪名川上流中流の魚たち(「生きている猪名川改訂版」より

 山間部から盆地にでると猪名川の流れが緩やかになります。周りの山々からの土砂がたい積して谷底平野ができます。谷底平野は、猪名川では数か所あり、渓谷でつながっています。

アカザ(ギギ科)

水のきれいな上流中流域に生息します。体長約10cm。一見ナマズのこどものようにみえますが、口ひげが4対8本あるのと、体の色が淡い褐色をしていることで見分けがつきます。夏でも水温が低い場所をこのみます。昼間は市の下に身を潜め、夜になるとえさを求めて石の間をぬうように泳ぎます。肉食で、おもに水生昆虫などをたべます。背びれと胸鰭にとげがあり、不用意に触れると刺されることがあります。

兵庫県ランク:地域限定貴重種;環境省ランク:VU

 

 

ギギ(ギギ科)

体長15cm。河川の中流域に生息しています。石の下や水草などが茂っているところに潜み、小魚、エビや底生動物などを食べます。卵は石の下や石垣の中に産み付けます。胸びれのとげと基底部の骨をすり合わせてギーギーと音をだします。

流域では、「ギギタ」ともよんでいます。

 

 

カワヨシノボリ

体長5cm。一生を川で過ごし、河川の中流域を中心に平瀬や淵の周辺に生息しています。胸鰭の条数が15~17本で、ほかのヨシノボリより少ないのが特徴です。おもに石についた、藻や水生昆虫などをたべます。産卵は砂に埋まった石などの下面にメスが卵を産み、オスが卵を守ります。

 

 


栗柄の分水界 (生きている由良川より)

2023-04-17 | 兵庫の自然

栗柄分水界

由良川の6つの分水界があるといいましたが、そのつづきです。

 

分水界があるのは栗柄峠という場所にあります。

県道春日栗柄線は、つづれ坂の連続でしたが現在は道路が整備され解消されています。

その峠を上がりきった場所に分水界の看板があります。

峠の上は田畑の広がる盆地となっています。ここが分水界であることは、この標識がなければたぶんわからないでしょう。

 

昔この場所は峠より西に急坂を下れば春日に、南になだらかに下れば篠山へ、北にあがれば京丹波へ向かう文字通りの交通の要衝になっていた場所でした。

 

 

栗柄は三方を山に囲まれ、栗柄集落を境とし、つづみ峠に源を発する宮田川(加古川水系)と、無名峠(杉ヶ谷)に源を発する杉ヶ谷川が同じ谷内でわずか150m余りの幅をおいて平行に流れています。

 

宮田川は、篠山川~加古川を経て瀬戸内海に注ぎます。杉ヶ谷川は、写真左の観音堂とその奥に高王山(たかおやま)観音堂横から急に西へ向かい、滝の尻川~竹田川~由良川を経て日本海側に注ぎます。

 

本来、一筋の流れに吸収されるはずの河川が突然方向を分かち、前者は加古川水系として南の瀬戸内海に下り、後者は西に流路を変え、栗柄峠を下り由良川水系として日本海に流れ下ります。

 

この地形は、約2万年まえの河川争奪によって形成されたものです。原因は、2万年前、篠山盆地は湖だったことに起因します。そのため、古宮田川はその湖に注ぎ込むのですが、水面の上昇すると河床の上昇がおこります。傾斜が緩やかになり、川の水の流れ緩やかになり、春日方面の傾斜が急なため、そちらに水の流れが強くなり、侵食をはじめ、分水界になったのです。

 

この栗柄峠から北にある鼓峠も由良川水系と加古川水系とにわかれる分水界です。

この地域は二つも分水界がみられる全国的でもめずらしい場所です。(「生きている由良川」に加筆)

 

 

 


石生(いそう)の分水界

2023-04-15 | 兵庫の自然

石生(いそう)の分水界

 

             

本州の中央分水界で最も低い分水界です。標高約95mの中央分水界です。

一方は由良川に流れ日本海へ、もう一方は加古川にながれ瀬戸内海へと流れます。

 

