河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑――落花生

2023年06月20日 | 菜園日誌

落花生は、豌豆と同様に自家受粉なので万に一つもハズレがない。
しかも、花の根元の子房というところで受粉して、そこから子房柄というのが伸びて、地面にもぐって堅い殻に包まれた実をつける。
マメ科でありながら土の中で結実するという不思議な植物である。
鳥獣に食べられないように進化したのだろう。

植物の発芽は、地面から胚軸という茎を出して、その先に双葉をつける。
落花生は地面の中に胚軸を伸ばす。すると種が押し上げられて地面に頭を出す。
胚軸から本根が出て、栄養補給jの準備がが整うと、種が二つに割れて双葉になる。
この双葉にはすでに本葉が芽吹いている。
落花生は、この作業を5~7日ほどの間にやってのける。

お空にまっ赤な陽がのぼる / 今日もあついぞ 真夏日だ
あついの大好き落花生 / あわてて地面に顔を出す
お日様 お空で 笑ってる

今日も真っ赤な陽がのぼる / どんどんのばせ 根をのばせ
あついの大好き落花生 / お豆がふたばにはやがわり
お日様 お空で 笑ってる

人はじぶんをかくすけど / お豆はじぶんをかくさない
あついの大好き落花生 / お土のなかでせいいっぱい
お日様 お空で 笑ってる
(金子みすゞ ふうに)

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畑――大葉

2023年06月19日 | 菜園日誌

家から畑まで500m。
たいがいはバイクで行くのだが、たまに歩いて行く時がある。
夏の夕べ、ビニール袋に缶ビールとさんまの缶詰を入れて畑へ。。
収穫用コンテナをテーブルにして、いつものキャンプ用の椅子に座る。
缶ビールをシュカーンと開けてまずは一口。
喉越しを味わいながら、2mほど前の青じその葉(大葉)を二、三枚採って、さんまの缶詰の中にちぎって入れる。
「さんまの大葉巻き」の完成。
夕陽をあびて茜色に輝く二上山を眺めながらゴクリ!

最近はもう一工夫。
小さなタッパーに自家製のニンニク醤油を入れ、ごま油と白ごまをトッピングしたのを持って行く。
大葉を四、五枚入れてシャカシャカさせてニ、三分。
「やみつき大葉のごま醤油漬け」の完成。これが実にうまい!
シーフードや塩焼き鳥に巻いて食べると絶品である!

中国の後漢末期の名医「華佗(かだ)」が、食中毒で瀕死の人に紫色の葉を食べさせて元気にしたという逸話がある。
「紫の葉で蘇らせた」というので「紫蘇」と名付けられたという。
シソには抗菌・解毒作用がある。刺身のツマにシソが付き物なのはそのためである。

スーパーで売っている大葉はハウス栽培なので年中青々として柔らかいが、露地上の大葉は夏の強い日差しを受けると硬くなる。
だから、我が家の大葉は今が旬!
梅雨の中休み。 さて、久々に行くか!
「ビヤホール大葉」へ!

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ちょっといっぷく57 / 五月雨

2023年06月18日 | よもやま話

旧暦で、今日が五月一日(皐月のついたち)。久々の晴天!
 五月雨の降りのこしてや光堂  /松尾芭蕉『奥の細道』
旧暦の四月末に江戸を旅立った芭蕉が、五月十三日に平泉の金色堂(光堂)に拝観して詠んだ俳句である。
五月雨(さみだれ)はちょうど今自分に降る雨だから梅雨ということになる。
【解釈】激しい五月雨に耐えて金色堂がなんと美しく輝いていることよ。
昔と変わらず美しく輝く金色堂を観て、芭蕉は藤原氏三代や源義経主従の「榮耀一睡」の夢に思いを馳せる。その時に詠んだ俳句が、
 夏草や兵どもが夢の跡

 五月雨や上野の山も見あきたり /正岡子規
明治三十四年、死の前年の作。身動きもままならない病床にあった子規は、降り続く五月雨と上野の山を毎日のように見ていた。
じめじめとした梅雨は体調にも差し障ったのだろう。
それだけに、五月雨の合間のからりと晴れた青空=五月晴れはうれしかった。「五月晴れ」を詠んだ句が実に多い。
 五月晴や窓をひらけば上野山 
 見えそめて青雲うれし五月晴

花札で五月は「菖蒲に八橋(やつはし)」。
「菖蒲」は「しょうぶ」と読まずに「あやめ」と読む。
しかし、花札に描かれているのはアヤメではなくカキツバタである。
なんともややこしい。「ショウブ・アヤメ・カキツバタ」の花はよく似ている。
花びらの付け根が白いのはカキツバタ。黄色いのはショウブ。黄色と白がアヤメ。

三つの花は梅雨の時期に咲くのだが、この「柳に蛙」の方が梅雨にびったりの絵柄のように思える。
しかし、これは十一月の花札。
傘をさしている人物は書道の名人の小野道風。
なぜこれが十一月なのかは謎?
五月晴れのようには、スカッとしない!

