天童荒太著「あふれた愛」読みました。
心が疲れてしまった人が主人公の短編集。
「一番支えてほしかった人は、逆にわたしを追い込む人だった。」と気づいたとき主人公のように自立していく道を選ぶのは私には出来ないと思う。きっと無理やりにでも相手のいいところを、楽しかった日のことを見出し自分の気持ちを納得させた振りで心に嫌な痛みを抱えたまま過ごしてしまうと思う。だからこの主人公に自分を重ね合わせ涙し、実際に出来ない自立を疑似体験して少しだけ救われた気持ちになる。
自分が嫌いになったりするのは、腹立ちを心の中にため込むからだという。
自分で自分を守れなくて、認められなくてそんな自分が情けないからか。
本当は相手を許せないと思っているのに、許した振りをしてしまうことがある。
「正しく怒れるということが、自分を尊んでいるあかしになるのかもしれない。」と医者が言う場面があるが、その通りだろう。
自分を尊ぶということが私にはなかなか出来ていないと思うし、でも出来るようになれたらストレスも軽くなるんだろうな。