近畿の地形は太平洋プレートとフィリピン海プレートの二つのプレート運動に影響を受けています。

とくに二つのプレートの力で丹波地域は東西方向に、山地と低地が交互に連なる「うねり構造」をしています。現在、由良川と加古川の流域は低地になっています。

 

50万年ほど前の加古川は、現在の由良川の下流公庄付近まで広がっていました。それで、京都府の福知山盆地あたりが由良川との分水界になっていたと考えられています。

 

50万~60万年前に六甲山地の隆起が激しくなり、氷上地域は周りに比べて低地となっていきます。

そのため氷上や福知山は盆地となり湖や湿地となりました。

そして、福知山付近にあった湖が由良川のほうにあふれだし、由良川水系が加古川水系の上流部を奪う「河川争奪」が10万~15万年前に起きたのです。

 

いまの地形になったのは最後の氷河期が終わり、温暖化がはじまり高谷川は扇状地をつくりました。

現在の分水界ができたのは、1万~1万5000年前以降と推定されます。

 

ここは本州の太平洋側と日本海側を分ける分水嶺が最も低くなっている場所です。写真の高谷川は右が川上で左へ流れています。ここから降った雨は加古川を経て瀬戸内海側へ約70km、中央から右側が由良川を経て日本海側へ約70km流れて行きます。

 ここの地形は緩やかな扇状地形となっています。高谷川は天井川となっているので、この川の堤防が分水界となっています。扇状地の扇頂から扇端までで、約1250m続いており、この高谷川を境にして北に降った雨は由良川水系、黒井川、竹田川、由良川を経て日本海に流れていきます。南に降った雨は加古川水系となります。高谷川は佐治川、加古川に注ぎ瀬戸内海に流れていきます。

氷上回廊

石生の分水界付近は標高100m以下という低地の分水界で、氷上回廊と呼ばれています。古くからの動植物の分布にも大きな影響を与えているといわれています。他の場所では高山にさえぎられて移動できなかった動植物が、 氷上回廊では比較的容易に分布拡大できたと考えられています。

 

氷上回廊を移動してきたと考えられる植物に、六甲山で見られるユキグニミツバツツジがあります。これは日本海側の植物です。

1~2万年前の氷期に南下してきた植物が気温の変化(上昇)で六甲山に置き去りにされた植物だろうといわれています。六甲山には、他にもイワカガミ、タニウツギなどたくさんの日本海側の植物が見られます。

 氷上回廊には旧石器時代から奈良・平安時代まで続いた西日本最大規模の複合遺跡である、七日市遺跡があります。ちょうど氷上回廊の中間点にあたる場所にあります。

 旧石器時代の遺跡であることがわかったのは、姶良(あいら)カルデラから、2万数千年前に噴出した火山灰(姶良・丹沢火山灰=ATと呼ばれている)が堆積し、旧石器時代の遺物はこのATの下の層から出土したことからです。

 そのころの人はまだ土器を作ることを知らず、石や木、骨を使って道具を作っていました。氷河の影響で海水面が下がり、日本と大陸が陸つづきになり、絶滅動物のナウマン象やオオツノジカが、日本にいた時代です。

 ナウマンゾウの群れが北の日本海側から南の瀬戸内海側へと移動してきました。

それを追ってきたマンモスハンターの旧石器人は氷上回廊を狩猟の拠点として選んだかもしれません。ナウマンゾウやオオツノジカなど大型動物が移動するのをここで追い込み、狩猟したと想像するはできないでしょうか。

 また、瀬戸内特有の横割型ナイフと日本海側特有の縦割型ナイフが出土するなど、 旧石器時代からこのルート沿いに人とモノの交流が活発だったことを示す例もたくさん出土しています。

 このように動植物ばかりでなく人にとっても影響の大きな場所です。

  • 丹波市立博物館・科学館水分れ資料館

〒669-3464兵庫県丹波市氷上町石生1156

TEL 0795-82-5911

開館時間:10:00~17:00

入館料 大人:210円 小・中学生:100円

 