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ちょっといっぷく56 / 雨

2023年06月12日 | よもやま話

昨日の6/11日が暦(雑節)の上での「入梅」だが、今年は十日前から梅雨入り。
おまけに梅雨前線の近くを台風が続けて通過していき今日も雨。
うっとうしい日が続いている。
雨には涙・別れ・災いというマイナスのイメージがつきまとう。
ならば、せめてこの場だけでも心晴れ晴れとプラス思考でいきたいものだ!

まるくまるく形のよいものになろうとする
やさしい心のあじさいの花
きのうよりもきょうと新しい色になろうとする
雨の日のあじさいの花
(『あじさい』坂村真民の詩)

なるほど、雨を紫陽花という明るい花に転化すればいい!

I'm singing in the rain
Just singing in the rain
What a glorious feelin'
I'm happy again
僕は歌う 雨の中で
ただ歌う 雨の中で
なんて素敵な気分
幸せがこみあげる
(『雨に唄えば』の冒頭)

なるほど、雨を恋の喜びに転化すればいい! するとプラス思考になることができる。

しかし、梅雨という季節を運命として向き合っている日本に住んでいる者は、そう簡単にはいくまい。
やはり、これでなければならない!

潸々と この身に落ちて
わずかばかりの運の悪さを 恨んだりして
人は哀しい 哀しいものですね
それでも過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね

散々と この身に荒れて
思いどおりにならない夢を 失くしたりして
人はかよわい かよわいものですね
それでも未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね

燦々と この身に降って
心秘そかな嬉し涙を 流したりして
人はかわいい かわいいものですね
ああ 過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね
(『愛燦々』美空ひばり 作詞作曲:小椋佳)

梅雨は、我々に課せられた運命だと素直に受け入れれば、「人生は嬉しい」ものになる。
運命を変える力強さを、かよわくとも、我々は持っているのだ!
だが、これがなかなか出来ないのである!
だから、生きている。だから、人生は不思議なものなのだ!

※潸々=ハラハラと。散々=ものすごく。燦々=明るく光り輝いて
※浮世絵は『楳嶺花鳥画譜 紫陽花 鶤鶏』 楳嶺 国立国会図書館デジタル

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畑――節約栽培

2023年06月11日 | 菜園日誌

農地の面積は昔からの尺貫法を使って「1町(ちょう)=10反(たん)=100畝(せ)」で呼ぶ。
1町=約9917.36平方メートル=3,000坪=100アール(1ヘクタール)。甲子園球場の一回り小さい広さになる。
今、資本をつぎ込んで大規模農業をするとき、1町なければ採算がとれないという。
1反はその1/10。1反=約991.7平方メートル=300坪=約10アール。テニスコート5面ほどの広さになる。
昔は、米一石を収穫できる面積を一反としていた。一石(=1000合)は、大人一人が一年間に食べる米の量になる。

米作りならまだしも、1反の畑で野菜を作るとなると並大抵のことではない。
我が家の畑は農小屋や通路を除いて5畝。
1畝=約99.1平方メートル=30坪=約1アールだから、5畝でテニスコート2.5面ほどの広さである。
このうちの半分は出荷用の落花生里芋。1/4は休耕にして、残りの1/4(1畝ちょっと)に我が家用の野菜を植えている。
家庭菜園なら1畝もあれば充分。ここで20種ほどの野菜が作れる。

手前からキャベツ・人参・レタスエダマメ島らっきょ・トマト・ナス・シシトウ・さやいんげん・トウガラシピーマン・ブロッコリー・イチゴ
左手にスイカメロン南瓜キュウリゴーヤ
右手にオクラ赤シソ
自産自消の多品種の少量栽培である。基本的に苗は買わない。
種代金が高くつきそうだが、国華園の100円種や信州山峡採種場の粒売り100円を利用している。
時にはダイソーの50円種で間に合わせる。
青色は固定種(交配させていない)なので、種や苗を自己採種する。
狭少地自産自消多品種少量節約栽培である。

※図は『大日本物産図会』国立国会図書館デジタルより

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