2021年3月20日にリニューアルオープン

模型や映像そして音声でわかりやすく中央分水界地形の説明や高瀬舟の原寸大模型、付近に生息している魚、絶滅した魚などの資料を展示しています。特に今回特に参加型の展示に力を入れています。プロジェクションマッピングなどの映像を通して氷上回廊の生き物や歴史を学ぶことができます。

 


コバノミツバツツジ 春を代表する花

2023-04-05 | 兵庫の自然

春を代表する花−コバノミツバツツジ

コバノミツバツツジ

武庫川流域で見られる里山の花で春先、雑木林のなかで鮮やかな赤紫色の花が目に付きます。葉が出る前に花が咲くので目立ちます。コバノミツバツツジです。

コバノミツバツツジで有名なのが武庫川下流の西宮市の広田神社。

神社のコバノミツバツツジが昭和44年兵庫県指定天然記念物に指定されました。

神社の敷地内に約2万株が群落を形成しているそうです。

「おじいさんは山へしばかりに・・・」関西ではしばは、「コバノミツバツツジ」

「山に柴刈り」の意味がわかない人も多いかと、

ガス電気のない昔、煮炊き用の木を集めに山に取りに行くことを「柴刈り」といいます。

最近の子どもは、ゴルフ場の芝を刈ると思っている話をきいて笑いましたが。

 

岐阜県から中国地方にかけてみられるコバノミツバツツジです。

兵庫県では ふつうにみられるツツジです。但馬地方にはユキグニミツバツツジがみられます。

コバノミツバツツジの葉柄は毛があり、ユキグニミツバツツジにはないことで区別できます。

また、ユキグニミツバツツジの葉は一回り大きく、よりひし形に近いことからも見わけられます。

六甲山でも一部ユキグニミツバツツジが見つかっていますが、ほとんど全部がコバノミツバツツジとみてよいでしょう。

それ以外の地域でもほとんどがコバノミツバツツジですが、日本海側にいくとユキグニミツバツツジをみることができます。ユキグニミツバツツジは、秋田県以南、鳥取県までの東北、北陸、山陰地方の日本海側に分布する日本海要素植物の植物です

兵庫県内には、ほかにダイセンミツバツツジ、トサノミツバツツジ、オンツツジが生えているそうです。

参考文献 「人と自然のワンダーランドへ、ようこそ」兵庫県立人と自然の博物館編 2023年神戸新聞総合出版センター

 


春の花スプリングエフェメラル「ノウルシ」

2023-04-04 | 兵庫の自然

ノウルシ(トウダイグサ科)

 

「生きている淀川」で紹介したノウルシ。最近自生地が少なくなり、淀川右岸鵜殿に春だけ見られる植物(春植物)です。花時には苞が黄色くなるので、花が咲いたように見えます。

結実するころ、周りのヨシが成長するので、それにあわせて夏になると地上部が枯れてしまい、翌早春まで地下の根茎で過ごします。(スプリングエフェメラルといいます。)

ノウルシは苞が花のように見え、花弁や萼片はありません。

外花弁に見える部分は杯状花序(はいじょうかじょ)の基部にある総苞葉・苞葉になります。

さて、兵庫県では三田市、西脇市、加東市、多可町、たつの市、丹波市でみられる貴重種です。

武庫川では上流の日出坂付近でみられます。

土手焼きのあとの川原で見られます。

葉や茎を傷つけると出る白い乳液がでるのが漆の汁に似ている出のノウルシとつきました。

ノウルシの汁に触れると皮膚に炎症を起こす有毒植物です。

花の様子を観察すると、子房は球形で表面にはイボ状の突起があり、3花柱が立ち更に先端が2つに分かれているがわかります。

全国レベルでは絶滅のおそれがあり、近隣府県でも減少しています。

(2020年時点): 

環境省レッドリスト:準絶滅危惧(NT)

滋賀県レッドデータブック2020年版:―(指定外)

京都府レッドデータブック2015:準絶滅危惧種

三重県レッドデータブック2015:絶滅危惧Ⅱ類(VU)

大阪府レッドリスト2014:絶滅危惧Ⅱ類